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カウンセラーの私がカウンセリングを受けるとき、何を話すのか、とか

キャリアカウンセラーの私自身は、年5くらいのペースでキャリアカウンセリングを受けている。
ちなみに、コーチングも受けている。
私の担当コーチは海外に住んでいるので、かれこれ10年くらいオンラインでやりとりをしていることになる。

キャリアカウンセリングは、45-60分/回。
コーチングは、15-30分/回。

私の両者の使い分けのポイントは、

■キャリアカウンセリング
 いま起きている状態を整理して、一歩進めたい場合
■コーチング
 ゴールそのものや、ゴールに向かう過程がわからなくなった場合

ざっくり言うと、こんな感じ。
私の場合、目の前のことを考えるか、ゴールから逆算して考えるかで、二つのアプローチを使い分けている。
そのときの心の持ちようで、アプローチに関わらず、
「今日はこの人に話を聴いてもらいたいな」のような選び方をすることもある。

友人に話を聴いてもらったりすることもあるが、自分の話だけで60分進められる会話というものはほぼ存在しない。
私の話を聴きっぱなしの友人のことを思うと、気の毒になってくる。
友人なのだから、自分の話だってしたいだろう。
だから、自分のことを話すときには、専門家にお願いをすることにしている。

ちなみに、私自身が提供するキャリアカウンセリングは、このミックス型。
コーチング資格は保有していないが、クライエントに向かう姿勢とスキルは大きくは変わらない。
クライエントが今日何を考えたいのかによって、アプローチを変えている。

◇◇◇

にしても、「カウンセリング」という名称は敷居が高い。
高すぎる。
受けにくいじゃないか。
かといって、いい名称も思い浮かばなくて、脳が軽くジワジワする。

カウンセリングは「心が弱い人が受けるもの」のような言われ方をされることもある。
そもそも、心がどこにあるのかもわからないし、そこに強弱なんてあるのだろうか。

クライエント自身が「私はメンタルが弱いので」と話してくれることがあるが、その言葉は穏やかに受け取ったうえで、いま起きていることに目を向けて、人の力も借りて一歩進もうとしていること自体が、もうそれは「メンタルの強弱」とは関係がないのではないか、むしろ自分がより良く生きるための力を養おうとしている人なのではないかと思っている。

そもそもだけれど、いま起きていることに目を向けること自体、つらいことがないだろうか。
私はある。
ありすぎて泣けてくる。

・自分がやると決めたのにやれていないこと
・うまくやりたいのに全然進まないこと
・人間関係がうまくいかないこと
・部屋の片づけがうまくいかないこと

頼まれた仕事が全然捗っていないまま、自宅軟禁状態なことをいいことに、今日もオンラインで10時間近く講座を受け続けたことを思い出して、書きながらも、心も腰もつらくなってきた。

◇◇◇

さてここからは、私自身がキャリアカウンセリングを受けるときに、どんな相談をしているのかを書こうと思う。
こんなことを話していいんだ、と思ってもらえればと思う。

ちなみに、セッションの中身を公表することは、担当カウンセラーさんにお断りを入れる必要があることもあるので、事前に確認をしましょう。
私は確認しました。

そこで、近々に私が相談をしたこといくつか。

①仕事の多くが飛んでつらい
いちばんのかき入れどきであった仕事がほぼ全部キャンセルになったこと。
オンラインでの研修実施を提案したものの、全て導入不可だったこと。
やるのかやらないのかわからない研修も、設計はしておかねばならないこと。
準備をしても、次々とキャンセルとなっていくこと。
どうしてもオンラインへの切り替えを受け入れてもらえないこと。

やり場のない怒りのようなものすら感じるけど、誰に怒っても仕方がなく、怒っている自分自身にイライラしたり、嫌気がさしている自分がいること。
そして、次第に「自分が今まで築いてきた道こそが間違いだったのではないか。もっとリスクヘッジをしておくべきだったのではないか」のような、自己否定寄りの考えも沸いてくることがあったこと。
本当はそうではないのだろうけれど、そう思う自分がいた。
すなわち「つらい」。

②収入がなくなってつらいしこわい
会社員ではなくフリーランスのため、売上と収入が直結しており、
売上ゼロ=収入ゼロになったこと。
この状態はいつまで続くのか。

ふとした瞬間に、不安のかたまりのようなものが私を包んでいる時間があること。
それが長く続くと、気分にムラが出たり体調に変化が生じることがあること。
すなわち「つらい」し「こわい」。

③がんばろう!って言われてつらいしややこしい
友人と話をすると、「がんばろう!」と言われてつらい。
私、今はがんばれんのだわ。
あなたががんばるのは自由だけど、「お互いにがんばろう」って巻き込むのはやめてほしい。
応援の言葉を素直に受け取ることができない自分がダメなんじゃないか、とさえ思えてくる。

