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大学無償化とは?条件や注意点、賛成・反対の声について‼️

12月11日、政府の「こども未来戦略会議」が「異次元の少子化対策」の詳細を含む「こども未来戦略」案を公表しました。この中で、3人以上の子どもを持つ家庭に対する大学の無償化が提案されましたが、無条件ではなく、条件が付与されています。また、子どもが2人以下の場合は対象外となり、政策の実効性については疑問が残ります。

大学の授業料は家計に大きな影響を与えるため、対象者にとっては歓迎すべき政策でしょう。しかし、大きな資金が絡む政策において条件が付くことは検討すべき点であり、今回の条件は「多子世帯の子どものみ」となっています。

昔から学力優秀な学生に対する優遇策は存在しており、条件付きの政策がどのような影響を与えるかは議論の余地があります。政策の拡大や既存の制度を活かした改善が、上位者を含む広範な受益者層に対して効果的だった可能性も考えられます。

しかし、条件は多子世帯である必要があります。まず、このこども未来戦略とは何かを理解し、その中で提案された大学の無償化について、一般の意見も交えながら検討していきましょう。


こども未来戦略とは?

「こども未来戦略」は、日本政府が策定した重要な政策指針で、若い世代の生活の質向上と子育て世帯の支援がその目的です。以下にその特徴を挙げます。

1. 若い世代の所得増加
  - 若者や子育て世代の所得向上を図り、経済的な安定を追求します。
  - 結婚や子育てに関する経済的な障壁を低減し、若い世代の生活の質向上を目指す取り組みです。

2. 社会全体の構造・意識の変化
  - 社会の構造や意識を変革し、子育てがしやすい環境を整備することを目標とします。
  - 職場での柔軟な働き方や子育て支援の拡充などが含まれています。

3. すべての子ども・子育て世帯への切れ目ない支援
  - 子どもたちが平等に尊重され、健やかに成長できる社会を目指し、教育や保育、医療などあらゆる面での支援を提供します。

これらの戦略は、日本が直面している少子化問題に対処し、将来の持続可能な社会を築く上で重要です。今回の大学無償化政策は、特に3番目の特徴に該当し、全ての子どもや子育て世帯に切れ目ない支援を提供する一環と言えます。

2025年度からの大学無償化?多子世帯に限定

2025年度から導入される新たな政策により、3人以上の子どもを抱える多子世帯は、大学の授業料が無償となります。この政策は、少子化に対抗するための「こども未来戦略」の一部として実施されます。子育てしやすい環境を整備する目的で、教育費の負担を軽減する方針が採られています。

多子世帯の教育費負担に大きな変化

2025年度から施行される大学授業料の無償化政策は、特に3人以上の子どもを抱える多子世帯にとって著しい変化をもたらすと期待されます。この政策が実現すれば、これまで高い教育費に悩んでいた家庭が、経済的なプレッシャーから解放される可能性があります。

家庭の経済状況と教育の機会

無償化政策は、家庭の経済に著しい影響を及ぼします。教育費の節約により、家族に経済的な余裕が生まれ、教育の機会を広げる可能性が期待されます。特に経済的に苦しむ家庭では、子どもたちへの教育への関心が高まるでしょう。無償化による教育機会の拡充は、長期的な経済的効果をもたらし、子どもたちが質の高い教育を受けることで将来的には家族全体の経済状況が改善される可能性があります。

就職で扶養を外れると2子・3子は対象外

2025年度から、3人以上の子どもを抱える家庭において、大学や高等教育機関の授業料や入学金が無償化されます。この支援対象には所得制限はなく、医学部や6年制の学部、短大、高専、専門学校も含まれます。

ただし、「無償化」であっても制限があります。国公立大学の年間授業料約54万円と入学金約28万円、私立大学のそれぞれ約70万円と約26万円が無償化の上限となります。私立大学の授業料には学校ごとに差があるため、国公立大学の標準額を基に一定の加算が行われています。

条件として、3人以上の子どもが「扶養」されていることが求められます。たとえば、3人兄弟の長男が大学を卒業し、就職して扶養を外れると、次男・三男は対象外となります。また、留年や出席率の低い場合も支援が中断される可能性があります。

なぜ3人?「高等教育の負担が…」の声

「3人以上」が無償化の対象となる理由は何か。文部科学省の担当者は、「国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、多くの人が『子どもを3人以上持ちたいが、家計の問題で、大学など高等教育の負担が重い』と回答したことから、この条件を採用した」と説明しています。

2021年の国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、「夫婦にとって理想的な子どもの数」の平均は2.25人でしたが、「(実際に)何人の子どもを持つつもりか」との質問に対しては、平均2.01人でした。この調査を踏まえ、「高等教育の費用がかかるため、子どもの数を抑える傾向がある」という論理が無償化対象の条件に反映されています。

下の子ほど選択肢が狭められてしまう

ただし、大学進学支援の観点からみると、すでに年収380万円未満の世帯を対象にした授業料の減免や給付型奨学金が存在しています。政府は2024年度から、子どもが3人以上で、年収600万円までの世帯を対象に制度を拡充する計画です。今回の無償化策は、この既存制度を一層広げるものであり、「所得制限がなくなり、減免される額が大幅に増える点については評価できる」と述べるのは、日本若者協議会の室橋祐貴代表理事です。ただし、「扶養する子が3人以上いる世帯」が対象となる点に対しては留保の意見があり、「親からすると、第1子が社会人になったからといって、下の子も含めた負担が消えるわけではない」と指摘しています。

室橋氏自身が4人きょうだいの末っ子であるため、制度があった場合でも、年齢が離れた第1、第2子は既に卒業しており、自身が対象外となるという経験から、「下の子ほど金銭に余裕がなく、選択肢が狭まる」という懸念が依然として残ると述べています。

子どもを持つ「動機づけ」になるの?

