【MTG】青緑重厚/UG Backbone、あれから【エクスプローラー】


はじめに

 いつぞや書いた非防衛型の青緑重厚デッキを弄ったので記事を書く。
 あれから3ヶ月ほどの時間が経ち、《樹上の草食獣》の採用をやめた記事を書いたり、やっぱり戻した記事を書いたりと右往左往しているが、試行錯誤の末、比較的安定した形になったと思う。
 まずはデッキリストから。

 相変わらず支払うマナに対してタフネスが妙に高いクリーチャーを重厚(パワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振る)にして殴り抜けるデッキである。
 根本的な動きは変わっていないので前回の解説を参照してほしい。
 採用しているカードの大半は変化がないため、あれから評価の変化があったもの以外は解説を省略する。

クリーチャー

 《樹上の草食獣》4枚

 入ったり抜けたりしていたが、やはり2ターン目に3マナに到達できる可能性があるのは強く、結局採用継続。飛行クリーチャーに対して到達を持っているのも偉い。
 1マナで、序盤に出す意味のある能力であることは、裏を返せば終盤に引いたときのハズレ感がすごいのだが、それを加味しても1マナを8枚体制にしつつマナ加速できるのは優秀だと思っている。

 《現実チップ》1枚

 前回のデッキでいうと《秘密を知るもの、トスキ》に相当するアドバンテージ獲得クリーチャー。自身を唱えるコストと換装コストを合わせるとトスキよりも重く、打ち消されるし除去されるのだが、妨害がなければトスキ以上にアドバンテージを稼ぐ。2マナと3マナの分割払いなので3マナで換装できればトスキより1マナ軽いと言い張ることもできる。
 換装しているとクリーチャーでないアーティファクトなので除去に対して微妙に強いのが強み。
 2ターン目にこれを出し、3ターン目に1ターン目に出したクリーチャーに換装できたら強そうという理由から、1マナのクリーチャーが8枚体制になっている節がある。
 ただ伝説であることと換装コストが3マナと重いので1枚採用。

 《怒り狂う島嶼、キャリクス》4枚

 4枚採用になった。伝説なので複数枚採用すると当然手札で溜まるのだが、それを差し引いても17点ダメージを通したら勝てるので4枚採用。
 これに関しては記事を書いてあるので詳細はそちらを参照してほしい。

 《領獣》3枚

 以前から可能性を感じていたが、この度、採用となった。
 4マナだが2マナで変容することができ、1マナとタップが必要だが確実にアドバンテージを増やす能力を持っている。
 1マナが8枚なので最速2ターン目に変容できる可能性が高く、《樹上の草食獣》で土地を置けていれば変容直後に能力を起動できるようになる。この動きができることから、《領獣》の採用によって《樹上の草食獣》の採用が肯定されたと言っても過言ではない。
 パワーが2なので《逃亡者、梅澤哲子》のブロックされなくする条件に引っかからないが、《樹上の草食獣》以外に変容する際は下にしてしまえば困ることも少ない。
 2マナで戦場に出るがマナ総量は4マナなのでエクスプローラー環境の定番除去である、紛争未達成の《致命的な一押し》に当たりづらく、最悪4マナ払って出しても単体でアドバンテージを稼げる。
 現状の欠点は《逃亡者、梅澤哲子》が人間のため、変容先が若干少ないこと。
 《領獣》を採用するに至った流れはこちらの記事に書いてあるので良ければ参照してほしい。
 《現実チップ》と合わせて4枚採用の体を取っているので採用は3枚。

呪文

 《呪文貫き》3枚

 サイドボードからメイン採用に昇格。やっぱメインから貫きてぇよ。
 当たる相手が明確なのでサイドボーディングの際に頭を使わずに入れ替えられるのも利点。
 《怒り狂う島嶼、キャリクス》の17点パンチを通すためのカードなので1枚引ければ十分の気持ちで3枚採用。

 《空の踊り手、ムー・ヤンリン》2枚

 MTGArenaに実装されていない《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》の代理……のはずなのだがクリーチャー・トークンを生成できる都合上、単騎で勝てるためニッサより強い。
 奥義もニッサより継続的なアドバンテージを稼げるし、このまま本採用でいい気がする。
 即座に起動できる忠誠度能力が+2しかなく、複数枚引くことがあまり利点にならないため2枚採用。

