好きの分解

子供の頃なりたかったものは、と聞かれると私は迷わず名探偵と答える。
小学校の頃から、ミステリーが好きだった。
定番のシャーロックホームズなどを読み漁り、その頃は児童書でもミステリーが豊富にあった。
青い鳥文庫のパスワード探偵団やはやみねかおるの夢水清志郎シリーズ。
大きくなったら、名探偵になってやる!と心に誓っていた。

しかし、名探偵という職業はなかった。
探偵という職業はあれど、ミステリーでいう名探偵とは似て非なるモノ。
どんなに努力しようが、ない職業になることは出来ない。

そこで私は名探偵に憧れる気持ちを分解してみた。

なぜ名探偵がカッコいいと思うのか。
名探偵のどのような性質に惹かれているのか。
それは以下の2点だった。

 ①誰にも解決出来ないトリックを解き明かす
 ②真相を見抜く洞察力

トリックは謂わば問題だ。
誰にも解決出来ない問題を解決する事が出来ると言い換える事が出来る。

洞察力とは分析力と観察力によって培われる。

自分の好きを分解した結果、私は困難な問題が解決でき、分析力と観察力に優れた人間になりたい事になる。

なるほど、たしかにそれはカッコいい。
名探偵は職業なのだから、名探偵でなくてもそれを発揮出来る職業につけば良いのではないか、と考えた。

その結果、今社内システムエンジニアとして働いている。
社内で起こる様々な問題や課題の真因を見つけ出し、システムのアプローチで解決する。
気分は会社の名探偵だ。

このように、好きや憧れという気持ちも分解して要素として切り分ければ実現したり満たされたりしやすい。
そのまま名探偵を目指していたら、なりたい憧れが叶うことはなかったろう。

同じように嫌いな気持ちも分解すれば消化出来たりする。
どこが嫌いかを要素として切り分ければ、全体としては意外と僅かな比率で、あとの部分は嫌いではなかったり、もしかしたら好きな部分も見つかるかもしれない。

好きや嫌いなどの感情や、課題や問題などの事象など、そのままの状態だと大きくて手がつけられないが、分解して小さくしてしまえば自分の能力の範囲で扱えるようになる

大きな物事を自分が扱える大きさまで分解する、その力を分解力と名づけてもいいかもしれない。
もちろん分解力は訓練で向上する。
分解力は楽しく生きる為には有用な能力かもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?