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写真展「壁」を終えて

4月25日から30日に渋谷ギャラリー・ルデコで開催された写真展に参加してきました。そして29・30日には人生初の東京へ行ってきました。
オンラインサロンB's写真展「壁」
この写真展に在廊するため。

こうして私の東京デビューは計画的な旅行ではなく、急遽決意した写真展になったのです。
私が人生初の東京へついに決意し行くことにしたのは、もしかしたら何か大きなものを得られるかもしれないと思ったから。これは私の田舎という壁を破り前に出たいという気持ちでもありました。

私はこの写真展に出すことを決めてから、準備にとにかく時間を費やしました。東京という場所はたくさんのチャンスがきっとある。だから妥協を捨てて、今の自分にとって納得のいくもので挑みたいと思ったのです。
こんなに細かくプリントを指示してすいません、こんな事で質問してすいません…無知とこだわりの塊でそんな事が山ほどあったけど恥ずかしさを捨てて理想を追求し続けた日々。この写真展が私にとってはステージへ上がりほんのひととき注目してもらえるチャンスに思えたから頑張りました。

画面によって見え方が違う写真をプリントで私が見せたかった色で見てもらい、文字にするとつらつらと並ぶだけの言葉を声で伝える…私を知ってもらえる貴重な機会…悩んでいた在廊も気がつけば飛行機のチケットを予約していました。

4階の壁をテーマにした展示では今の”家族と風景”という写真ではなく、”親”としての自分を選びました。

『わが子を素敵に写したくてカメラを始めました。
その私が子ども写真を卒業する時、最後に壁に飾るなら…』

これは子どもがきっかけでカメラを好きになった親なら誰もが行き着く先ではないでしょうか。その中で、子ども写真を卒業してそれでもカメラを持ち何かを撮り続けたいという"乗り越える壁"ではなく、あえて"残しておく壁"をテーマにしました。

「GOAL」

"子ども写真を卒業する時、最後に壁に飾るなら"

14年前の春、わが子を素敵に写したくてカメラを始めた。
でも撮影の機会を減らしたくないと思いつつも成長と共に写真は減るもの。
娘が中学生になって日常を写す子ども写真から、人に見せる作品へと変わって気づいた。

もうすぐ、子ども写真の終わりが来る…

だから私はいつか子ども写真に終わりを迎えた時、自分の写真を壁に飾りたいと思っている。
今まで積み重ねてきた思い出と技術の集大成として。
私自身をそこに残したいと。

私が大事にしてきたのは、見るだけで蘇る空気感や声が聞こえてきそうな写真。
愛おしい子ども達が言葉を交わし、楽しみ、そのひとときを共有する。
そんな写真が写せた時、最高の喜びを感じた。
それが私の目指した写真であり代表作になるとはっきり分かった。
だから私は二人の写真を飾るのは私の代表作にしようと決めた。

絵を描くことが好きな娘は、私の写真の中でも絵のような写真を好んだ。
中学生の今、私の写真から絵を描いてくれる。
娘が母の写真を一つの作品として好きになってくれた。私はそれがどんな賞よりも嬉しかった。
そして娘はその中からお気に入りの一枚を選んだ。

息子はいつだって全力で真っ直ぐな表情を見せてくれる。
私はその姿に魅せられ作品にしたいと、いつも好きなことに夢中な彼を撮り続けた。
その中でキラキラと輝いた思い出の日がある。彼にとっては誇らしい日。
息子はその時の写真を選んだ。忘れない特別なあの日の写真を。

私の写す写真を見続けた子ども達はそれぞれに私の写真で好きなところがある。
私はその選ばれた特別な写真を最後壁にそっと掛ける。

それが私の"GOAL"だ。


私の子ども写真はまだ続く…
でも今、私達は壁を前にその訪れる日を思い浮かべ、この3枚を選びました。
ある日、手を繋がなくなったように、一緒にお風呂に入らなくなったように
その日はきっと突然やってくる。そしてそれに気づくのはだいぶ月日が経ってからだろう。


そして、この特別な3枚を選びました。
私にとっての壁とは、人生を記していく場所。


こちらは5階のGoogle Pixel展
色んな写真を楽しめるよう、”家族と風景”の作品を飾りました。

「GooglePixel and me」

カメラで撮り続けた私が
写真の質を下げたくないけど撮って残したい
本にもしたいし壁にも飾りたい
そんな欲張りをこのPixel7Proで叶えた。

子ど子ども達との時間を一番飾りたい壁はどんな時も私達に寄り添う存在。
近くで見る時も、遠くで見る時もある壁。
時には家族以外が見ることもあるその壁に
写真を飾るということは簡単だけど難しい。

る壁毎日見る壁だからこそ、ある時は飾る写真の髪の毛一本まで見るだろう。
背景の街並みに目を向ける日もあるだろう。
そしてインテリアのひとつとして色んな位置や角度で眺める日もきっとある。
そんな時うっとり見ていられる写真を飾るために
いつもカメラを持ち出していたけど
その大きさに持たない日も子どもの成長とともに増えてきた。

