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知ってるようで意外と知らないラジオの秘密:アナログ変調とは

私たちは何も気にせず無線通信を使っていますよね。

最近はWiFiやBluetoothなどが身近なところにありますが、一昔前からラジオ放送が一般的だったように現代の生活には無線通信が欠かせないものになっています。

有線通信のように何かしら物理的な線があれば、その中を情報が流れているんだろうなと想像できますが、何もない空間を電波が飛び交い通信しているってよく考えると不思議ですよね。

ということで、今回は音声情報を電波に変換する変調について簡単に紹介したいと思います。

変調とは

変調とは情報やデータを電気信号に変えることを言い、この作業にはさまざまな方法が考えられてきました。

今回は、ラジオなどでも使用され、キホンの“キ”でもあるアナログ変調について紹介していきます。

次回からはさらに応用したデジタル変調に進んでいくので、まずここを押さえておく必要があります。このデジタル変調というのが、現代のWiFiなどを支える技術になっているわけですね。

さて、アナログ変調では主に3つの方法が出てきます。それがAM, FM, PMです。

おそらくAM, FMはラジオで聞いたことがあるのではないでしょうか。まさにラジオ放送で使われている方法が今回のテーマになります。

それでは一緒に見ていきましょう。

まず送信したい音声情報があったとしましょう。音は空気の振動であり、波としてあらわすことができます。

音の波の情報をラジオに載せて運ぶには、音の情報を電波に変換してやらないといけません。音のままでは空気の振動情報であるため遠くまで届かせることが困難です。

このとき音の情報に搬送波と呼ばれる周波数の高い電波を組み合わせてやる必要があります。

この組み合わせによってできた電波を送受信に使うわけですね。

そして送りたい音声情報と搬送波の組み合わせ方が大きく3種類あり、それがAM, FM, PMとなるわけです。

AMとは

AMはAmplitude Modulation(振幅変調)といって波の大きさを変化させます。海の波で例えるなら波の高さ、音の波で例えるなら音の大きさを使って変換するということです。

絵を見るとわかりやすいですが、音声と搬送波を組み合わせると、音声信号(青線)の振幅に応じて送信データ(茶線)の振幅が変わっている様子がわかりますね。こうしてできた変調後の電波を送るのがAM放送というわけですね。

FMとは

FMはFrequency Modulation(周波数変調)といって波の細かさを変化させます。これは音で例えるなら音の高さになります。

音声信号と搬送波を組み合わせると、音声信号の周波数に応じて送信データ(茶線)の周波数も変わっていますね。ちょっと見にくいですが、音声信号(青線)の山と谷の位置で、送信データ(茶線)の振動の横幅が広くなったり狭くなったりしている様子が見て取れます。

こうしてできた変調後の電波を送るのがFM放送というわけですね。
このようにAMとFMでは何を変えているのか、何が変わっているのかがポイントになります。

PMとは

これはラジオでは聞かない用語ですね。

PMはPhase Modulation(位相変調)といって波の届くタイミングを変化させます。音でいえば、音が聞こえるタイミングの違いとなります。

といっても、実はPMはFMとほとんど同じ原理であるようで、これと言って違いがわかりません。

ざっくり見た目上は同じなんだけれども、周波数と位相というのは考え方が異なります。

周波数は波が振動する速さを指していて、位相はその波が届くタイミングを指しています。冒頭の説明と重複しますが、この物理的な違いが重要なポイントになるわけです。

ここではそんなに意識していなくても大丈夫ですが、この先登場するデジタル変調ではこの辺りの名前と現象の組み合わせが大事なので、雰囲気違うんだなぐらい覚えておくといいかもしれませんね。

最後に

今回はラジオなどで使われるアナログ変調について紹介しました。

私は専門がX線なので、音波というのはなかなか見慣れない領域ではありましたが、波という観点ではよく似ています。

物理的な現象としては、共通していてもその領域と応用によってここまで幅広く技術に利用されると思うととても面白いな~と感じますね。

次回からは、再びネットワークと通信の世界に戻ってデジタル変調について紹介していこうと思います。

参考

この記事では超ざっくりと紹介しているのでもう少し深く理解がしたいという方は是非これらの動画をご覧ください。非常にわかりやすく勉強になります。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000517855.pdf


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