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BL青春ホラー 「そこに、君の死体が埋まっている」

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創作大賞2024 ホラー部門応募作品
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「そこに、君の死体が埋まっている」第1話 彼

 彼の笑顔は、俺には眩しすぎた。  なんの邪心のない、屈託のない笑顔。悩み事なんて何もな…

「そこに、君の死体が埋まっている」第2話 再

 あの夏から六年。盆も正月も、一度もあの町には戻っていなかった。転校してすぐにバスケ部活…

「そこに、君の死体が埋まっている」第3話 嫉

 幸いにも、俺は堀の後ろの席だ。いつでも背後から刺し殺すことだってできる。ライターでも持…

「そこに、君の死体が埋まっている」第4話 拠

 堀龍起は、相変わらずあの大きな家に住んでいた。西洋風だったガーデンは六年前の白いテーブ…

「そこに、君の死体が埋まっている」第5話 今

「僕は事故に遭う前の半年くらいの記憶がない。だから、君との間に何があったか、何も覚えてい…

「そこに、君の死体が埋まっている」第6話 誰

 あの頃から六年も経っている。それも、小学五年生から高校二年生という成長期の真っ只中。ま…

「そこに、君の死体が埋まっている」最終話 君

 小学校の裏山。六年前の記憶を辿って、腰の高さまで伸びた雑草をかき分けて、たどり着いたのはあの夏よりも荒廃が進んでいた秘密基地。あの日以降、きっと誰もここへ来ていない。南京錠のかかった、錆びついた緑色のトタンの扉。  周りに落ちていた適当な石を掴んで、無理やり鍵をこじ開ける。彼を埋める時に使った大きなシャベルは、雨で洗い流されて、泥も血も残っていない状態だったのを、この小屋の中に放り投げた。とても重たくて、翌日ひどい筋肉痛になったことを思い出した。  埃まみれで転がっていたそ

「そこに、君の死体が埋まっている」番外編①「そこに、あの子の死体は埋まっていた」…

 おかしな話ですよね。  元夫から、息子の遺体が見つかったと聞いた時、最初はとても驚きま…

「そこに、君の死体が埋まっている」番外編①「そこに、あの子の死体は埋まっていた」…

 親として、犯罪を犯しているなら、それを正してやらなければならないと、そう思ったからです…

「そこに、君の死体が埋まっている」番外編②「そこに、誰の死体が埋まっていた」前編

 自然豊かな田舎の町。唯一の小学校は私たちの次の代から一学年一クラスになり、この町の人口…

「そこに、君の死体が埋まっている」番外編②「そこに、誰の死体が埋まっていた」後編

 日曜日になっても、月曜日になっても、龍起くんは帰ってこなかった。土曜日に一緒に遊びに行…

「そこに、君の死体が埋まっている」番外編③「そこに、僕の死体が埋まっている」前編

 いつからそこにいたかなんて、そんな昔のことは忘れてしまった。始まりはなんだっただろうね…

「そこに、君の死体が埋まっている」番外編③「そこに、僕の死体が埋まっている」後編

 信じられなかった。きっと、何かの冗談だと思った。  そうだろう?  だって、僕たちはあん…

「そこに、君の死体が埋まっている」番外編④「そこに、誰が埋まっていたか」前編

 昔から、この町の町長は世襲制でした。  堀さんという方が、古くは戦国時代からこの辺の土地を持っていたそうで、大工だった私の父は、よく堀さんの依頼でこの町の色んな建物の建築に関わっていました。代々そうなのですが、この町では堀さん一家に誰も逆らえないんですよ。  もし、何か堀さんの機嫌を損ねるようなことでもしてしまえば、この町で普通に生活するのは難しいといわれていました。今は、だいぶ人口も減って、時代も変わりましたから、そういう圧力みたいなものも昔ほどはありませんが、一応、まだ