火垂るの墓と共感覚

この前ね、小学六年生の息子と一緒に「火垂るの墓」をビデオで見たのね・・・。
教育の一環として見たんだけど、正直言うと、オイラ、このアニメは凄く凄く苦手なのね。
中学生の時に初めて見た時からとてもとても苦手なのです・・・。

何故なら、実はオイラ、他人がケガをして苦しんでたり、痒みで辛そうにしている姿を見ると、何故かオイラも体が痛くなったり、痒くなったりするのね・・・。

これ、「ミラータッチ共感覚」って呼ばれるモノなのです・・・。
共感覚とは、外部からの刺激に対して普通の知覚だけで無く、全く別の知覚として認識する、ごく一部の人にみられる特殊な知覚現象なのです。
共感覚には色んな種類がありまして、聴覚に共感覚がある方は音を色として認識したり、文字認識に共感覚がある方は文字を色として認識したり、数や時間に共感覚がある人は数や時間の大小を色として認識したりします。
他にも様々な共感覚が存在しますが、オイラの「ミラータッチ共感覚」は視覚の中でも他人の触覚を視覚的に認識した場合に、それを自分の触覚として感じる共感覚なのです。

具体的には、ドラマとか映画とかで、ケガをするシーンがあったりすると、オイラも同じ部分に痛みを感じるのね。
他人がケガをしてるのを見ても、同じ部分を痛いと感じるのです。
他人が痒そうにしているのを見ると、同じ部分に痒みを感じるのです。
小説とかは平気なんだけどね。
映像として見るとダメなんだな・・・。

オイラ、実はそれに気付いたのは大人になってからで、それまでは、みんな同じだと思ってたのね・・・。

早く気付けよ、オイラ・・・。

で、今日、「火垂るの墓」を息子に見せたのは、息子にも「ミラータッチ共感覚」が無いかを確認するためでもあったのです。

ただ、その確認が何故今なのか、何故わざわざオイラが苦しい思いをしてまで、そんな確認をする必要があるのか・・・。

実は、息子が今年、修学旅行で行くルートに広島の「原爆資料館」があることが判明したからなのです。

オイラは広島も長崎もそれぞれ資料館を見学しましたが、「ミラータッチ共感覚」がある人にとっては、見学をする時に、それはそれは耐え難い苦痛をひたすら全身で浴び続けることになるのです。
具体的には、全身が酷く熱くなり酷い痛みを全身に感じ続けるのです。
そして、映像がフラッシュバックする度に、熱さと痛みを感じるのです。

オイラが小学一年生の時、平和授業で被爆者の写真を見た時、その写真があまりにも痛くて泣いたことがあるのです。
それ以来、平和授業の時は、目を背けたり、目を閉じたりしていました。
写真やドラマや映画で痛そうなシーンがある場合でも、今まで目を背けたり、目を閉じたりしてたのです。

広島と長崎の資料館、オイラは大人になってから見学をしたので、ある程度耐える事が出来ましたが、もし子供に「ミラータッチ共感覚」があれば、この苦痛にはとても耐えられないと思ったのです。
もし、息子に「ミラータッチ共感覚」があれば、早めに担任の先生に伝えておく必要があると思った訳です。

実は以前から、息子は暴力的なドラマや映画やアニメが苦手で、お笑い番組やコメディ映画や、かわいい動物やキャラクターが出てくる番組やアニメばかり見ていたので、少し気になっていたのです。
息子も「ミラータッチ共感覚」があるのでは無いか、という懸念があった訳です。

という訳で、息子に戦争の悲惨さを学ばせると共に、「ミラータッチ共感覚」が無いか確認するために「火垂るの墓」を見せた、という訳なのです。

結論から言うと、息子には「ミラータッチ共感覚」は無かったようです。
その代わり、ストーリーにショックを受けたようで、少し涙ぐんでいました。
オイラは相変わらず、痛かったり痒かったり・・・。
やっぱり苦手だ・・・。

そういえば、オイラの親父もこの映画を見る度に泣いてたなぁ。
親父が唯一泣く映画だったと思う。
きっと昔、似たような体験があったんだろうけど、結局聞けないまま亡くなってしまった。
死ぬ前に聞いておけば良かったと、息子と「火垂るの墓」を見ながら、今更後悔したのです・・・。
痛みと痒みに耐えながら・・・。

とりあえず、息子は怖い話や悲惨な話が苦手だということは確認が出来た。
見終わって数分で普通の状態になっていたので、トラウマになる程のショックでは無かったのだろう。
見終わって感想を聞いたり、命の尊さを話し合ったり、「普通」に会話をすることが出来た。
うんうん。
優しい子ですな。
とりあえずひと安心。
修学旅行に行っても大丈夫だろう。

さて、オイラの方は暫くの間、映像がフラッシュバックする度に痛みや痒みを感じることになるだろう。
うーん。
辛いなぁ・・・。

「火垂る墓」、小説は平気だけど、映画はやっぱり苦手だ・・・。
こういうのを見ると、平和を願わずにはいられない。

オイラ、息子の無防備な寝顔を見ながら思うのです。
世界が平和でありますように・・・。

#火垂るの墓 #共感覚 #ミラータッチ共感覚 #修学旅行 #原爆資料館

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