相談面接の中で、聞きづらいことを聞くときの質問の仕方

 今日は、「相談面接の中で、お金に関することなど、聞きづらいことを聞く(聞かないといけない)時に使える、質問の技法についてお伝えさせて頂きます。

 というのも、私自身、新人ソーシャルワーカー(当時は急性期病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)でした)の頃、「お金のことって聞きづらいな」と感じていました。
 もちろん、支援を進めていくうえで必要な情報であり、また転院調整においては相手先の病院MSWからも聞かれることがあり、面談では確認しないといけないことの一つでした。

 しかし、特に若手のソーシャルワーカーであればそうですが、自分より年上の相談者さんに対して聞くこと(あるいは、聞かないといけないこと)も多々あります
 「こんなこと聞いていいのだろうか」、「失礼にならないだろうか」と感じていました。しかし、色々と工夫していくうちに、今回紹介する方法を実践したことでスムーズに聞くことができ、面談もうまく進むようになりました
 今回の記事は、そのような状況にある新任ソーシャルワーカーにとって、少しでも参考になればと思います。
 

なぜそれを聞くか、聞かないといけないかが

相手に伝わっているか

 本題に入る前に、1点だけ前提の話をします。
 それは、お金のことなど、そのことについて「なぜワーカーが聞くのか(あるいは、確認する必要があるのか)」が、きちんとクライエントに伝わっていることが重要となります。
 これは、面談の最初にクライエントに説明をし、同意を得ておく必要があります。

 例えば、「転院先を探していくのにあたって、必要な情報を相手先の病院に伝える必要があり、いくつか入院前の状況をお伺いさせて頂いてもよろしいでしょうか?」「貸付の手続きを進めていく為に、コロナの影響を受ける前と後の収入の状況確認する必要があり、いくつか伺ってもよろしいでしょうか?」等とお伝えし、クライエントから「はい」という返事をもらっている(もしくは、相談支援の文脈上で暗に理解されている)ことが前提となります。

 また、この際、面談におけるソーシャルワーカーのスタンス・立ち位置も重要となります(ソーシャルワーカーの立ち位置・スタンスについてはこちらを参照ください→ソーシャルワーカーのスタンス・立ち位置)


では、どうやって聞くか

 それでは、今回のメインテーマ、「どうやって聞くか」です。
 例えば、何も考えずに聞くと、次のような聞き方になります

「先月の給料はいくらでしたか?」

「ご本人は年金をいくらもらっていますか?」

 先日も、新人ソーシャルワーカーの方がこのように質問しているのを横耳で聞いていました。

毎回聞く項目であれば、記入用紙を作ることも

 収入のことなど、毎回聞く項目であれば、記入用紙を作ることも一つの手かと思います。
 「こちらの記入様式に、わかる範囲で構いませんので記入をお願いしてもいいでしょうか」とお伝えすれば、確認しやすいかと思います。

では、どうやって聞くといいのか

 そういった様式もない場合や、電話での対応等の場合、私は次のような聞き方で聞いていました。

○本人に聞く場合
「差し支えなければですが、先月の給与について、どのぐらい手取りでもらっていたか、伺ってもよろしいでしょうかね?」

あるいは、
「もし覚えていればですが、先月の給与について、どのぐらい手取りでもらっていたか、覚えてみえますでしょうかね?」

○家族に聞く場合
 また、医療ソーシャルワーカーの転院調整等、本人ではなく家族と面談を行う場合(例えば、入院医療費の軽減が図れるかどうかの確認の為、入院中の義父の年金をお嫁さんに聞く場合)では、私は次のような聞き方で聞いていました(正直、MSWの時は、この技法を毎回使っていました)。

「年金についてなんですが、ご本人様(義父)が、これまでどのぐらい年金をもらっていたか、ご存知ありますでしょうかね?」


 いかがだったでしょうか。
おわかりのとおり、これらはいずれも「給料がいくらだったか」「年金収入がいくらか」ではなく、いくらもらっていたかを「伺ってもいいか」、「覚えているか」「知っているか」を聞いており、印象が柔らかく、また相手も答えやすいのではないかと思います。

 また、例えば家族に聞いた場合に「わかりません」と言われた場合も、次のように答えることができます。

「そうなんですね。というのも、もし年金収入が少なく非課税世帯であれば、○○という手続きができて、入院医療費の支払い額を軽減できます。またもしわかれば、教えてください」などと、質問した意図と合わせて説明することができます。

 また「差し支えなければ」、「もし覚えていれば」など頭にワンクッション言葉をつけるだけでも、印象が柔らかくなり、話を聞きやすくなるかと思います。


まとめ

 今回は「相談面接の中で、お金に関することなど、聞きづらいことを聞く時に使える、質問の技法について書かせて頂きました。
 「先月の給料はいくらでしたか?」、「ご本人は年金をいくらもらっていますか?」というように直接聞くのではなく、
・「差し支えなければですが、先月の給与について、
 どのぐらい手取りでもらっていたか、伺ってもよろしいでしょうかね?」
・「もし覚えていればですが、先月の給与について、どのぐらい手取りで
 もらっていたか、覚えてみえますでしょうかね?」
・「年金についてなんですが、ご本人様(義父)が、これまでどのぐらい
 年金をもらっていたか、ご存知ありますでしょうかね?」
 というように、頭にワンクッション言葉をつけ、また「伺ってもいいか」、「覚えているか」「知っているか」と間接的に聞くことで印象が柔らかく、また相手も答えやすくなるかと思います。

 是非、面談等で使っていただければ幸いです。
 ここまでお読み頂きありがとうございました!

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