見出し画像

キャラの作り方②キャラの基本構造と個性の作り方

小説を書く上で重要になってくる「キャラ」。前回は役割と会話に注目して解説しました。2回目の今回は、キャラの性格や個性の作り方について説明していきます。

参考資料

キャラを構成する4つの要素

「キャラ」の構成要素は、主に次の4つで説明できます。

画像1

これらは4つは、原則として一致するようにキャラ描写をしていきます。なぜなら、その方が読者にとって自然に感じて読みやすいからです。

では、それぞれの要素について説明していきましょう。

性格と価値観

他の3つの要素を生み出す基準となる要素。読者は、他の要素たちからこれを類推し、最終的にその結果からキャラに対して好悪を感じます。だから、作者としてはここを明確にしておくと書きやすくなります。しかし、重要度は二番目。

性格とは「感情の傾向」のことです。どんな感情を持ちやすいかがこれに当たります。価値観とは、「ライフスタイル」によって説明できます。ライフスタイルは次の3つから構成されています。

自己概念:自分は〜である
世界像:世界は〜である
自己理想:自分は〜でなければならない

これらは、キャラにとって内面的なもので、かつ静的、すなわちあまり変化しない部分でもあります。逆に、変化するときは、物語上意味を持つことが多いです。

心理

心理とは、そのシーンでキャラが「何を思い、どんな感情を持っているか」ということです。重要度は3番目。性格や価値観の影響と状況の影響の両方を受けて、心理は決定します。なので、動的なものと言えます。「性格や価値観」よりも具象的ですが、次に述べる「言動」より抽象的なものです。

画像2

言動

最も重要な要素。「性格と価値観」を最も頻繁に、かつ如実に表現する部分です。主に「場面」はキャラの言動の表現に当てられます。

性格や価値観、そして心理が内面的かつ抽象的なものなら、言動は外面的で具象的なものです。例えば、「コミュ障」なタイプだとしたら、しゃべろうとするとたどたどしい口調になってしまうのか、そもそも言葉が出ないタイプなのか、しゃべるのに時間がかかるタイプなのか……キャラごとにバリエーションがあります。なので、ここでキャラの個性に差をつけよう!

言動において特に重要になってくるのはキャラの「癖」です。癖とは、反復して表れる言動、すなわち「Aするとき、いつもBする」というものです。代表例は、一人称や二人称、語尾、口調などです。「性格や価値観」に基づき、「平素の状態」を規定しておくと、執筆時にとても便利です。ただし、物語に関与する部分だけしか最終的には書かないので、それが物語上のどこに反映されるかを考慮する必要もあるでしょう。無駄設定だってありえますから、オッカムのカミソリで不要なところは削っていきましょう。

原則として、キャラは性格や価値観に基づいて、心理を持ち、心理に基づいて言動を発します。つまり、それらに合致した言動をしやすいです。一方で、言動は性格や価値観と異なり、心理や状況によって変化する動的なものでもあります。もし、キャラの「癖」に合わない行動を取ることになるなら、(実際の小説に書くかどうかは別として)理由づけがあった方がいいでしょう。

外見

第一印象が大切な視覚的なコンテンツならまだしも、小説では重要度は最も低いです。むしろ、書籍化で挿絵がつくときに初めて詳細が決定する場合もしばしば。主に、次の3つで表現します。

服装
身体的特徴
所持品

一方で、シンボリックな部分を作りやすい要素でもあります。上記の言動と同様に、そのキャラらしい特徴を付与しましょう。

シーンにおけるキャラ表現の考え方

実際の「シーン」を作るときに考えるのは、次の通りです。

① そのキャラの、性格や価値観は何か?特に、そのシーンにおける目的は何か?
② そのキャラのそのシーンにおける心理は何か?
③ そのキャラはその心理を、どのような外面的要素(例えば外見や言動)で表すか?
④ 叙述に用いる単語が、分散されているか?同じ単語を繰り返しすぎていないか?

具象と抽象を反復横跳びして、シーンを形作っていきましょう。

魅力的なキャラを作りたいなら「個性」を作ろう

魅力的なキャラを作りたいなら特徴的、すなわり他のキャラと明確に異なる部分を持たせるとよいです。そのためには、まず物語内部でキャラ被りをしないように特徴を配分することです。

もし、物語の外、つまり他の作品との差別化をしたいのなら、他の作品では見たことのないようなキャラの特徴そのものを持たせるか、キャラの特徴の組み合わせを見たことのないようなものにすることで実現できます。もちろん、後者の方が簡単にできます。

面白いキャラを作りたいなら「意外性」を作ろう

原則として、キャラの構成要素4つは一致するように書くと言いました。しかし、面白いキャラを作りたいなら、「外見や言動と内面(性格と価値観、あるいは心理)が不一致」になるようなキャラにした方がいいです。あえて例外を作る「守破離」ですね。

しかし、もし不一致にする場合は、作者は必ず意図を持って、物語上の理由づけを行うことをオススメします。「優しそうに見えて、実は裏の顔があった。その訳は……」とかいう展開、もちろん私も大好きですよ!後述しますが、そういう「意外性」のあるキャラは人気が出やすいです。

なぜなら、意外性を感じるキャラに読者は興味を持つからです。その意外性の理由が作中に描かれれば、それを知った読者は、そのキャラに愛着を持つようになるかもしれません。

追記(2022/07/28)
上記は全て、キャラ単体のお話です、ただ、これらにくわえて他のキャラとの「関係性」で個性を出すこともできます。意外なキャラが好きだったり嫌いだったり、逆に好かれていたり嫌われていたり、あるいは思わぬ感情を抱いていたり抱かれていたり……。すると、それもまた個性の表現として効果的でしょう。当然、それらの感情は心理や言動にも表れます。

人気キャラを作りたいなら「愛着」が持てるキャラを作ろう

人気キャラを作りたいなら、多くの読者が愛着を持つ内面的特徴を持たせ、それを体現するような言動をさせましょう。愛着のきっかけは、次の3つあります。

好意:例えば、俺TSUEEEと俺SUGEEEを感じさせてくれる相手
憧れや尊敬:コイツTSUEEEとコイツSUGEEEと思う相手
共感:俺と同類、似た者同士、仲間だと思う相手

ある一人のキャラが3つ全てを同時に持てるとは限りません。なので、対象となる読者にとって、どれが当てはまりやすいかを考えつつ、キャラをデザインする必要があるでしょう。

キャラとキャラクターの違い

岡田斗司夫さんの次の動画の受け売りです。

上記の動画では「キャラクターは成長や変化をするが、キャラはしない」と述べています。これは「探偵小説と記号的人物(笠井潔 著)」で「性格的人物と記号的人物」という対比で説明されているものに等しいでしょう。

必ずしも、端役に至るまで全ての登場人物が成長する必要はないです。くわえて、物語の冒頭から「完成したキャラ」と言うのも存在しますからね(例:「スペースコブラ」の主人公・コブラなど)。

しかし、物語を進展させるには「キャラクター」がいた方が書きやすいです。主人公が物語の当初から変化しないなら、相棒役が変化するように書くなどの工夫をした方が、展開に困りません。

なので「キャラクター」を作るときは「変化前キャラ」と「変化後キャラ」という二つを作っておくといいでしょう。そして、物語内でその変化の理由となる出来事を描けばいいのです。

おわりに

これで、キャラの作り方は説明しました。「物語上の役割」と「性格と価値観」の組み合わせで自由自在に物語を作って行ってくださいね!

次回は、実際の地の文の書き方について解説します。よろしければ、スキを押していただければ幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?