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YouVersionアプリで検索すれば分かるが、殆どの聖書のエゼキエル書にロシは記載が無い。また中世ルース諸国の成立はエゼキエルより1600年程後の時代。

無料で使える聖書アプリ「YouVersion」https://www.bible.com/ja/appで、エゼキエル書の該当箇所である38章2と39章1に付いて、同じ箇所をアプリ内の色々な聖書に変更して比較するだけで分かりますよ。
殆どの聖書にはロシではなく、チーフとか、プリンス若しくはチーフプリンスとかでの記載になっています。元のヘブル語でも、そう言う意味ですからね。日本語聖書でも口語訳以降は総首長とかです。

これは、ヘブル語聖書からギリシャ語聖書に翻訳される時に、ヘブル語にはあまり無い表現だったので、間違いで「チーフ」の部分だけで単独の国名にカウントされてしまったと言うのが普通の話らしいですよ。

エゼキエルは旧約聖書に登場する人物ですから、もちろん紀元前の時代の人物です。
今から2600年ほど前、ユダヤ民族がバビロン捕囚に遭っていた時代の預言者で、彼自身もバビロニア(メソポタミア地域に有った当時の大国です)で活動していました。

エゼキエル書は、イスラエルから切り離されて捕囚される中で神の民としての特徴を失いそうになっている同胞に対する警告としての預言、いずれバビロニアから帰還してイスラエルを再興し、第二神殿が建造される預言、そして再興されたイスラエルに周辺地域からの脅威が迫る預言などからなっています。

因みにロシアと言う国名は、今から約1000年位前に、現在のロシア・ヨーロッパ部地域に成立した、ルース諸国、ルース世界(ルースキーミール)のルースが元になった国名です。ですから、エゼキエルとの時差は1600年位有るのです。

エゼキエルが生きていた時代には、現在のロシア地域にはスラブ系の人々はまだ進出しておらず、概ね南部はスキタイ(スクテヤ)人などの、現代のイラン、アゼルバイジャン、オセチアなどと同じ系統の言葉を話す人々が住み、北部にはフィン・ウゴルの諸族、つまり現在のフィンランドやシベリアの自治共和国の人々と同じ系統の言語を話す人々が住んでいたのではないでしょうか。少なくともエゼキエル自身はタイムリーにはロシアを知り得ないわけです。

またエゼキエルは時系列的に自分より後に来るローマ帝国の事も名指しでは呼んでいません。それなのにロシアを誤訳を通して名指し?なんて、まず無いのでは?と思うのです。
寧ろ、聖書の記述に少しでも足したり引いたりする事は厳禁なのですから、誤訳から解釈を導き出すなんて非常に問題な筈です。

日本のクリスチャン達が言うエゼキエル戦争と言うのは多分、日本国民の99%を占める非キリスト教徒に対するリップサービスではないでしょうか?
何故ならば、彼らの言い分では終末戦争に際してイスラエルvsロシアによる戦争が行われ、勝利する側に加担すれば、神の民ではない日本人も一緒に終末を生き残れる…みたいな雰囲気が醸し出されているからです。
これは、降って湧いて出た、日ユ同祖論とかと同じニーズの物なのでしょう。

私はこの話が出る度に、名作児童小説のハックルベリーフィンの冒険の1シーンを思い出します。ハックと道連れになった詐欺師が、牧師の振りをしてヘブル語の偽知識などを披露する場面です。人々がウンウン頷いて聞いている中、分かっている人々はニヤニヤしているんですよ。このエゼキエル戦争と言うネタも、そんなものだと思いますよ。

終末戦争は、神様vs多神教徒により行われるもので、成就後には神の民が生きる新しい世界が来る事になっています。
ユダヤ教徒もクリスチャンも同じ神様を信じています。たとえイスラエルとロシアが戦争になってもそれは終末戦争とは関係無いでしょう。

ルース諸国はキエフ大公国をはじめとして、リューリク家の家系が領主の国が多かった。

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