 《太陽の義士、ファートリ》4枚

 前回採用していた重厚にするカードである《世渡り上手の交渉人》が抜けてしまったため、かつて重厚にするカードが碌になかった時代と同じく4枚採用に戻った。
 腐ってもPWなのでインソーで触られにくいのは利点。
 また、《怒り狂う島嶼、キャリクス》の4枚採用により17点ライフ回復が頻繁に行えるようになり、ライフレースに勝ちやすくなった。
 基本的にPWのような置物と考えている。

 《怪物の代言者、ビビアン》2枚

 こちらもムー・ヤンリンと同じく単騎で勝てるPW。トークン生成能力は劣勢でも多少は持ちこたえられ、ライブラリ・トップからクリーチャーを唱えられる能力は《怒り狂う島嶼、キャリクス》を戦場に出す確率を上昇させる。
 -2能力は、低マナ域のカードが多く、それらがほぼバニラのこのデッキとはあまり相性が良くないが、《領獣》の採用によって《逃亡者、梅澤哲子》をデッキから引っ張ってこれるようになった(変容コストで唱えても参照するのは《領獣》のマナ総量=4の為、2マナで2マナを引っ張ってこれる)。「それより小さい」でなければ《領獣》から《怒り狂う島嶼、キャリクス》を持ってきたりできて非常に強かったのだが、単体で勝てるカードの時点ですでに強いので贅沢か。
 5マナまで安定して伸びることは少なく、それ以前に決着をつけたいデッキなので引いたらワンチャンあるかも、の2枚採用。

土地

 前回からの変更点は両面土地の採用と《ミレックス》の採用。
 両面土地は《樹上の草食獣》で出す際、第1面でしか出せないので2枚ずつ《森》と《島》に変えても大差ないかもしれない。両面土地の代わりにスローランドやファストランドと入れ替えるのは、タップインでキレそうになったのでやめた方が良いと思われる。4マナで《怒り狂う島嶼、キャリクス》を最速で叩きつけたいデッキなのでタップインのタイミングがあるのは本当にきつかった。入れるならチェックランドの方がマシだと思う。
 《ミレックス》は土地に触る手段を入れてないコントロールを殺す土地。出てくるトークンはブロックできないため生存性の上昇には繋がらないが、毒性で実質2/1なのは偉い。《突撃陣形》でタフネスを上昇させて普通に殴り倒すこともできる。
 《耐え抜くもの、母聖樹》と《天上都市、大田原》が1枚ずつに減ったのでちょっとだけ安くなった。

サイドボード

 相変わらず下手くそなのでよくわからないが、あれから経験を多少なりとも積み、ちょっとだけ明確に採用した理由を述べられるカードが増えた。

 《厳格な放逐》3枚

 《呪文貫き》が刺さらなそうなクリーチャー主体のデッキに対して入れる。対戦相手限定だがクリーチャーとエンチャントに触れるのが偉い。
 当て先は主に1マナのマナクリや《束縛の力線》など。
 基本は当然《呪文貫き》と交換するが、《渦巻く霧の行進》と入れ替えることもある。

 《墓掘りの檻》2枚

 《魂なき看守》を抜いてこれ一本の採用。
 とはいえ最近は戦場に出ない《陰湿な根》のような墓地利用デッキも存在するので不安なところ。
 墓地利用や踏み倒しをするデッキとのんびり勝負してたら負けるので《怪物の代言者、ビビアン》と入れ替える。

 《才能の試験》2枚

 《不屈の独創力》のような特定のインソーに頼るデッキ対策。
 コンボデッキとのんびり対戦するわけにも行かないので《怪物の代言者、ビビアン》と入れ替える。

 《自然への回帰》3枚

 置物破壊と追加の墓地対策。アーティファクトに全然触れないので苦肉の策で入れている。《魔女のかまど》が憎い。
 2マナ0/4の《再利用の賢者》とか刷ってくれませんか。
 大体《渦巻く霧の行進》と入れ替え。

