見出し画像

季節のお便り

わたしは四季の香りが好き。
一番好きなのは、みずみずしくて豊かに肺を満たしてくれる夏の夜の香り。
優しく寄り添ってくれるような冬の朝の繊細な香りも好き。

だけど、春の匂いは少しだけ苦手。鮮やかで新しい香りのする春は、とても良い香りだけれど、その新しい香りは、生活に変化をもたらす前兆だ。入学、新学期、進学、就職……。新しい環境に、少しの期待と、大きな不安が、胸の中をぐるぐると回っている。
春の匂いは、そんな感情の渦巻きを持ってくるのだ。

私は今年、大学で進級をした。クラスも何もない大学では、進級したところで「一つ上の学年になったなぁ」くらいの感覚なのだけれど、やはり今年も春は、そんな余裕を打ち消してしまうソワソワ感を香りとして運んできた。いつもご丁寧に、桜色のリボンまでかけてくるものだから、困ったものだ。なんだかんだで、短い春の訪れを楽しみにしている自分もいる。

好きだけど、苦手。対極に聞こえる言葉でも、割と一つの物事におさまっていたりする。
私は春の香りを嫌いにはならないし、だからと言って、春の匂い、好きなんだよね。と胸を張って言えるほどでもない。でもそれはそれで良くて。好きも苦手も、どちらかを選ばなくてはいけないなんてことはない。あるがままを受け入れればhappy。

今年の春はそんな新しい価値観を運んできてくれた。

そろそろ、夏が始まる匂いがする。私の楽しみは、これからだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?