見出し画像

Teacher's Dayを通して思うこと【Day67】

任地34日目.今日は「教師の日」.
任地でもセクターごとに教師の日をお祝いするセレモニーが開催された.

ルワンダに来てから初めて知ったのだが,世界には「Teacher's Day」というものがあるようだ.他の国の学校隊員たちのSNSを見ていると,日にちは違うもののどの国にも学校の先生に感謝する日として「教師の日」が存在しているようだ.

1994年にユネスコが10月5日を世界教師デーと定めており,教師への支援を求めることと,将来を担う世代の子供達に,十分な教育を施せるように求めることを目的としている.(Wikipediaより)

ほとんどの国が,教育者や教育における重要な日を記念日として定めている国が多い.一方で,日本にもあるようだが,あまり浸透していないようである.実際に私も初めてこの日があることを知った.

調べてみたら面白い記事を見つけた.
中国メディアの今日頭条が“日本はなぜ「教師の日が」存在しないのか?”という疑問を考察した記事を要約したものである.

記事では「日本ではすべての人が平等であると定められていて,職業そのものも平等であると考えられている」と指摘し,教師の日を記念日とすることは「特別扱いする」ことを意味し,他の職業についても記念日を設立する必要性に迫られると論じた.
さらに,日本では教師という職業はもともと待遇が悪くなく,「医師や弁護士,政治家と並んで『先生』と呼ばれる職業」であると強調し,受けている待遇の点から見ても「教師の日を設立する必要性に乏しい」のではないかと主張した.

祝日としなくとも,世界で一番激務を言われる日本の教師たちを労う日があってもいいのではないかなと個人的には思う.


『もう、やってられない』


10月4日に行われた中教審初等中等教育分科会(中教審)で、委員を務める西橋瑞穂・鹿児島県立甲南高校校長が教師たちの想いを代弁した言葉である.

興味深かったので記事全文をシェアする.

******************

「この審議会の議論は、もっともだと思う。でも、学校現場がどう考えるかを思うと、気が重くなってしまう。限られた時間しかないのに、学校に期待されていることが、あまりにも多すぎると感じるからだ」――。

ICT活用と小学校の教科担任制について論点整理をまとめた10月4日の中教審初等中等教育分科会で、出席した委員から学校の教育現場への配慮を求める、痛烈な意見が表明された。新学習指導要領の完全実施に向けた道筋を議論している中教審初等中等教育分科会は、いわば教育改革の本丸。そこで展開された本音トークは、出席者に強い印象を残したようだ。

発言したのは、初等中等教育分科会の委員を務める西橋瑞穂・鹿児島県立甲南高校校長。ICT環境や先端技術の効果的な活用によって、教育現場に大きな変革を促す論点整理案を巡る自由討論の一場面だった。

「世の中が大きく変わっていて、教育も変わらないといけないことはよくわかる」。西橋校長はこう切り出した。いま高校の教育現場が大学入学共通テストや民間英語検定試験、新学習指導要領の導入に直面し、大学入試改革への対応にも追われていることは、容易に想像できる。相当な作業量であることは間違いない。

「新しいことを教師全員が理解するために研修が必要だ、という声が聞こえてくる。教師が勉強するのは当然だが、研修を増やすと言っても、それが簡単にできるのか」

西橋校長は「本校は授業時間が週35時間なので、7時間目が終わるのは勤務時間終了前25分となる。その後に研修はできない。だから研修するためには、授業をカットするしかない。生徒が学ぶ内容は非常に多いので、本当は授業をカットしたくない。職員会議なども年間計画に組まれている」と続けた。

「本当に時間的には一杯一杯なのに、(残業時間を減らす)働き方改革をやれ、と言われる。そこに新しいことをやらなければならない。現場では『言っていることと、やっていることが、全く違うじゃないか』と思っているのが現実だ」

プログラミング教育を例にとり、「その現実の中で、横文字の新しい概念が次々と飛び出してくる。正直、意味がよくわからない。プログラミング教育と言われても、なんとなくイメージがあっても、実際にはよくわからない」と説明。

「何事も説明した側は『ちゃんと説明した』と言う。でも、それでどれぐらい伝わるのか。説明する側と受ける側が頭の中を一致させることは、かなり難しい。教師は生徒に教えるとき、『だいたい2割しか伝わらない』とよく言っている。『この前教えたのに、全然分かっていない』と話す」と述べ、一方的に方針を通知して終わってしまう文科省や教育委員会をちくりと皮肉った。

西橋校長が強く訴えたのは、学校の教育現場に対する想像力だ。
「もっと想像力を持って施策をやらないと、現場はついてこない。現場がついて行きたいと思っても、ついていけない。次から次に要求があり、そこに働き方改革と言われる。これでは『もう、やってられない』と、現場の教師は思ってしまう」

学校の教育現場に対する想像力が足りなかった例として、西橋校長は大学入学共通テストが採用した英語民間試験を挙げた。
「英語民間試験の問題がいつまでもごちゃごちゃしているのは、制度を設計したときに想像力が不足していたからではないか。例えば、離島の生徒は受験するのに2泊3日が必要になる。悪天候だったら、さらに時間と費用が必要になる。そういう想像力が必要だ」

西橋校長は「急いで改革しなければいけないのはわかっているし、なんとかしなければいけないと本当に思っている。でも、学校の実態をもっともっと尊重してほしい。改革、改革といっても、全国津々浦々の学校には、事情がさまざまある。本当に想像していただければと思う」と言葉を結んだ。

この発言を受け、初等中等教育分科会会長の荒瀬克己大谷大学教授は「私たちは子供たちの未来を考えて議論をしているが、学校の先生には『やってられない』という気持ちもあると思う。私たちの責任の重さを改めて思い知るご発言だった」と述べた。

******************

日本の学習指導要領が平成29年に改訂され公示された.小学校では2020年度, 中学校では2021年度,高等学校では,2022年度から全面実施される.

今回の学習指導要領では,変化する社会の中で学校が社会と連携・協働する「社会に開かれた教育課程」として大きく変化した.

「何ができるようになるのか」
「どのように学ぶのか」
「何を学ぶのか」

「育成を目指す資質・ 能力(何ができるようになるのか)」では,3つの柱に整理された.

「知識及び技能」
実際の社会や生活で生きて働く知識及び技能

「思考力,判断力,表現力等」
未知の状況にも対応できる思考力,判断力,表現力

「学びに向かう力,人間性等」
学んだことを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力,人間性等

情報化やグローバルが急速に加速し,AIやIotといった技術革新が急激に進む中で,学習指導要領が大きく改訂され,加えて2019年にはセンター試験が廃止され,2020年から新テスト「大学入学共通テスト」に移行される.

平成から令和への年号も変化し,日本社会時代が大きく変革しつつある.日本の教育も変化が起きようとしている.

世界でも”教育”の重要性が問われるなかで,日本の教育が,教師たちが置かれる環境がどう変化していくのかが気になるところだ.

(2019/10/5)

#青年海外協力隊 #JOCV #ルワン #TeachersDay #教師の日 #新学習指導要領

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?