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パリ1日1話〜11 パリで音楽を楽しむ、の話〜

パリに住んでいると、生演奏の音楽を耳にすることがけっこうあります。日本では騒音に対する規制が厳しいからでしょうか、お祭り的な場面以外では、あまり見かけなかったかな〜と思います。自分があまりそういう場所に出かけてなかっただけかもしれないけど。

街が音楽であふれる日、といえばFête de la musique(音楽の日)。毎年6月21日に世界中の都市で行われているそうです。パリでも夜中まで、街中でいろんな音楽が聴こえてきます。この日は許可なしに誰でも演奏をしていいそうで、大きなイベントではルーブル美術館でプロのオーケストラの演奏会があって無料で聴けたり、小さいところでは素人さんが道端でステージ作ってのど自慢大会のカラオケをやっていたり。ジャンルもクラシック、民族音楽、ロック、エレクトロ、なんでもアリ。ちょっとうるさいときもあるけど、街中が楽しんでる感じがしてウキウキします。この日にパリにいたら、いろいろ歩いて聴いてみてください。

特別な日でなくても、街角や駅で演奏してる人はけっこういます。バスチーユやサン・ラザールのメトロ駅では集団でクラシックの演奏してる人を頻繁にみますし(どのくらいの頻度でいるかは不明ですが)、他のメトロ駅でもいろんなジャンルの音楽を個人で演奏してる人をよくみます。メトロ公認ストリートアーティストの場合も、そうでない場合もあり、また上手くない人もいますが、もし上手な人を見つけたらラッキー!そんなときには、パリの人たちも足を止めて聴き入ったり、スマホでムーヴィーを撮ったりと、偶然出逢った音楽とのひとときを楽しみます。投げ銭の額はその人次第なので、1ユーロ以下の小銭から、5ユーロ、10ユーロのお札まで様々。たまに50ユーロが入ってることがありますが、それは地元の人の値段にしては気前が良すぎるので、観光客の人が入れたものかもしれません。もちろんいくらでも、投げ銭するととっても喜ばれます。もし演奏が気に入ったら、思い切って投げ銭してみましょう。

メトロといえば、車内に乗り込んできて、いきなりジプシー音楽とかを大音量で演奏する陽気な集団がたまにいます。通勤時間など混んでるときや疲れてるときにやられると、地元の人間的にはちょっと迷惑だなと思うのですが、観光で来ていて遭遇したら、お祭り気分が盛り上がって楽しそうです。降りるときにメンバーのひとりが投げ銭を集めますが、気に入ったなら小銭をあげるのはいいでしょう。でも、メトロ内で財布を出すのはスリに狙われる可能性があり危ないので、ポケットに入ってる小銭くらいにしておいたほうがベターです。

春になるとうちの近所に現れるのは、スピーカーをキャリーでガラガラ運びながらトランペットを吹くジャズおじさん。いや、おじいさん。すごく下手なんだけど、ああ、もうこういう季節なんだなあ、と思わせてくれるちょっとした風物詩です。きっと少しは稼げるので、毎年やってくるんでしょう。何者なんだろうな。

事前に演奏会のチケット取るほどファンではないけど、パリに来たら音楽聴いてみたいな、という方もいると思います。私はクラシックにはぜんぜん詳しくないのですが、パリでは毎日多くの演奏会が開かれていて、内容にもよりますが、席を問わなければ当日でもチケットが取れることも多いよう。フィルハーモニー・ド・パリhttps://philharmoniedeparis.fr/fr などの大きな会場の演奏会でも10ユーロ前後のチケットが出ていることがあります。また、オルセー美術館 https://musee-orsay.fnactickets.com やルーブル美術館 https://www.louvre.fr などの美術館でも、コンサートが開かれています。ランチタイムの1時間コンサートなんかもあるので、値段も安いし、ちょっと聴きたいときにいいですね。

そういえば、先日オルセー美術館の木曜日の夜営業に行ったとき、展示室でコンサートを聴けるイベントがやっていました。4つの部屋で一回15分の演奏が計4回あり、美術館の入場者は自由に聴くことができるというもの。ロートレックの大きな絵の前で、ナビ派の部屋で、そしてクールベの『世界の起源』の前で。名画を観ながら音楽を聴くなんて、何もわかってない私でさえも贅沢だなあ、と感動して帰ってきました。ちなみに写真は、クールベの部屋でのコンサートの様子。パリって、たまにこういうことに出合える。本当に素敵な街だと思います。

あと、いつでも、しかもほぼ無料で音楽に出合える場所といえばキリスト教の教会。大きな教会から小さな教会まで、どこでもミサの時間には、パイプオルガンや合唱などを聴くことができます。日曜日を始め、教会により週の決まった日時に行われています。小さい教会はなんとなく入りにくいですが、基本的にはすべての人に開かれているそうなので入っても何も言われません。ただ、こちらはあくまで教徒の方のためのもの。わたしも教徒ではないので、いつも信仰目的でなく申し訳ないなと思いながらコッソリコッソリ入っています。お邪魔するときには、静かに、厳かな空気を壊さないように心がけて。教会の雰囲気を感じるのも、この街の人々の生活をみる貴重な機会になるのではないでしょうか。では、パリ一日一話、とりあえず今日はここまで。



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