見出し画像

新型コロナウィルス蔓延で考えたこと ~マスクをつけない人々~

 新型コロナが世界的なパンデミックになっているにもかかわらず、感染防止に役立つマスクをしない人たちがいまだにいます。これはどういうことなのでしょうか。

 マレーシアの場合、昨年3月に活動制限令(MCO)という経済活動を一時的に停止して、人の動きを止める法的措置を出しました。これ以降、政府は感染防止のための標準運用手順(SOP)を発表しました。これは①マスクの着用、②手の消毒の励行、③「フィジカル・ディスタンシング」の徹底(つまり、人との距離を1メートル以上常にあけること)を骨格としたものです。マスクの着用については公共の場で昨年8月から義務付けられており、つけていなければ1000リンギ(約2万5000円)の罰金となります。マスクの未着用などSOPに違反した検挙件数については毎日発表され、さらに着用の徹底を再三にわたって政府は国民に毎日言い続けています。

 しかし、それでも着用しない人たちがいるのです。

 ずいぶん前の話ですが、レストランの従業員全員がマスクをせずに働き、さらにそのうちの1人がゲホゲホと咳をしている。これはさすがに注意したものの、「マスクの着用は暑い」との言い訳。マネージャーも意識が低く、すぐに持ち帰りに切り替えてその場を立ち去りました。スーパーのレジでも後ろに並んでいる人がマスクをせずに近寄ってくることもあるので、手で追い払うことがあります。マレーシアは現在、感染拡大が深刻化しており、感染防止をしなければどんどん広がるだけなのです。

 新型コロナの感染経路は今のところ、飛沫によってウィルスが体内に入りこんで感染すると言われています。つまり、マスクをすることで感染はある程度は防げるのですが、どうもマスクをしない人たちはマスクをする意味を理解していないようです。


 マレーシアでは毎日、どこで何人感染したかを発表していますが、これまでのところどうも貧困層の多い地域での感染者が多い気がします。もちろんウィルスは人を選びません。ただ、マスクをしていない人たちを見ていると、教育レベルが低い人たちが多く、感染した人たちのその職の多くも低所得者層が大半をしめているような気がします。これは明確な統計はありませんが。

 マレーシアでは「強化された活動制限令(EMCO)」というのがあります。これは感染者が多いところを物理的に封じ込める措置で、軍隊と警察が出て指定地区(公団住宅から郡単位までいろいろ)の周辺を有刺鉄線で取り巻き、往来ができないようにします(外出しようとすると逮捕されます)。保健省職員が住民全員の検査を徹底し、陽性と判明すれば病院に搬送して閉じ込めて治療するほど徹底しているのです。これまでの指定地区を見るとやはり衛生管理の行き届かない貧困地区が多い。

 もしかすると「マスクが買えない」ということもあるのでしょうが、今は会社で無料で配布したり、慈善団体が配っていたりもするのです。また、マスクの上限価格も政府が決めており、人々が購入しやすいようにもされています。無料で配っているのに着用しない人も多くいるのです。

 つまり、感染防止には教育レベルも関連していきているのではないでしょうか。  

 もちろん個人個人の意識の問題に大きく問題があるのも事実でしょう。ただ、これだけ危険な状況にあるにもかかわらず、着用しないということは、ある一定の情報が、脳に入ってこないことにもつながっているのかもしれません。

 人間は自分の都合の悪い情報はなかなか頭に入らないとも言われています。となると、どんなに言い続けても脳が受け付けない。どんなに危険なことになっても自分のやりたいことだけをするという思考に陥ってしまっているのかもしれません。

 論理的に考えて危険であれば、自分の身を守るようにしようと考えそうなものですが、そういった思考回路にはなっていないのかもしれません。情報を幅広く受け入れて自分で吟味して着用しないのであれば、まだ理解はできそうなものですが、そうではなく、単に「やりたくないからやらない」だけだとそれは自分だけでなく、家族や友人、社内全体にも大きな迷惑をかけることになる。特に高齢の両親をもっていれば、死に至らしめることになります。着用していない人から感染したとなると間接的な殺人にもなりかねないのです。

 自分の行為はすべてにつながります。こういった意識がないというのは、その人の家庭・学校の教育レベルに大きくかかっている気がします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?