 《減衰球》3枚

 前回から変わらず採用。《睡蓮の原野》がパイオニア環境のウルザトロン=不可侵領域になり始めているので抜けない。
 《渦巻く霧の行進》と入れ替え。

 《魔術遠眼鏡》1枚

 とりあえずで入ってるよくわからない枠。
 白青コントロールの5テフェと《放浪皇》が憎くて入れていたような気がする。手札を見れるのが偉い。《渦巻く霧の行進》辺りと入れ替えると思う。

 《空の踊り手、ムー・ヤンリン》1枚
 コントロールやマナ加速してくる相手にバリューで負けないように追加の枠……だった気がするが、割と悠長なので別のカードを採用した方が良さそう。《渦巻く霧の行進》と入れ替えればいいと思う。

回し方

 1.1マナのクリーチャーと重厚付与カードが引けることを祈って初手確認。どちらも引けてない場合はマリガンしたほうが良い。手札の状況によるが土地は3枚あるのが理想(2マナが多い場合でも3マナは欲しい)。
 2.初手《樹上の草食獣》だった場合は3マナに到達したい。1マナクリーチャーと《突撃陣形》を置く、あるいは《樹上の草食獣》を《領獣》に変容できるとベスト。できない場合は《突撃陣形》よりも2マナのクリーチャーを出すことを優先。
 3.《太陽の義士、ファートリ》や《突撃陣形》を設置して攻撃開始。《逃亡者、梅澤哲子》を引き当ててアンブロでダメージレースを仕掛けるか、《領獣》に変容している場合は能力の起動を優先。
 4.ここまでに確保したリソースを維持しながら《怒り狂う島嶼、キャリクス》で17点パンチを決める。
 以上。

 初手の優先度は基本的に以下のようになる。
 1位:1マナクリーチャー
 2位:土地(緑マナ発生源>青マナ発生源)
 3位:重厚にする置物か《領獣》
 4位:それ以外

 クリーチャーを2体以上展開した上で《突撃陣形》などを置いて殴り始めるのがこのデッキのオーソドックスな動きとなる。2体いれば単体除去で盤面が空になりにくいのが理由。
 そのため、2ターン目に3マナと1マナクリーチャーを確保できていると2体展開しながら1ターン目に出した《樹上の草食獣》で殴れてテンポが非常に良い。
 とはいえこの動きはブン回り限定なので、大体2ターン目にマナを構えて1マナか2マナのクリーチャーを展開することになる。

 2ターン目に《突撃陣形》を出して殴り始めても良いのだが、返しに除去されると1:1交換をされ続けてゆっくり負けていくため、除去などの妨害を間に合わせないために2体以上は欲しい。
 特に2ターン目に、1ターン目に出したクリーチャーだけで殴り始めると3ターン目に2マナ以上のクリーチャーを追加して4ターン目に2体で殴ることになる。
 それよりも2ターン目に2体目を出して3ターン目に2体で殴るほうが基本的にキルターンが早いので、2体以上並べてから殴ることは常に心掛けたい。
 ただ、相手も1マナのクリーチャーを出して来たり、黒っぽくないと思った場合は1体から殴り始めても良いかも(ex.緑単相手に《神盾の海亀》→《突撃陣形》は適正なプレイング)。

 また、《樹上の草食獣》から3マナまで伸び、なおかつ《領獣》が手札にある場合は2ターン目に変容しても良い。単体除去を食らうと1:2交換となり不利になるが、1マナで能力が起動できるので一応損はしていないことになる。
 逆に言えば《領獣》に変容するときは1マナを余らせ、召喚酔いしていないクリーチャーに変容しないと除去1枚で損をするので、その点には気を付けたい。

 重厚にすることさえできればあとは普通のビートダウンなので殴るだけである。
 重厚にする置物が破壊されたりするかもしれないが、エンチャントとPWなのでメインから触るのはやや難しいし、8枚体制なので《領獣》の能力を積極的に起動していけば2枚目を引けないこともない。
 キープ基準に困った場合、クリーチャーを除去され続けると弱いので、基本的にはクリーチャーを多めに確保すること。重厚にする置物は後から引ければ十分。
 また、《怒り狂う島嶼、キャリクス》での17点パンチワンチャンがあるため、最後まで諦めないこと。除去されたら諦めよう。

不採用の理由

 前回のデッキから抜けたカードや、これは相性が良いのでは? と思われるカードを挙げて不採用の理由を述べる。
 あくまで重厚デッキの素人が適当に述べているだけなので正確性は皆無ということに注意。

