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私の出産体験記③~カンガルーケアと母乳育児~


さてさて、今回が最終回、私の出産体験記。


前回までの話はこちらです。



無事に産まれてくれた娘。

へその緒を切って、ちょっとふきふきされて、帽子を被せられただけの状態で私の胸の上にやってきた。

母親学級で学んだ「カンガルーケア」。

「カンガルーケア」は、出産直後の生まれたばかりの赤ちゃんをお母さんの胸に抱っこすることをいいます。

生まれてすぐに親子のスキンシップをすることで、母子の絆が深まります。愛情をはぐくみ、幸せホルモンが出ることで母乳が出やすくなるともいわれている。生まれてすぐに母乳をあげることもできますよ。

また、お母さんに抱っこしてもらうことで赤ちゃんが落ち着くんです。呼吸や心拍などが安定し、新しい環境に早く慣れることができます。

このように、カンガルーケアはお母さんにとっても赤ちゃんにとっても良いことがたくさんあります。

そのために、助産師がお母さんと赤ちゃんのそばで、幸せな時間を安心して過ごせるよう付き添い、サポートさせていただきます。

母親学級資料より

もともとは、発展途上国での赤ちゃんの救命的効果からくるものだそう。

赤ちゃんがうつ伏せの状態で行うので、賛否あるとも聞いた。安全に行うには、医療者の見守りが欠かせない。


私が実際に体験した感想を一言で表すなら。

「神秘的」。

肌と肌が触れ合った時、娘の体温や鼓動を直に感じた。

そして、本当に不思議なことに、うつ伏せで私の胸に乗った娘、しばらくすると自分でおっぱいを探し出したのだ。

そして、まだ出はしないのだけれど、おっぱいにたどり着き、口にくわえ、ちゅっちゅっとし始めた。

これは、本当に驚いた。なんて言うか、生命力を感じた。だってこんなこと、誰も教えてないし、エスコートもしていない。まさに、本能的なのだ。

ーーお腹の中で練習してきたの?

それからしばらく一緒に過ごし、その後、娘は身体を綺麗にしてもらって、身体計測などのケアを受けていた。

私は私で、胎盤を外に出す後産やら着替えやらでケアしてもらう。

約2800gで産まれた娘は保育器に入る必要もなく、一緒に病室へ。

そして、娘の人生1日目が始まった。


この産院の方針は「母子同室」。産直後から、とにかく頻回授乳できる環境にしてある。

「産後くたくたになっているのに、頻回授乳するなんて無理なんじゃないか」という話を聞いた事がある。私も、ちょっとそう思っていた。

でも、実際、無理じゃなかった。不思議なことに、産後は全然眠くないのだ。というか、どちらかというと気分はハイ。身体は疲れているはずだけれど、そう感じないくらい。これはきっと、本能的なもの、ホルモンの成せる技なのかもしれない。

目安が30分?空けないようにだったか詳しくは忘れたが、最初はとにかくあまり間隔を空けずに授乳を繰り返す。

私も娘も初めての授乳。最初からそううまくいく訳がない。そもそも、初めは母乳なんて滲む程度なのだ。娘も飲み方の練習が必要。

そのために、産前から乳首のケアをして、少しでも飲みやすくしていたし、看護師さんが付きっきりで授乳の仕方を教えてくれた。実践あるのみ。

そうして、授乳を繰り返すことで、娘の吸う力もだんだん強くなり、それに刺激されて、母乳もしっかり作られ始める。びっくりするくらいおっぱいが張り、たくさん出るようになってくる。カスを取り除く、などの乳首のケアはしっかりしたが、おっぱいマッサージなどは1度もしなかった。


あとはオムツを替えるくらいで特にすることもなく、写真家にでもなったかのように娘の写真を撮りまくり(どれも同じような写真)、上げ膳据え膳の食事に感謝しながら、入院中の至福の時を過ごした。

息子の時にも思ったが、基本寝てばかりの新生児、ずっと見ていても本当に飽きない。


そして、この数日、焦ってはいけないのが、赤ちゃんの体重だそうだ。赤ちゃんは、数日分のお弁当(栄養分)と水筒(水分)を持ってこの世に出てくるらしい。初めは母乳もそんなに摂取出来ないことを見越して。

なので、一時的に体重が減るのだけれど、それは想定内。その後母乳がちゃんと飲めるようになれば、体重は戻り、増えてくる。

もちろんその判断は先生がするのだけれど、その病院でミルクを足す事例は年間通しても1~2例だと聞いた。

実際、娘も一時的に減ったがすぐに回復し、産まれた時より重くなって退院となった。

息子の時も同じように体験し、思った。

ーー母乳育児はスタートダッシュが大事だな。

もちろん、自宅に帰ってからが本番なのだけれど、看護師さん達がいなくても、自分で出来るんだという自信を付けてもらえた。それに何かあれば、電話して聞けばいい(母乳外来もある)。



母乳に関しては、メリットも多数報告されている一方で、色々な意見もあると思う。お母さんがしっかりと食事をしていなければ、栄養面でも心配な母乳になる。

私は結果的に2人とも完全母乳で育てることができたのだが、体力的にきつい日もあったし、乳腺炎になるなど辛いこともあった。

過ぎてしまえば、ミルクだって混合だって、赤ちゃんがしっかり育てばそれでいいんだと思う。

ただ、過ぎたからこそ、様々な方から話を聞いたりしても思うのは、あの産院で色々サポートしてもらいながら母乳育児をスタートできたことは本当に恵まれていた。

右も左も分からなかった私なのに、ハウツーを丁寧に伝授され、不安が最小限に抑えられたのだ。

それができたのも、ソフロロジーに始まり、バースカンガルーケア、母子同室、母乳育児の一連の流れと、スタッフの方々の献身的なサポートのおかげ。

そして、その流れの中で得たもの(失敗や試行錯誤も含めて)1つひとつが、育児への向き合い方にもつながっている気がする。

それこそが産院の、先生の目指すものなんじゃないかなあと、今でもうっすらと勝手に思っている。

ーー先生、癖つよだなんて言ってごめんなさい(でも本心)。心から感謝しています。退院の日のお言葉、有難かったです。お世話になりました。




これが、私の出産体験記。

たまたま巡り会った産院で、その方針に乗っかったおかげで、貴重で有難い体験ができた。

先生やスタッフの方はもちろん、支えてくれた家族にも感謝。娘も息子も産後2週間~1ヶ月は実家でお世話になった。


このシリーズの最初にも書いたけれど、一人ひとりにある出産の大切なエピソード。

初心をつい忘れてしまうけれど、こうやって時々思い出しながら、これからも子育てに向き合っていこうと思う。



最後までお読みいただきありがとうございました。


途中で癖つよ先生のメッセージを思い出したので、別記事でまた書こうと思います♩




***2023/10/16追記***

ありがとうございます😊

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