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マレーシアでボイコット続く スタバも直撃

昨年10月からマレーシア国内ではパレスチナ紛争に絡み、アメリカ企業を中心にボイコットが起こっています。マクドナルドやKFC、スターバックスなどは大直撃を受け、営業時間の短縮やリストラを余儀なくされています。徹底したボイコットになっているようで、一部日本企業も巻き込まれています。
(写真)誰もいないKFCの店舗


 この発端については先にこちらで書きましたので、ご覧ください。

■ボイコットの現在

 その後、ボイコットは続いているのかどうか観察していましたが、結構実行されているようです。

 僕はマレー半島の田舎に住んでいますが、先日何回かそこのKFCに行ってみました。あまり僕はファーストフードは食べないのですが、どんな状況なのかも観察するため。

 このKFCはドライブスルーで以前は結構、車で買いに来る人がいたり、2階部分も人が多かったりしていたのですが、今回行ったらなんと客がまったくいない! 数週間前に行った時にあまり人がいなかったので、聞いてみたら「影響は受けていない」と店員は言っていました。そのときは時間帯もあって人がいないのかなとも思っていましたが、いや実は相当に影響を受けていたのです。
 
 このKFCはもともと24時間営業だったのですが、現在は午前10時から午後9時ぐらいまでしか開店していません。店員も2~3人しかおらず、調理したチキンもそれほど置いていないのです。2回ほど様子を見に行ってみましたが、いつもガラガラなのです。ドライブスルーなのに車で来る人もいない。

 また、近くにスタバもあるのですが、ここも10月以降はガラガラ。となりにローカル企業の「コーヒー&ビーンズ」がありますが、ここはある程度いつも人が入っている。

 スタバは財閥のブルジャヤ・グループが運営していますが、先に発表された2023年12月31日締め第2四半期では売上が1億8250万リンギと前年同期比38%減。2023年6月~12月までの純益は2355万リンギにとどまり、66%減。同グループの収益の90%はスタバからだそうで、グループ全体で収益が落ち込んでいる。だいぶまずい状況になっています。
 
 マレーシアではソーシャルメディアを中心にボイコット対象企業リストなるものが出回っています。このなかには上記の企業のほか、ネスレ、コーラ、バーガーキング、IBMなどなどが含まれています。

■ファミマも巻き込まれ

 日本のコンビニ大手のファミリー・マートは数年前からマレーシアに進出。実は2月に入ってどうもボイコットの対象となったようです。マレーシアのファミマは伊藤忠などが投資していますが、伊藤忠がイスラエルの国防企業エルビット・システムズと提携しており、伊藤忠側はこれを1月に破棄した旨をマレーシア側に伝えたとされます。

 ところがこの後に「ファミマをボイコットせよ」とソーシャルメディアで展開されてしまったようで、ファミマ側も「イスラエルを支持しないし、虐殺にも反対する」と声明を発表しましたが、さて、どうなるか。マクドナルドも同じ声明を出してこてんぱにやられています。つまり、客が来ない。

 ファミマはコンビニとしてだいぶプレゼンスは高まってきたところなのですが、ボイコット運動は収まる気配がなく、ファミマもマクドナルドの二の舞いになる可能性が出てきています。

■対象企業の「選定」と今後

 そもそもボイコットを対象とする企業は誰が決めるのでしょうか。それは「ボイコット・ダイベストメント・制裁(BDS)マレーシア」なる市民団体。ここが発端になってマクドナルドへのボイコットをまず展開していきましたが、そこからさまざまな企業にも拡大していったのでしょう。

 ただ、ソーシャルメディア上では勝手にリストを作って拡散している人もおり、関係ない企業が巻き込まれている可能性も無きにしもあらず。さて、こうなってくると収拾が難しくなってきます。

 そもそもこの団体がボイコット対象を決める権限なぞないのですが、人道的な問題でみな感情的にもなっていることから、ここが決定団体のようなことになってしまった。果たしてそれでいいのかと僕は思いますが、政府も何も言えなくなってしまっているところにも問題があるような。

 ファミマのケースのように少しでもイスラエルと関係があるとそれまで対象にされてしまうようで、おそらくそんなことをしていると市場に出回っているほぼすべての製品やサービスがイスラエルと関係しているような気も僕はするのです。そうすると日常生活にだいぶ支障が出てくるのではないかとも思うのですが。グーグルもアメリカ企業でイスラエルと関係してそうですが、メールやアプリを使うのをやめる動きにはなっておらず、これはどうなんだとも思います。

 対象企業の線引は勝手に決められてしまうので難しいところですが、さて、今後落とし所をどうするのか。肝心の紛争はまだ終わっていませんし、停戦になったところでまた再開するでしょう。イスラエルの動きはガザ地区を壊滅状態にする意向が丸見えですし、そうなってくるとこのボイコットは簡単には収まりそうもありません。また、将来的にはもしかすると、マレーシアが「保護貿易」という方向に繋がっていくのかもしれません。いずれにしてもこのボイコット運動はまだまだ見逃せません。

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