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3年半ぶりの海外旅行は、スペインとフランスへ|プロローグ(1日目)

3年半ぶりに海外旅行に行ってきました。行先はスペインとフランスです。

今回の旅は、実は僕が書いたこの記事がきっかけになっています。

茨城県笠間市に工房をもつ器作家のKeicondoさんを取材したものです。もう3年前なんですよね。

この記事を、スペイン・バスク地方で活躍する料理人・前田哲郎さんが読んでくれました。

哲郎さんは、バスク地方の一つ星で、世界のベストレストラン50で最高3位(2021年)にランクインしたこともある薪焼き料理のレストラン「エチェバリ」でスーシェフ(副料理長)を務めていました。

記事を読んだ哲郎さんからメッセージをもらったのは、2021年1月4日のことでした。

興奮していて、これは運命だと思うのですが、今スペインで独立しようと思っています。日本から食器を持っていきたいと思い、(中略)ここで書かれていることがこの方を現すなら、僕の仕事とぴったり合うと思うのですが、いかがでしょうか?

messengerでのやりとり

その後、僕だけでは笠間のことなど知らないことも多いので、お世話になっている「シェフと茨城」のディレクター、藤田めぐみさんにアレンジなどお願いして、哲郎さんが帰国した際に、Keiさんの笠間のアトリエに行ったり、他の笠間の作家さんの器も知りたいと陶炎祭をまわったり、夏にはバーベキューしたりと1年近く交流しながら描いてきました。

僕は、ただの呑み要員でくっついていただけですが、なんと今回初めてバスクの空気感の中でKeiさんの器に哲郎さんの料理が盛りつけられるのを、世界で初めて見ることができるんです!

段ボールに器が入っています。手荷物の一つとして運びます。

羽田からフランクフルトを経由してビルバオへ

哲郎さんが住むスペインのバスク地方は、フランスとの国境にも近い、スペイン北部の地域で、食通の人ならば数々の星付きレストランを擁するサンセバスティアンなど、美食のエリアとして知られています。

空港はビルバオ。日本から直通の飛行機がないので、ヨーロッパの主要空港を経由して向かいます。僕たちは、フランクフルトを経由でした(ドイツのルフトハンザ航空を利用)。

羽田からビルバオまでは、14時間40分の超時間フライト!ウクライナとロシアの戦争の影響で、ロシアの空域を避けて運航をしているためです。

ルフトハンザ航空の機内食。細巻寿司が。

2月14日の12時30分に羽田を出発し、経由地のフランクフルトに着いたのは、同日19時10分。EC圏内入国ということで、入国審査がフランクフルトの空港でありました。手荷物検査もあって、これが思っていたよりも厳重にされていて、中身を出されたりして、乗り継ぎ時間は1時間50分あったのですが、あっという間にビルバオ行きの搭乗時間になります。

人生初のドイツ滞在で、空港内でビールやソーセージをたくさん食べようなんて思ってたんですが、まったくそんな余裕なし。ビールとパンを飲んで乗り換えです。

呑みきったビール。
ベジタブルサンド。
フランクフルトの空港内で何店もみかけたホットドックのお店。どこも並んでいた。食べたっかったなぁ。

21時にビルバオを出発。ビルバオも変わらずルフトハンザ航空の運航便です。夜のローカル便ということでかなり空いていました。

機内から見えたビルバオの街の灯り。
ビルバオ空港内、合計所要時間、18時間35分の旅もようやくゴール。

2時間5分のフライトで、ビルバオに着いたのは23時5分。心配だったKeiさんの器も無事にビルバオまで来ていてひと安心。哲郎さんが、スタッフのさとぅさんと一緒に空港まで迎えにきてくれました。

バスク州ビスカヤ県の最大の自治体であるビルバオから、哲郎さんが新しく店を出す同県で山間の自治体Atxondo(アチョンド)まで向かう。夜のドライブは40分ほど。数日間お世話になる哲郎さんのビジネスパートナーの別荘に着いたのは夜中1時に近くなっていました。

旅の疲れをお酒で癒そうと、ワインやシードルで乾杯。スーパーで買ってきただけといハムとチーズがすこぶるおいしい。

旅の間の話をしているとあっというまに3時間が経っていた! 明日から、アチョンドでの暮らしがはじまります。

到着したその日に4人でさっそく4本空ける。。。

都市ではない地方の食について考えたい

今回のスペインとフランスの旅は、Keicondoさんの器を運ぶというきっかけではありましたが、僕自身としては、コロナ禍が落ち着き、世界が動き始めているという実感があるなかで、海外を見ておきたいという思いがありました。

前回の渡欧は、同じくスペイン・マドリッドで2019年秋。4年半振りではありますが、その時は美術の取材(プラド美術館とベラスケス)で、食の取材ではありませんでした。その前の渡欧も2018年のオランダとフランスで、それも美術の仕事。食の取材としてどっぷりレストランを体験するのは、2017年のマドリッドとパリ以来です。

もちろん美術の仕事の合間などに、気になるレストランを予約して食べにいくことはありましたが、ヨーロッパのレストランをどっぷり体験するという意味ではもう5年以上もしていなかったのです。もう大昔の古い情報になってしまっています。

その間に、僕自身もレストラン雑誌を離れ、フリーになり、環境も大きく変わりました。コロナ禍も落ち着き、自分らしい仕事をこれからまた展開していこうとするなかで、もう一度強いインプットが欲しい。そんな思いもあって、スペインに器を運ぶ旅に参加しようと思いました。

旅のなかで感じたこと、とくに今回はバスクとコート・ダジュールという地方を回る旅でもありますので、地方の食のありかたなどについても旅日記の中で書いていきたいと思います。

しばらくお付き合いくださいませ!

(2023年2月14日)

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