 《龍の眼の学者》

 対イゼット・フェニックス用のカードとしては非常に強かったが、《怒り狂う島嶼、キャリクス》を4枚採用にしたら大体それで良くなってしまったため不採用に。
 イゼット・フェニックスの《稲妻の斧》を耐える以外に目立った働きが少なく、《致命的な一押し》で除去されてしまうのは良い印象ではなかった。
 パワー5を序盤から抑えられるという利点も《怒り狂う島嶼、キャリクス》1枚で事足りることが多く、《領獣》でリソースを確保できるようになった現在では安定してキャリクスを出せるようになり、必要なカードではないと判断。

 《世渡り上手の交渉人》

 2マナの重厚付与クリーチャーとしては優秀だったが、1ターンなのはやはり辛い。
 また、2マナということもあり除去に当たりやすく、特に隣に立っているクリーチャーに+1/+1カウンターを置くと、《砕骨の巨人》の出来事面で落ちてしまうのも良くなかった。
 現在の2マナ域はアドバンテージが取れる《領獣》に変わったこともあり、不採用に。
 ただ、+1/+1カウンターを乗せることで《領獣》が変容した際のサイズアップに貢献したり、単騎で重厚であるという特徴は可能性を感じさせる。

 《床岩の亀》

 能力的には申し分ないのだが、4マナなのが駄目だった。
 フィニッシャーである《怒り狂う島嶼、キャリクス》と同じマナ域なのはデッキを構築する上でマナ・カーブを歪め、当人のP/Tも0/6であるためフィニッシャーになれず、役割が追加の《突撃陣形》でしかなかったので不採用。自分のターンだけ呪禁も、4マナのクリーチャーだとあまり信用できなかった。
 これに関しては記事を書いたので興味があれば参照してもらいたい。

 《塔の防衛》

 非常に強力で初見殺しができるカードなので採用したかったが、単体で引いたときに何もしないため泣く泣く不採用に。
 《領獣》で手札が確保しやすくなり、単騎で勝てるPWを採用した現在では《塔の防衛》に頼らずとも勝てることが多くなった。
 とはいえ引き次第ですさまじい打点を叩きだすこのカードの魅力は変わらないので、《渦巻く霧の行進》と入れ替えても良いかもしれない。

おわりに

 前回のデッキはクリーチャーを除去され続けると詰む非常に線の細いデッキだったが、今回はサブプランとしてのPWや、アドバンテージを稼ぐカードを採用したことで多少なりともリソース負けして負けることがなくなり、右手ですべてを解決するギャンブル染みたデッキとはやや離れた。
 安定感が上がったことにより、勝率はやや上昇したが、PWでトークンを生成し続けて勝った時などは虚しさを覚えてしまう。サブプランで勝てるに越したことはないのだが……。

 そして何より採用カードの古さに一抹の不安を覚える。
 デッキに採用されているカードで最も新しいエキスパンションは《ミレックス》を除けば神河:輝ける世界――3年近く前――である。
 つまり、このデッキと相性の良いカードは3年近く追加されていないことになる。
 重厚というメカニズムに完全に追加がないわけではなく、最近で言えば《床岩の亀》がデザインされているのだが、4マナという重さはやはり下環境で採用するのは難しく、不採用となってしまった。
 近年のカード・パワーはプレイ・ブースターに移行するにつれ上昇しているのでこれから先、現代のMTGに置いていかれている重厚デッキで戦っていけるかが不安だ。
 最近の高タフネスカードは白に寄っていて、青緑のこのデッキと相性の良さそうなカードの追加は悲観的にならざるを得ない。

 もし希望があるとすれば、白単色の《厳戒態勢》が現れてくれることだろう。
 2マナ以下の白単色の《厳戒態勢》が印刷されれば、それは防衛・非防衛問わず、すべての重厚デッキへの祝福だ。
 このデッキであれば、白青にシフトすることで《怒り狂う島嶼、キャリクス》を採用しながら近年の白く優秀な高タフネスクリーチャーと組み合わせることができる。
 とはいえ、そうなる可能性は割と低そうなので、とりあえず現状はこのデッキの調整を続けたいと思う。
 前回と変わらず使ってみた感想やアドバイスは受け付けています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?