時間の跳躍と宿題とイビキ

私「はっ!?」

私は慌てて時計を見た。
そして愕然とした。

私は食卓の椅子に座り、読書をしていた。
その時に目を閉じた一瞬、何か世界が揺らいだような感覚に陥ったのだ。
猛烈な違和感・・・。

過去にもあったこの感覚・・・。

まさかと思い、以前と同じように時計を見た、という次第だ・・・。

結論から言うと、目を閉じた一瞬で30分時間が経過していたのだ・・・。

・・・時間の跳躍・・・。

あり得ない・・・。

考えられる原因は二つ

1.光速に近い速度での移動
2.局所的なブラックホールの事象の地平面付近への滞在

どちらも、相対性理論から導かれる理論上の産物ではあるが、実験レベルでどちらも理論通りであることは確認されている。

しかし、地球上でこのようなことはあり得ない。

光速に近い速度で移動すれば、周囲に壊滅的な衝撃波が発生する。

局所的なブラックホールが時間を止める程の影響を周囲に及ぼしているのであれば、周囲に壊滅的な重力場が形成される。

あり得ない!
そんな事はあり得ない!

局所的空間の相転移・・・
マイクロブラックホール・・・
マルチユニバース・・・
時間移動・・・
時間泥棒・・・
オシャレ泥棒・・・

様々な言葉が浮かんでは消える・・・

こんな話、誰も信じてくれないだろうし、私自身このような突拍子もない話は信じないだろう。

では、あの揺らいだような感覚と実際に発生した30分程度の時間のジャンプをどう説明するのだ?

ふと目の前を見ると息子が食卓で宿題をしている。
そういえば、あの揺らいだような感覚の直前から、息子は宿題を始めていた・・・。

そうだ!
息子に聞けば良いのだ!

私は息子に問いただした!

私「ねえ、オイラ、ずっとここにいた?」

すると、息子から衝撃的な事実が告げられた!

息子「ニャー!凄い大きなイビキをかいて座ったまま寝てたニャンよ!ウザかったニャン!」

私「!?」

念のため再度説明しておこう。
息子は霊長類ネコ科である。
語尾にニャーを付けて会話をする。
しかも、それは家の中だけであり、外では一切そのような喋り方をしない。
少しひねくれた内弁慶のようなものである。

話を戻そう。

息子の回答は、単純明快かつ全く矛盾の無い回答であった。

私「すると、オイラは宿題の監視では無く、宿題の邪魔をしていたということなのか!?」

息子「そうニャンよ!」

息子は少々怒っていた。
そりゃそうだな・・・。

私「それはすまなかった・・・お詫びにこのマッチョな肉体でハグをしてやろう!ほぅら、こちらにおいで!」

息子「ニャー!それはマッチョじゃなくて、ブッチョだニャー!ちちのお肉、嫌ニャー!」

私「ブ、ブッチョ!?お、お肉!?」

妻「こらぁ!ちちぃ!宿題の邪魔をしない!」

私「・・・はい・・・。」

全ては私の一人相撲・・・
いや、周囲に迷惑をかけていたから、一人では無いか・・・

何だかよく判らなくなってきた・・・
頭の中が悶々としている・・・
まるでメビウスの輪から抜け出せなくなったようだ・・・

時計の秒針が静かになった部屋で時を正確に刻んでいた・・・

いつまでも・・・
いつまでも・・・

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