生き地獄で息をする
《暗いです》
世界の時間はなんら変わりなく動き続けていて、私の生活もまたその時の流れに乗っている。
でも、私の心はもうずっと止まったままだ。
置き去りにしてしまった心はもう、振り返っても見つけることはできない。
心を無くした私の体は今ある情景を目に映すのがやっとだ。
現実から抜け出したいと願えば願うほど、今ある状況が辛くてたまらなくなってしまう。
でも、現状を打開する勇気も気力もない私は、流れに身を任せる他ままならない。
心を失くしてもは痛みの場所だけは覚えていて、「大丈夫、私は頑張っている。」だなんて、自分を励まして慰めないと苦しくて立っていられない。
動かない心で受け取ったネガティヴは夜になって鮮明に現れる。
私のことを見る目、話す言葉、全てが嫌な方向に見え、映像の波にのって私を襲う。
呼吸ができない。でも、涙が流れているのかすらわからない。
やっとのことで眠りにつき、目覚めた朝は夜の苦しみがなんだったのかと思うほど、ケロッとしていた。
なんだ、私まだ平気じゃん。
暴力を振るっては泣いて謝り微笑みかけるDV男のような世間は世知辛い。
わたしはそのループから一生抜け出せないのだろうとどこか他人事のように考える。
人当たりの良い笑顔を振りまいて、自分が何者であるかすらわからないままみんなの知る私を演じる。
ああ、生き地獄。
きっと私は人生において何かの罰を受けている途中だ。この禊を受けなければ、一生報われることはないのかもしれない。
目に見えぬ何かに縋り、思い込ませながら、必死にこの世で息をする。
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