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オフィス選びは経営そのものだと思う

会社設立から2ヶ月あまり、ちょっとづつメンバーが増えているのにオフィスがなく、流浪の日々を送っていた。それまでもずっとリモートで働いていたので、「オフィスなんてなくてもどうにかなるのでは?」と思っていたが、印鑑や重要書類の保管に苦労したり、採用面談をする場所がなかったり、なにかと不便を感じていた。

というわけで、本腰を入れてオフィスを探すことにした。

「立地」をとるか「広さ」をとるか

しかし、オフィスを探し始めてまず思ったのは、希望のエリアを「渋谷」や「新宿」などのターミナル駅徒歩7〜8分以内で探すと、恐ろしく坪単価が高いということだった。

それまで根城にしていた六本木ヒルズライブラリーが1人9,000円で朝7:00から23:00まで使い放題だったことを考えると、渋谷あたりのオフィスは最低でも1人あたり2.5倍以上のコストがかかることがわかった。

それでも私は、途中から場所は渋谷にしようと決めていた。

なぜなら、やはり同じくらいの規模のスタートアップが集まっていて何かと便利だということと、採用に有利だろうと考えたからだ。割高な賃料は、採用のための広告費だと割り切って受け入れることにした。

渋谷がなぜ採用に有利なのかというと、まず1つは渋谷に数多く存在するIT企業に勤務する転職希望者にとっての「スイッチングコストの低さ」がある。渋谷の会社に勤めている人が転職しようと思ったときに、通勤利便性やその他諸々の観点から再び渋谷の会社を選ぶ可能性が高いと思ったからだ。

もう1つは、サービスのイメージの問題で、別に交通の便だけでいえば上野でも新橋でも構わないのだけど、スナップマートは20代のインスタ好きな女性がメインターゲットのサービスなので、その会社が上野や新橋にあるのはブランディング上よろしくない気がしたからだ(ちなみに私個人は渋谷より上野・新橋派である)。

あとはやはり、スナップマートはまだまだ世間的には無名の会社なので、「渋谷のスタートアップ」という”キラキラワード”の威力を拝借したいという思惑もあった。社員が自分の仕事について語るときに「近所の零細企業で働いています」というのと「渋谷のスタートアップで働いています」というのとでは、誇らしさが違うんじゃないかと。

私みたいなおばさんは、そんな表層的なことで「イケてる」「イケてない」を判断するなんてナンセンスだ!大事なのは中身だ!と思ったりするけれども、案外若い人(とくに女子)にはこういう些細なことが大事なんじゃないかという気がしている。

スタートアップがスタートアップビルに入るメリット

立地を決めた後は、わりとトントン拍子に物件選びが進んだ。最終的には「シャレー渋谷」というスタートアップ界隈では有名なマンションと、ツクルバがプロデュースする「Good Morning Building」の2つの候補に絞られ、悩んだ末に後者を選んだ。

Good Morning Buildingを選んだのは、入居するのがスタートアップが中心だということで、なんとなくそこに新しいコミュニティが出来るような気がしたからだ。

また、個別のオフィスに加え、1Fに2つの会議室と広々としたラウンジがあるのも決め手になった。社員が仕事をしているところで面接や来客対応をするのは業務の妨げになるだけでなくプライバシーなどの問題などもあるので、こうした共用スペースがあるのは非常にありがたい。

あともう1つはソフト面になるんだけれども、若手社員が寂しくならないようにという配慮もある。とくに新卒で入社する子は、普通の会社であればいるはずの「同期」がおらず、仕事の愚痴を言ったり、気軽に飲みに行ったりする人がいないという辛さがある。

その点、同じような規模のスタートアップが集結するビルなら、同じビル内や近隣のイベントなどで社外の同世代と知り合うことができるので、同期「的な」仲間を作りやすいんじゃないかと考えたのだ。

オフィスの居心地の良さは生産力を高める

最後に、内装と家具について。

スナップマートのオフィスは、普通のオフィス家具を入れなかった。その代わり、机はIKEAのボックス(Alex)の上にホームセンター等で売っているカット集成材を置いて自作している。