自分ががんになったときのことを思い出した。
「がんばろう」は難しいときがある。
すなわち「つらい」し「ややこしい」。

◇◇◇

と、キャリアカウンセリングでは、こんなことも話している。
特段、課題解決を図るわけでもなく、いま自分の中で起きていること、感じていることを話すこともあるのだ。
そう。もはや相談じゃない。
聴いてほしい、聴いてもらいたい、というほうが先なこともあるのだ。

カウンセラーが肯定的に受け止めてくれることで、思っていることを恥ずかしいと思ったりせずに話すことができる。
カッコつける必要もない。

「つらい」のように、感情を話せることも大事なことだと思っている。
私は日頃、本当はつらいのに、笑って「大丈夫」と言ってしまう傾向があり、そのことに気づいているのだけれど、カウンセリングでは素直に「つらい」と言える。

だからといって、最初から言えたわけじゃないな、とも振り返っている。
「この人なら私が普段表現しづらい感情を伝えても、肯定的に受け止めて、そこから一緒にその先を考えてくれるに違いない」という、カウンセラーへの信頼が湧いてきてからでないと言えなかったように記憶している。

最初は感情を抜きにして、事実ベースで話をしてしまいがちだが、その事実の裏で、自分がどのように感じていたのかを言語化できると、なんというか自分の考えや大事にしていることがぽつぽつとあらわになってくる感じがしている。
そこから、自分がどんな選択をしたいと思っているのかが、ようやく見えてくるような感じだ。

このあたりは、以前にnoteに書いた。

◇◇◇

キャリアカウンセラーとして、他者の提供するカウンセリングを受けることには大きな意味がある。

①クライエントが相談に至るまでの葛藤を体験するため
 →私も結構葛藤する。こんなこと話していいのか、など。
②自分に起きていることや感情を伝えることで、かえってつらくなることがあることを体験するため
 →自分と向き合うことは、つらいこともある
③カウンセラーとしての問いの質や、言葉の選択を向上させるため

その他にもあるが、要するにクライエント体験をしておく必要があると思っているところが大きい。
言おうと思っても恥ずかしくて言えないことがあったり、隠していたほうがいいと判断する自分がいることに気づく。
これは、私自身にも日常的に起こることだから、私に相談することを決めてくれたクライアントも、ひょっとしたら同じような道をたどっている可能性がある。

「相談」は容易ではないのだ。

◇◇◇

私は、キャリアカウンセリングは「トレーニングのようなものだ」と説明している。
何のトレーニングなのかというと、思考の整理、感情の整理、そしてその先の一歩を自分で選択、決断できるようになるためのトレーニングだ。

キャリアカウンセラーはアドバイザーではないので、選択肢のいくつかを示すことはあっても、最終的にクライエントが自分で選び、決断することを支援する係だ。

考え方にクセがあるなら、そこに気づいてもらい、変えたほうがいいと思うかすらもクライエントに決めてもらう。
感情も、ずっと持ち続けていることを選択するか、手放す選択をするか、クライエント自身が選べるように伴走する。

◇◇◇

つらさを抱きながらも、心と腰が痛みながらも。

伴走してくれる人がいると、私は安心して小さく先に進むことができる。
自分にその力があると、小さく信じることができる。
大きくじゃないところがポイントかもしれない。
人生は急に大きくは変えられないけれど、小さくなら変えていける気がしている。

イライラしていたり不安なとき、私はひどく落ち込んだり、態度に出てしまうことがあって自己嫌悪することがあるのだが、カウンセリング後はなぜそのような態度になるのかが言語化できるようになるから、同じような場面に遭遇したときに、再び同じ落ち込みや態度を選択するかしないかを選べるようになる。

友だちとの楽しい会話や、オンライン飲み会で気持ちを発散することもいいけれど、たまには思考や感情のメンテナンスがあってもいいと思っている。


カウンセラーの私がカウンセリングを受けるとき。
こんな感じであることを知ってもらえたら。

そして、ちょっとしたトレーニングやメンテンナンスの気持ちで、キャリアカウンセリングを選択してもらえたらと思っている。
キャリアカウンセラーの私自身もまた、トレーニングとメンテナンスを続けていく。

おかげで、新たにやってみようと思えたことがあって、この期間に挑戦することができた。
応援してくれる人たちにも恵まれて、思わぬサプライズがあった。

つらさや不安、恐怖で気持ちが停滞してしまいそうなとき、話を聴いてもらうことで、小さく一歩でも進めたほうが私にとっては有意義なのだ。

キャリアカウンセラーである私自身も、ただの普通の人なわけで、今日も「これでいいのか」などと思いながら、漂うように生きている。

で、キャリアカウンセリングとは、「受けるもの」というより、私と一緒にこんな風に漂いながら「そこにあるもの」と思ってもらえたら。

写真は、夕方に壁に模様を作る西日。


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