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外をふと見るとMesûd Geverがいた @ma music center

週末には子供たちのレッスンがあるというので、ma music centerを再訪。到着すると大勢の子供たちで賑わっていた。

人懐っこい子供たちがいろいろ質問してくれて、「クルドの音楽を勉強するために日本から来たんだよ」というと、「ジャポン!!」とナイスなリアクションをとってくれる。

チャイをいただきながらスタッフの人たちと話している時に、うち一人が「Mesûd」とつぶやくのが耳に入った。「え?Mesûdが何?」と思い、その人の視線の先を追うと、なんと、そこに、Mesûd Geverがいた。4日前に拘束され、同じく拘束された俳優たちが昨日釈放されてもなお留め置かれていた彼が、遂に帰ってきたのだ。

Mesûd Geverは卓越した歌い手。私は彼のファンで、Amedを訪れた際に最も会いたいと思っていた音楽家だ。


Mesûdは館内に入ってくるなり、「えりか!よく来たね!」と両手を広げて私のところへ来てくれた。初めて会うのに、前々からの友人のように。「Mesûd!おかえり!あなたが帰ってきて本当に嬉しい!」

おかえりMesûd Gever!



Mesûdが淹れてくれたコーヒーをいただきながら話していると、彼が子供たちに、「えりかは日本でクルド音楽をサズやピアノで演奏して歌う音楽家なんだよ」と紹介してくれる。すると、子供たちが、「え〜!えりかは音楽家なんだ!」と目を見開いてさらにナイスなリアクションをしてくれる。

おそらく挨拶まわりの途中だったのだろう。「もう行かなきゃいけないんだけど、また会おう!」再会を誓って見送った。

心のどこかで、Mesûdが釈放されて今日会えるんじゃないかと予感していた。その予感はあたるような気がしていた。昨日の演劇についてもそうだ。周囲の人は、「残念だけど中止だろうね」と言っていたけど、上演される強い予感があった。あまり科学的ではないようで、実は、過去の事例を引っ張るとこういうことが起こり得る、という計算をしたたかにしている。

さて、午後のレッスンが始まる。ピアノ、ヴァイオリン、ダフ、サズ、サントゥールなどの器楽のクラス、ソルフェージュやリズムのクラス、そしてクルド語のクラスもある。クルド語で思考できるように、表現できるように、とてもよく考えられた内容だった。先生たちは皆、音楽家として活躍しているプロフェッショナルな人々だ。

ピアノのグループレッスン
クルド語のクラス


器楽のクラスはプライベートレッスンとグループレッスンがあり、1時間ずつ行われる。とても温かい雰囲気で、常に先生と子どもたちのコミュニケーションがあり、子供たちはのびのびと、いきいきと、音楽と母語を学んでいた。ああ、彼らの仕事のなんと意義深いことか。「日本にもma music centerあれば良いのに」。心の底からそう思った。

明日はAmedを離れ、バスで東方へ、Cizîra Botanへ向かう。

↓ Mesûdの歌声をたっぷり楽しめる動画を一本。2:39くらいから始まるインプロパートは圧巻。ma music centerではこのオーケストラのメンバーが先生を務めている。


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