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月刊ログインをご存知ですか

あぁ、我が青春の月刊ログイン

ログイン(LOGiN)という雑誌をご存じでしょうか?

株式会社アスキーが1983年4月から発行していた雑誌です。主にパソコンゲーム等の話題を中心にした紙面構成で、その当時、青春ど真ん中だった一部の少年少女達のハートを鷲掴みにしました(言い過ぎ)。あまりの勢いに、1988年7月15日号からは、それまでの月刊から、月二回刊になりましたがインターネットの普及やゲーム文化の多様化も進み、2008年5月に惜しまれつつ、役目を終えて休刊となりました。

子供の頃から、あらゆるジャンルの(コンピュータ)ゲームが好きだった自分の青春は、このログインと共にあったといっても過言ではないのですが、特に月二回刊となる前の月刊ログインの時代こそ、まさにログインの黄金期であり、我が青春の象徴だったのです。

パソコン文化黎明期

当時は今と違いパソコンに、統一規格のようなものはなく、NEC、富士通、SHARP、Appleといった各メーカーが好き勝手に独自規格のパソコンを展開する群雄割拠の時代でした。学校の同級生クラスメートも、どのメーカーのパソコンを持っているかで、NEC PC88/98派、富士通FM派、SHARP X1派等に別れており、多くの少年少女が、お互いのパソコンのイケてなさを罵りあう、不毛な日々に青春を費やしていました。まぁ、パソコン等に見向きもせず、スポーツや恋愛に青春を費やす正しい少年少女のほうが大勢だったと思いますが、、、。

83年12月号より、武田鉄矢さんがイメージキャラクターを務めたNEC PC-6001シリーズ

しかし、そんな混迷の時代、のちおたくと呼ばれる彼らが、パソコンを何に使ったかといえば、これはもう間違いなく、その筆頭はゲームでした。いや、むしろ彼らのポンコツな脳みそでは、パソコン=ゲームという間違った図式が確立していました。とはいえ、この時代は各社のパソコンの互換性のなさ(MSXを除く)から、ワープロ等のパソコンをビジネスに使うようなソフトウェア等も少なく、ゲームが黎明期のパソコンの普及をけん引したというのは事実なのかもしれません(例えばこの当時、ワープロはパソコン上で動作するソフトウェアよりも、専用機の方が遥に普及していました)。

85年11月号より、サラトマ、デゼニランド、、、懐かしすぎ。

ルール無用、暴走する独自企画

今でいえば、多くの人がゲーム雑誌に求めるものは、レビュー記事や攻略記事、それに新作情報といったところでしょう。しかし、この当時、ゲーム雑誌かくあるべきといったフォーマットのようなものは存在しなかった為、月刊ログインは良く言えば斬新、悪く言えばハチャメチャな企画記事がよく掲載されました。例えば85年11月号の見出しはこんな感じ。

85年11月号より、白夜に消えた目撃者!!

この当時はゲームの主流がアドベンチャーゲームという時代ですが、それにしても編集部をネタにしたオリジナル大作アドベンチャーゲーム「死人は便意を催さない(PC-9801)」や、なぜかラジオ番組とのタイアップ企画、これもオリジナルの「ヤンパラアドベンチャー(FM-7)」等、市販のゲームレビューでも攻略記事でもなく、特集記事の為だけに作ってしまったオリジナルゲーム紹介記事が、これでもかと幅を利かせています。

たとえば「死人は便意を催さない(PC-9801)」は、記事でオリジナルゲームを紹介しながら、巻末掲載のプログラムリスト(しかも数ページに及ぶマシン語!!)を、当時高価だったNEC PC-9801セット価格30万円以上読者自身が手入力してゲームが遊べるお金持ちは月刊テープログインを購入するのだという仕組みになっていました。PC-9801を持たない多くの読者置き去りにする企画ですが、編集部はもちろん、そんな読者にも配慮しています。

月刊ログイン85年11月号より、なぜか便器のペーパークラフトが、、。

PC-9801を持ってない読者はペーパークラフトで便器でも作って遊んでおきなさいということか、、、(^ ^;)。

迷走した時代、でもあの時の輝きを忘れない

月刊ログインには、こんなエッジの立った企画記事だけではなく、ゲーム業界の著名人による連載企画や、ユーザ投稿に謎の編集者が奇妙な回答をし続けるお便りコーナー、新井清和先生の傑作4コマ漫画「べーしっ君」等など、間違いなく今の時代では(色んな意味で)出版不可能なコンテンツが紙面を埋め尽くし、キラ星のように光輝いていました。

2022年、時代はインターネットを中心にした情報社会です。ゲームひとつをとっても、インターネットを使えば、あっという間にレビュー記事、発売スケジュール、攻略情報等の情報を手に入れることができます。しかし、あの時代、月刊ログインの紙面には、今の時代にはないパソコンやゲーム黎明期の独特な息吹や、来るべき未来に向けた異常な熱量が凝縮されていました。今はもう懐かしい記憶でしかありませんが、今でもたまに読み返すと、あの当時の懐かしさと同時に、あの輝いた時代はもう帰ってこないのだなぁと少し寂しくなるのです。月刊ログイン万歳!!


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