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春の外干し部屋干しにぼし


 花粉を感じると、部屋干しにする。

鼻水が垂れてきたら。
目のキワが痒くなってきたら。
花粉が飛んでいる証拠だ。もう外には干せない。


晴れている。暖かい空気が気持ちいい。それでも、外干しは避けたい。洗濯物には申し訳ないが、部屋の中で密になりながら揺れていてもらう他ない。
わたしもできれば外に干したいんだよ。陽にあてて、からっと乾かしたいんだよ。

でも、花粉が。だって、花粉が。


部屋から恨めしく外を眺める。




 生乾き臭がしないを売りにしている洗剤が多いが、そうはいってもなにかの「におい」がするときがある。

部屋干ししたバスタオルなんか、あまり好きではない。

いちばんエアコンの風があたる位置にバスタオルを干す。においがする前に乾いてくれ。頼む。


バスタオルというだけあって、乾かす範囲が広い。大部分は乾いているのに、ある部分はしっとりしたままだったりする。そんなときわたしは、エアコンの真下でタオルを高々と掲げる。神に恵みを乞う村人みたいになる。いつまで温風にあてれば乾くのかわからない。腕がつりそうになる。それでも、気持ちの問題だ。気の済むまでタオルを温める。




部屋干しで水分がなくなったバスタオルは、カピカピとした肌触りがする。



にぼしみたいだ。
水分が無くカラっとしていて、かさかさした感じとか。イワシやアジなどの稚魚を煮ているわけではいないけれど、水の中でぶくぶくされたところとか。
出汁はでないけれど、においはするところとか。


あんまり嬉しくない「にぼし」だな。



早く外干しできる日が来ないかなぁと思うけれど、春はこれからなのだ。


今日は一段と鼻水が垂れる。




もしサポートいただけたら、部屋の中でものすごく喜びます。やったーって声に出します。電車賃かおやつ代にさせていただきます。