【MTG】非防衛型青緑重厚デッキでの《床岩の亀/Bedrock Tortoise》の使用感

 下環境でやっぱり4マナは重いよ~!
 《床岩の亀》というカードがある。

 4マナ0/6という壁かと思うほど目を疑うP/Tをしているが、自身の能力によってパワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振るため、実質6/6として振舞う。
 自分のターンの間だけ呪禁という除去耐性を持ち、4マナ6/6ということを考えると比較的ハイスペックなクリーチャーだ。
 この《床岩の亀》が持つ「パワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振る」というメカニズムは、MTGArenaで重厚/Backboneという名称がつけられている。
 これは《床岩の亀》以外にも同じようにパワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振るカードが存在しているからで、しかし、この名称がMTGArenaだけで用いられている理由は不明だ。
 ともあれパワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振る、と長々と打ち込むのも面倒なので、以降はMTGArenaを見習って重厚と記述する。

 この重厚を用いたデッキで、加えてパイオニア以下の環境で青緑をメインの色に据えているデッキは主に2マナのエンチャントで自軍を重厚にする《突撃陣形》と3マナのPWで常在型能力で自軍を重厚にする《太陽の義士、ファートリ》の採用が一般的だ。
 ここに《床岩の亀》を加えると重厚にするカードが12枚体制となり、安定してクリーチャーを重厚にできそうに見える。
 同じ役割のカードが8枚あればデッキになるとはよく言われることだが、12枚ならばよりデッキになるのが道理だ。
 しかし実際に使って見ると、《床岩の亀》は《突撃陣形》でも《太陽の義士、ファートリ》でもなかった。

 重厚デッキは1マナ0/5のような低パワー高タフネスのクリーチャーを重厚にして殴るビートダウンデッキなので、単体で何もしない《突撃陣形》や《太陽の義士、ファートリ》を2枚以上引いてしまうと完全な無駄札になる。
 その点《床岩の亀》は非伝説のクリーチャーなので2枚目以降も腐らないし、単体で仕事をしてくれる……のだが、どうも青緑の重厚デッキと相性が悪かった。
 青緑の非防衛型重厚デッキは一般的に4マナ0/17の《怒り狂う島嶼、キャリクス》をフィニッシャーとしている。

 重厚という言葉に聞き覚えがなくとも、「梅澤・キャリクス・哲子」という名前は聞いたことがあるかもしれない。
 《床岩の亀》はこのフィニッシャーたる《怒り狂う島嶼、キャリクス》とマナ域が被っていた。
 《床岩の亀》が世に出た直後にデッキを弄った時点では、自分のターン限定とはいえ、呪禁という強力な除去耐性を持つのだから伝説である《怒り狂う島嶼、キャリクス》よりも枚数を多く採用しており、そのことは以前記事にしている。
 結論から言えばフィニッシャーの枚数を少なくして重い《突撃陣形》を入れていたことになり、自分でデッキを弱体化していた。
 その後、《床岩の亀》と《怒り狂う島嶼、キャリクス》の採用枚数を逆転させ、デッキを運用していたのだが、《床岩の亀》に対する悪印象が拭えない。特に、4マナのクリーチャーというのが辛かった。

 4マナと言えばパイオニア以下の環境で言えばフィニッシャーが出てくるマナ帯であり、そこに事実上バニラの《床岩の亀》を出している猶予はあまりない。
 4ターン目に《怒り狂う島嶼、キャリクス》を出し、5ターン目に《床岩の亀》を出してキャリクスに呪禁を纏わせるという動きもできなくはないが、より軽い《突撃陣形》でもキャリクスを重厚にして殴るという、本質的な動きはさほど変わらない。
 クリーチャーを重厚にする置物と異なり単体で動けるというメリットも、結局相手ターンに除去耐性が消えてしまうため、さほど優位には感じなかった。
 相手ターン中に除去を撃たせているため一応テンポは取っているのだが、4マナや5マナ出るタイミングで2マナ以下の除去を撃たせたところでさほどテンポは取れないし、4マナ以上のカードであれば自分のターンに撃ってもアドバンテージが取れるカードも多い。
 さらに言えばこれは最速で《床岩の亀》を出したときの話であり、ゲームが長引いてトップデッキ勝負にもつれ込んだときに出したなら、除去1枚分のテンポなど誤差である。

 クリーチャーを大量に並べたところに《床岩の亀》が出せればインスタント除去を一切受けない総攻撃が可能なのは利点だが、単体ではちょっとサイズが大きいだけのバニラ・クリーチャーなのが辛い。《怒り狂う島嶼、キャリクス》と異なり、一撃で相手のライフを0にできる可能性がないというのも痛かった。
 結局、現在では完全にデッキから抜け、後釜にはアドバンテージの稼げるより軽いカードが入っている。せめて3マナだったなら……。

 ここまで《床岩の亀》のよろしくない点を書いてきたが、それはあくまで2人対戦のパイオニア以下の環境でのこと。
 統率者(EDH)なら4マナは軽い部類だし、1枚制限のある中で追加の《突撃陣形》であることは優秀な点だ。
 また、スタンダードであれば十分採用できる。
 ……競合相手の《古きもつれ樹》があまりにも弱いとか、そもそも重厚にするカードが他に碌なものがないとか、後ろ向きな理由が色々あるが、それでも4マナ実質6/6は強い部類だ。《黙示録、シェオルドレッド》と同じマナ域なのは見なかったことにしてください。
 さらに言えば2人対戦の下環境でも《怒り狂う島嶼、キャリクス》をフィニッシャーに据えたデッキと相性が悪かっただけで、他の色、あるいは他のデッキならば活躍できる可能性はある。
 特に《床岩の亀》の重厚付与はパワーよりタフネスが高いクリーチャーだけを重厚にするので、2/1のような、いわゆる頭でっかちとも共存できるのだ。
 そのため、重厚をデッキのメイン・ギミックに据えていなくとも4マナ実質6/6のクリーチャーとして採用しても問題がない。自分のターンに自軍全体に呪禁を付与する能力も、何かの役に立つだろう。
 もしかしたら、《床岩の亀》の本当に活躍できる場所というのはそういうデッキなのかもしれない。
 《床岩の亀》の重厚デッキでの居場所は自分の未熟から見つけてやれなかったが、いつか誰かが2人対戦での居場所を見つけてくれることを祈っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?