でもそんな日々の中でPixel7Proを手に取った時
その美しい写りに新しい道を発見した。
子どもの成長に合わせて生活が変わるように撮り方も変えていいと思えた。
今それができる時代に到達したと壁に飾られた写真を見て思う。


大きい写真2枚は地面スレスレで撮った写真と、両手を上げて高い位置から撮った写真… カメラではなくPixel7Proだから撮れる写真を意識しました。小さめの写真3枚は光の諧調やボケ感を意識してカメラに近づけた写真を考えました。
どちらもPixel7Proと言わなければカメラで撮った写真だと思われるかの挑戦でした。


今回の写真展は自分の中ではこれ以上ないくらいの想いで作り上げたパネルとフォトブックでしたが、心の中ではとても不安でした。数年前ある企画で販売させてもらったフォトブックが友人にしか見てもらえなかった事、それまでも色んな言葉を投げられた写真人生だったから。

自分が知られていないちっぽけなのも、つまらないのも、全部分かってる。それでも夢を見る気持ちをまた持ちたいと思うくらいいいじゃないか。私の良いところはそこから這い上がる力なんだ。

そう自分に言い聞かせ、写真展の宣伝をしました。誰か一人でも来てくれますように、立ち止まってくれますように…そればかり願っていました。

そんな私の元に、最初は設置してくれたメンバーからフォトブックが良かったと嬉しい言葉をもらいました。その一言を何度も何度も読み返しました。そして在廊できない平日に嬉しい知らせをいくつも聞きました。足を止めて下さった事、フォトブックをじっくり見てくださった事。
私の写真を見るのは家族くらい、そんな田舎者には夢のような事でした。まさに今、ステージの上にいると感じました。

そうして待ちに待って迎えた週末、私は初めて東京の地に降りました。憧れ続けた東京で画面越しに見てきた仲間や友人は会うとさらに距離が近づいた気がしました。会うことの良さを一人一人と話すたびに実感。久しぶりに感じた会うことの素晴らしさ。3年の間に薄れていた感情が一気に熱くなりました。私の在廊はこの熱い気持ちからのスタートでした。

最初に目の前で私の展示を立ち止まり見てくださる方を見かけた時は感動でした。顔を近づけ文を読んでくださる姿を目に焼きつけました。そして写真について話を聞いてくださる方が次々と来られた時はとにかく嬉しかったです。
気がつけば今まで背負ってきた私の負が消えて無くなっていました。その代わり、新しく自信を持てるようになっていました。それは全て私の写真を褒めてくれたメンバーの皆さんや、立ち止まってくれた方々のおかげでした。

全員が会ったことのない人達という場所へ気にもせず行くことを決めてしまったけど、そこで待っていたのは不安を忘れていたほどの時間だったと今思います。
行くまでに考えていたのは連絡をくださった方と会う事と、その日会う友達の事でした。その人達と会っても余る時間をどうしようか…そんな事ばかり考えていたはずなのに、時間が足りないほどずっと写真について話せた事には感謝しかありません。
写真展で私を知り、在廊日に再び来て話を聞いてくださった方とお会いした時は言葉にできないほどの喜びでした。
展示を目の前に涙を流してくださった方を見た時は写真や言葉の大切さ、会うことにどれほど大きな意味があるのか分かりました。
私の全てを詰め込んだフォトブックは何人も購入したいと言ってくださいました。
私が東京へ来て得た大切なものは目の前のこれら全てです。
東京は遠いし飛行機も高い…そんな固定概念はたった二日で消え、間違いなく行って良かった人生の経験値になりました。

そしてついに帰る時、喜びに溢れた満足感と終わってしまった喪失感が私を覆いました。通り過ぎていく景色のひとつひとつが私を田舎のお母さんに戻していきました。そして出迎えてくれた子ども達が自然と抱きついてくれた時、私はいつものお母さんに戻りました。

忘れないうちに、帰りの飛行機と翌日子ども達が学校に行く間にこの文章を書き綴りました。
朝起きればご飯を用意して、家事をして、普通に仕事へも行く。
東京での時間は本当に夢のようでした。
またいつか、夢のようなあのステージで話せる日が来るように…これからも14年ブレずに続けたこの想いで、変わらず写真を磨いていこうと思います。
私にとって田舎という壁は破れたのではないでしょうか。帰ってきた私は写真を磨きもっと輝きたいと思ったから。飛躍してまた東京の地に立ちたい!活躍したい!その気持ちでいっぱいです。
もっともっと家族に愛される写真を、そして人の心に届く写真を。
たくさんの笑顔や涙、心温まる言葉からとても大きなものを得て帰って来れました。

最後に、この大きなきっかけをくださった別所さんの記事を載せておきます。
この記事だけで全て伝わるのではないでしょうか。


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