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受験妨害計画的犯行

2月6日、某関西有名大の入試を受けた。

準備は万端とは言い難いが"それなりに"というスタンスで臨む。母が握った愛情と期待と応援と願望が入り混じったおにぎりを持って受験地へ向かう。席は真ん中の方で換気で窓が開いてるが暖かく、気持ちのいい柔らかい暖かさだった。

英語試験が90分。僕にしては長い。というより初めての感覚で、集中が持つかどうか心配だったがやり切れた。しかしまぁ、とんでもなく疲れるな。これ。すごくお腹空いた。朝に結構食べたのに。勉強ってこんな疲れるんだな。1時間休憩なので昼ごはんを食べる。

母が握ったおにぎりは4つ入ってて普段は2個くらいで充分だったが、その日は3つ食べた。鮭と昆布と梅。美味しい。残りの1つは試験中お腹壊したらいけないと思い、取っておいた。

2限目は国語試験。僕は現代文は得意だったのでさくっと終わらせた。

試験開始から35分くらい経った頃だろうか。とてつもない眠気に襲われた。

これは想像してる程のものじゃない。本気で死を覚悟するレベルの眠気。コンセントが外されたように。スイッチが切り替わったように。眠気の、威力が強くて鋭いボディーブローが炸裂する。これは耐えられない。なにより為す術がない。水を飲もうにも外の空気を吸おうにも試験中だから出来ない。眠気による猛攻を前にして、僕はガードすらままならない。

なぜ?と疑問に思う。だって直前まで「眠い」という感情は一切、全く無かった。知らない人に出会い頭いきなり殴られたような。いきなりすぎて反応できない。もはや気絶に近かった。そして何も考えられない頭の中で唯一浮かんだのが

「おにぎりに睡眠薬を混ぜられたのでは?」

ということだった。そうとしか考えられない。映画でスパイが睡眠薬を混ぜてターゲットが倒れるシーンを見たことがある。あれだ。僕が食べたおにぎりに、もしくは水筒のお茶に、睡眠薬が混ぜられたのだ。梶井基次郎の「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」並の暴論ではあるが。これは信じていいことなんだよ。何故って、睡眠薬混ぜるくらいしないとあの眠気は信じられないことじゃないか。

ただ、母親をそんなふうに疑うわけが無い。しかし、その眠気も3時限目まで及んで何も出来ないまま帰路についた。家に帰っていの一番に訊ねた。そうすると母は笑いながらこう答えた。

「満腹中枢じゃない?笑 お腹満たされて眠くなるのあるじゃん」

そんな訳あるか。満腹中枢で眠くなるのは知ってる。平日の昼下がり5時間目にクラスで何人もが船を漕いでいるのを見ているし、なんなら僕もその中の1人だ。もはや満腹中枢のスペシャリストだ。そんな僕がましてや睡眠薬を疑う程の眠気だ。5時間目の眠いとき僕は「あー寝そうー」とかだんだん意識を失っていくのを感じてる。今回はそうじゃない。意識の領域を無意識が一瞬で塗り替えたような。ただ眠いだけなら「今日受験だったけど眠過ぎてヤバかったw絶対落ちたわw」とツイートすればいいだけだ。しかしわざわざ、僕が、noteに書き込んでまで、眠気について書いている。事の重大さを分かって頂けただろうか?本当に死ぬかと思った。

教師が「みんな睡魔と戦ってるねー笑(皮肉)」とか言うがそんな次元じゃない。そんな可愛いもんじゃない。邪悪で不気味で悍ましい。なんか、今回だけ僕に憑いた睡魔が魔王レベルだったのか?睡魔王?

前日も睡眠時間はちゃんと取ったし体調も万全だったのにあれは有り得ないことだ。母親も疑ってるし隣の席のやつも疑ってるし今全てが疑わしい。人生で初めて疑心暗鬼になってる。全てが僕の敵だ。こんなことで受験落ちるなんて最悪だろ。でも万全の状態で落ちたらそれはそれで落ち込むからトンパみたいなやつが僕に薬盛ったと考えときます。

もう寝ます。おやすみなさい。

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