内装のイメージは、Pinterestでイメージボードを作ってヒントにした。

https://jp.pinterest.com/etomiho/new-office/

あえて既成のテーブルにしなかったのは、限られたスペースを有効活用するため、職種に応じて机の奥行きや幅などを変えたかったからだ。具体的には、モニターを使う職種の人は机の奥行きを広くし(75×135cm) 、そうでない人は奥行きがない代わりに机の幅を広くしている(60×150cm)。

ちなみに昨日は、この集成材に「ブライワックス」というオイルステイン仕上材を塗り込んで着色した。まだまだ何もなく殺風景なオフィスだけど、こうしてちょっとづつ手作りで作り込んでいきたいと思っている。

また、椅子もそれなりにこだわった。座り仕事が多いので、アスクルやオフィスコムのショールームに足を運んで、実際に70種類以上の椅子に座ってみて、疲れにくくデザイン性が良いものを選択した。

ちなみにスナップマートで導入した椅子はオフィスコムの「シンクスチェア」という椅子なのだけど、座り心地が良いことで定評のあるエルゴヒューマン・エンジョイのほぼジェネリック品である。エルゴヒューマンが欲しいけれども予算が…という方には超オススメだ。デザイン的にも、オールメッシュで脚の部分がアルミなので安っぽく見えない。

こんなふうにオフィスや内装の細部にまでこだわるのは、オフィスの居心地は生産力に直結すると考えているからだ。極端な話をすると、自宅を超える居心地にできれば、会社に来いと言わなくても社員は勝手に会社に来る。Googleで働いていたときの自分がまさにそうだった(あそこは食べ物がふんだんにあったのでお腹がすいたら自然に会社に行きたくなったw)。

良好なオフィス環境は採用コストを抑える

Googleが圧倒的な競争力を保ち得たのは、とにかく皆が「ああいう職場で働いてみたい」と思うようなイメージ戦略が徹底していたということに起因していると思っている。ユニークな装飾やゆとりのある空間、フリードリンクにフリーランチ、お菓子食べ放題などの福利厚生は、すべて優秀なエンジニアを引きつけるための採用ブランディングだ。

一見したところGoogleを始めとするシリコンバレーのテック企業は莫大なお金を浪費しているように見えるかもしれないが、これらの「演出」により、採用コストがほぼゼロで抑えられるのであれば、決してムダな支出ではない。

具体的に計算すると、年収700万円の人を10人雇用するのにエージェントを使うと、年収の約30%の紹介料(2,100万円)がかかる。つまり、この10人が2年で辞めてしまうと年あたり1,050万円(105万/人)、3年なら700万円(70万/人)の採用コストがかかる計算になる(Googleのような外資は年収が高いのでこの倍はかかる)。

これが、もし採用が自社媒体とWantedly経由のみになり、平均勤続年数が2倍になったらどうか。採用コストはタダ同然になり、その分を社員の福利厚生に回すことができる。優秀な人が来てくれて定着してくれるなら、1脚10万円のエルゴヒューマンなんか安いものなのだ。

オフィス選び=経営に正解はなく方向性があるだけ

以上が私がオフィスを構えるにあたってざっと考えたことなのだが、これは「スナップマートの経営方針そのもの」と言ってしまっていい気がする。そのくらいオフィスに対する考え方は、経営者によって違うし、会社によって位置づけが異なる。

また、私自身もいまのフェーズだから「渋谷のスタートアップビル」という選択をしたけれども、もう少し規模が大きくなったら違う選択をするだろうし、それこそオフィスを持たないリモートワークや地方拠点(海外拠点)にも大いに興味がある。フェーズが変わったら、ぜひこうした働き方の導入にもトライしていきたいと思う。

ちなみにスナップマートでは、現在Railsエンジニアと学生アルバイト(25歳以下なら既卒も可)を募集しているので、こちらを読まれて弊社新オフィスに興味を持たれた方は、どうぞ気軽に遊びに来てください:D

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