無償化の対象となり得る世帯は現在、どれだけ存在しているのでしょうか。厚生労働省の2022年の国民生活基礎調査によれば、3人以上の子どもがいる世帯は全体のわずか2.3%であり、その影響は限定的です。

政府は「異次元の少子化対策」を強調していますが、大学無償化が「子どもを持ちたい」という動機づけにどれだけ影響を与えるかは疑問が残ります。

「少子化対策としてはほとんど効果がない」との見解を示すのは、学習院大学の鈴木亘教授(社会保障論)です。鈴木教授は、「少子化対策は、これから子どもを産む人たちの行動や意識を変えなければならない」とし、政府の支援が主に既に子どもがいる人向けで、これから子どもを持とうとする世代には効果が薄いと指摘しています。「政策として十数年後まで維持できているのかも疑問だ。本来必要なのは、結婚を希望する独身の人を結婚できるようにするための政策だ」と述べています。

Twitter上の大学無償化賛成派と反対派

大学無償化賛成派

「子供3人以上だと大学無償化賛成!!!
学費が1番高いし、これをきっかけに全ての子が無償で学べる日本になって欲しい!!
だから対象じゃないから損だから反対ってしないで欲しい。これを広げていきたい。
外国の学生にあんだけお金使ってたのが、やっと日本の子に使おうってなったんだから。」

「うちはもう恩恵には与れないけど、それでも大学無償化には賛成。
会社の若い後輩たちが奨学金という名の借金返済に苦しんでるのを見てるから。
どんなに優秀でも、家の状況が厳しかったら奨学金借りないと大学や院には行けない。しかも出た後に10年以上返済が続く。こんなの是正してあげたい。」

「うちは子ども2人だし国や市町村の出す優遇される施策をことごとく逃して来た世代の親なわけで、同じように子を育てながらその税金を負担するだけなんだけど……大学無償化は賛成。

多子世帯限定で2人目は半額、3人目からが無償で。第1子が大学行かなくても卒業してても。出生率上がるといいね。」

大学無償化反対派

「じゃあ今まで奨学金返済してきた人の苦労は何だったの?それに財源は税金だよ!ただでさえ増税増税で国民は苦しんでるのに更に負担が増えなんてあり得ない。悪いけど、義務教育は中学まで。それ以上は子を産んだ親の責任。勿論日本が産油国で大金持ちだったらいいよw」

「子ども3人いない家庭は多子世帯の大学授業料を税金で負担して、自分の子どもは奨学金借りて大学卒業させるんだろうか。絶対に納得いかない。」

「多不公平過ぎる。
子供3人欲しかったけど金銭面で断念。うちは子供2人フルタイムで毎日時間に追われています。
そんな中、他の子の大学費用のために税金や社会保険料をこれ以上増やされるのでしょうか。
多子世帯原則対象ではなく一定の学力がある子供を対象して欲しい」

多子世帯への無償化政策は、
公平性の観点から一部で疑問視されています。
1人や2人の子どもを持つ家庭には同様の支援がないため、教育支援における平等性の問題が生じています。この点について、社会的公平性を重視する視点からの議論が必要ですね。

諸外国とは違う、高等教育の私費割合

日本では、大学進学が家庭の経済状況に大きく左右される現状があります。高等教育段階における私費割合は67%であり、これは経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均31%を大きく上回っています。

同志社大学の吉田徹教授(比較政治学)は、「高等教育を含めて、経済的余裕がない世帯には支援があるべきだというのが諸外国の考え。一方で日本では、教育や医療など必要な社会サービスは、各世帯が自費負担で購入するものという意識がこびり付いており、そこに税金を使って無償化するというのに抵抗がある」と、この意識の違いを説明しています。

政府に必要なのは「人権保障の観点」

戦略案は、子ども1人当たりの関係予算を、OECD加盟国で最も高いスウェーデンの対国内総生産(GDP)比15.4%を超える16%に設定しています。吉田氏は「欧州でも多額の予算を付けても高齢化が進んでいる。生活の見通しがあるのか、安定が見込めるのかという、人が子孫を残す前提条件を根本的に改善する必要がある」と訴えます。

多子世帯への支援についての議論が不十分であり、急激な拡大に対して室橋氏は「政府の計画性のなさが国民の不信につながっている」と指摘します。「政府が子どもを持つ世帯への支援ばかり手厚くしたり、子どもを産むように誘導するのではなく、生きやすい環境を整えるという人権保障の観点がなければいけない。そうでなければ、いつまでも国の方針に左右される」と述べています。

まとめ

この政策に賛成する人々は、出生率の増加を重視しており、将来の世代に奨学金の返済負担を軽減したいと考えています。また、これまで国の資金が海外に向けられていた視点が、ついに日本の子どもたちに向けられたことを喜んでいます。

一方で、反対する人々は、金銭的な理由から二人目や三人目を諦めた多子世帯が、自分の子どもに加えて他の多子世帯の費用まで負担するという二重の負担を感じています。また、既に授業料を支払ったり奨学金を借りている人々には救済措置がないことに不満を抱いています。

多子世帯に焦点を当てた政策は、異なる家庭のニーズに対応できない可能性があり、これが不公平さが目立つ条件を設定した理由の一因でしょう。最終的に、この政策が多くの人々によって支持され、少子高齢化に終止符を打つことができるかどうかは未知数ですが、注目が集まるでしょう。

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