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030« 2018年 ポルトガル、身に沁みた深夜の親切

7月。

成田からスペイン、マドリードに到着して始まった旅。

数日経って、お隣のポルトガルへの旅をスタートする日。
マドリードのバスターミナルから夜行バスに乗った。
目的地はポルトガルのモンサラーシュというアレンテージョ地方にある小さな村。
そのためにまずはポルトガルに入って、エヴォラという街からローカルバスを2本乗り継ぐ。

ほぼ定刻で夜行バス出発。
日本で乗るそれとは雰囲気がまるで違う。
まず、静かではない。車内は暗くなっているものの、グループや家族で乗ってる人が多く、普通の昼間のバスのようだ。
バカンスシーズンだからかもしれない。
いたるところで会話がやまず、どこかで電話が鳴っている。そして始まる大音量での会話。
最初から夜行バスで寝ようとは思っていなく、安いからという理由で乗ったので我慢する。

予定では深夜3時頃、エヴォラのバスターミナルに到着。
そしてバスターミナルで待機し、ローカルバスに乗るという段取り。
さいわい、自分の隣に座った男性は一人客だったようで、静かに寝ていたので平和だった。
「エヴォラ!」と運転手さんが叫んだのでバスを降りる。
外に出ると道端のバス停という風景。ターミナル内に着くと思ってたけど違った。
自分の他に2名ほど下車。
バスタはどこだ?と見渡すと、バス停の向かい側に大きめな建物が。これがバスタか?と近づくも、どう見てもクローズしている。
下車した2名はすでにどこかに向かったのか、迎えが来たのかもういなくなっている。
この、どう見てもクローズしてる建物がバスタであると判明したところで自分の思い込み、バスターミナルに到着ってなってるんだから夜通し営業してるんだろうな、ここで待っていられるよね、という思い込みが間違っていることに気付いた。
どうしよう。きっと最初のバスが動き始めるまでここは開かないんだろう。
ひとけのないシーンとした暗がりで数分考えた後、ちょっと離れた方角にホテルらしき建物の灯りが見える。
ひとまずそっちに向かおう。
途中、ガソリンスタンド内にある喫茶店のような営業しているお店もあったけど、なんとなくスルーし、ホテルの灯りのほうへ。
道が石畳でコロコロの荷物が引っかかりまくる。

旧市街の中に入ったようだけど、真夜中なので人通りはなし。
ホテルは数軒あり、フロントに人がいるホテルを発見。
数秒考えたあと、もうこれしかない、、という結論に達した。
フロントのところにあるソファに朝になるまで座らせてもらおう。
英語でなんて言えば?と英単語を頭の中で並べながら中に入る。
あれこれ考えているうちにドアを開けるのを躊躇う気持ちが勝ってしまいだったので、とにかくドアを開けてしまう。
エクスキューズミー、、、
キャナイステイヒア、、アンティルバスターミナルオープン、、、?
っておそらく言ったと思う。
フロントの男性は、どうぞご自由に、といった雰囲気であっさりOKしてくれた。
サンキューベリーマッチ、、
助かった、と心から安堵した。
別に命の危険があった訳じゃないけど、路上で時間を潰すのを免れたというのと、不審者が近づいてくるのをここなら回避できそうというのと(逆にいまのこの状況で不審者は自分のほうだが)、英語が通じたという安堵。
フロントの男性にどこから来たの?とか、これからどこに行くのか?と聞かれ、ジャパン、モンサラーシュ、、と単語で答える自分。
そしてソファ脇に電源があったので許可をもらって充電させてもらう。
さらにフロントにWi-Fiパスワードがあったので、それも。
ああ、本当にありがたい。
だんだんと外が明るくなり、業者の人の出入りが何度かあった後、フロントの男性がコーヒーでも飲むか?と聞いてきた。
イエス、と答えると、食堂に案内してくれた。
けっこう広く、朝食っぽい良い匂いがしている。
テーブルにつくと、コーヒーだけでなくパン、エッグタルトもついてきた。
え!と驚いていると、食べな、といった雰囲気でテーブルに置いてキッチンに消えてしまった。
こ、これはタダで良いのか、、?
キッチンから出てきたので、ハウマッチ?と聞くと、フリーだよ、とのこと。
いやいや、宿泊客はフリーだろうけど、、でも、払いますから!みたいな押し問答もな、、と思い、ありがたく頂いた。
旅に出る前、ポルトガルではエッグタルトいっぱい食べようと思っていたが、思いがけないところで最初のエッグタルトを頂くこととなった。
とても美味しかった。

食べ終えると外は完全に朝になっており、もうバスターミナルも空いているだろう。
フロントの男性に、サンキューフォーユアカインドネス、とカタカナ発音で伝えホテルを出た。
モンサラーシュへ向かう。

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