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麦の波、麦浪(ばくろう)の「ヤマキヤダーチャ」

今年5月、さわやかな春風の中、麦の波=麦浪(ばくろう)を見せていただく機会がありました。

ヤマキヤダーチャ


福島県川俣町にある山木屋地区。ここに麦栽培を楽しむ会「ヤマキヤダーチャ」があります。
元々はライ麦と小麦を育てて製粉し、それをパンに利用したりと楽しんでいたそうですが、昨年、麦を丸ごと楽しみたいということで、ヒンメリワークショップをご依頼いただいたことからご縁をいただきました。

ワークショップの時の写真

ご依頼をいただいたとき、”ダーチャ”という言葉を選んでいることから、すぐに「気が合いそうだな♪」と勝手ながら思いました。

”ダーチャ”とは、ロシア・旧ソ連圏で一般的な”菜園付きセカンドハウス”の呼び名です。

菜園付きハウスと言えば、ドイツの”クラインガルテン”も有名だし、フランスの”ポタジェ”(ハーブ・菜園のある庭)も素敵で、そういったすぐそばに畑のある生活は、私の長年のあこがれでもありました。

こんな畑にしたい…
congerdesignによるPixabayからの画像

ヤマキヤダーチャさんでは、そのような育てることに興味のある人たちが集まり、皆で畑にライ麦と小麦を蒔いて、翌年刈り取るということをもう何年もされていて、収穫量も多い年で200~300㎏もあるそうです。

収穫したライ麦と小麦は製粉して粉として販売するほか、パン屋さんで使われたり、スコーンにしたりと、様々な形で活かされています。

最近ではヒンメリワークショップも始められ、ますます今後の活動が楽しみな会です。


地域おこし協力隊 ナスタッシャさん

今回、私が別の用事で福島に行くことになったので、その機会に急遽お邪魔することになりました。

その際に対応してくださったのが、川俣町で地域おこし協力隊として活動されているスタルジンスカヤ・ナスタッシャさんです。

左がナスタッシャさん。ロックな見た目、日本語はペラペラ、お料理好きのベジタリアンさんです

ナスタッシャさんはベラルーシ出身。(私が花細工を習っている先生がベラルーシ出身ですので、ご縁を感じ、今回お会いできたことがとても嬉しいです。)

なぜ福島にいらっしゃったのかお聞きすると、ベラルーシ国立大学在学中に福島大学との交換留学制度を利用して福島へいらしたのだそうです。

ベラルーシは、1986年のチェルノブイリ原子力発電所の事故によって甚大な被害を受けました。

福島もベラルーシも、原子力災害からの復興という共通の課題を抱えていることから、このような交換留学制度が始まったとのこと。

ナスタッシャさんはこの制度を利用し、一年間福島大学で農業経済学を学ばれ、フィールドワークを通じて福島の人の温かさに触れました。

交換留学後はベラルーシでIT企業へ就職したそうですが、”人間らしい仕事である農業に関連する仕事をしたい”と感じ、再び福島大学大学院へ。

復興を進める地域の人々との交流の中から、地域おこし協力隊への応募へと繋がっていきました。

ヤマキヤダーチャさんとも繋がり、一緒に畑仕事をしているそうです。

麦浪

ナスタッシャさんが、「おすすめの場所があります」と、連れて行ってくださったのが、この動画の場所です。

手前の畑、そして奥の畑にライ麦が植えられています。
麦の波、『麦浪(ばくろう)』が美しく広がっていました。

麦浪という言葉は、この時は思い出せなかったのですが、もう7年近く前になるでしょうか。広島に住んでいたころ、素敵なカフェの奥様が教えてくださった言葉です。家に帰ってから、ああ、と思い出しました。

そのカフェの名前である『麦浪』。「『ばくろう』というのは、何ですか?」とお聞きしたら、奥様が「麦畑の波のことですよ」と。とても美しくて、好きだから、店の名前にしたと話してくださいました。

私は、想像の中だけにしかなかったその『麦浪』を、この日初めてしっかりと目にすることができました。

人生の点と点を結ぶ糸が、時々垣間見えるというのは面白いことですね。

特にヤマキヤダーチャさんのこの畑は、小麦ではなく、細くて美しいライ麦だからこそ、このように綺麗に見えたのだろうし、この小高い山側から見ることができるのも、なかなか無いシチュエーションですね。ナスタッシャさんとヤマキヤダーチャさんに感謝です(^^)


ナスタッシャさんは日本語が素晴らしく堪能で、知性を感じる素敵な方でした。
ベラルーシでの麦藁細工の印象を伺ってみると、「日本でいうところの、”こけし”みたいな感じですよ」とおっしゃっていました(笑)
伝統工芸で、お土産にもなり、おばあちゃんの家に置いてあるような…。なるほど!そういう感じなんですね(^^)

ベラルーシのラマネニア先生の作品。右はベラルーシの伝統的な幸せの人形お守り。

まだまだ日本では知らない人も多いですし、麦藁細工に馴染みのない私たちからすると素敵でお洒落な手仕事に見えます。モダンな要素を取り入れて、素敵に飾っていきたいですね。

麦藁手仕事には温かみと洗練さが同居している


改めて、この訪問で”農の美しさ”を見た気がしました。

自然そのものの美しさもありますが、人間が大地を耕して生きるための食を作っていくこと。その中で見られる景色の美しさが印象的でした。

都市に住んでいるとなかなかそこに触れられないと思いますが、こうして週末だけでも土へ近づいていこうそいう試みがあったり、そこまでできない方でも、小さな鉢一個からでも土と種の魔法のような関係を身近に感じることができるなと思います。

私自身も、今後はそのようなところも教室内で皆さんに触れていただけるようにしていきたいと考えています。

ご協力くださったヤマキヤダーチャさん、ナスタッシャさん、改めてこの度はありがとうございました!(^^)/

あたたかいお気持ち、とても嬉しいです。活動の原動力(珈琲や自分のメンテナンス)にさせていただきます! ※麦藁の普及については、一旦「BASE」にて各種麦藁を取り揃えましたので、活動終了としました。今後はSeedingSchoolの各教室にて育て、普及することを目指します。