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新型コロナウィルス蔓延で考えたこと  ~マレーシアの現状と日本の甘い措置~


 東京などではやっと8日に緊急事態宣言が発令されました。かなり遅かったとの印象がありますが、それはさておき、1カ月にわたって外出が「自粛」されます。日本の場合は別に外出しても罰則がないので宣言は意味がないとは思います。ウィルスはどこに潜んでいるかわかりません。できるだけ自宅にいるのがいいでしょう。
 マレーシアでは同様の措置が3月18日から始まっています。しかし、日本とはかなり違い、かなり厳しい措置が出ています。
 まず、「不要不急以外の外出には罰則」があること。日本の緊急事態宣言にあたるものはマレーシアでは「活動制限令」といいます。外出した場合は活動制限令違反でもあるのですが、感染症防止管理法というのを別途適用して外出者を摘発しています。各地に警察や軍が見張り、いちいち確認してます。捕まると1000リンギ(約3万5000円)か禁固刑6カ月です。裁判所に出頭する必要があります。自宅から10キロ以上離れてはいけないので、各々住所を確認する書類を出かけるときは持って出ます。これまでに外出して逮捕された人は6000人以上に上っています。
 また、日本での緊急事態宣言は地域限定ですが、こちらは全国。海外からの入国はすべて禁じられています。出国はできるのですが、もはや国内外の飛行機が飛んでいないので行くことができません。陸路でタイやシンガポールに抜けることは物理的に可能ですが、いかんせん両国ともすでに国境を封鎖している。また、州を隔てた移動は固く禁じられています。動く場合は警察署に届け出なければならないのです。つまり、マレーシア国内では自宅近辺以外はもはやどこにもいけないのが実情。クアラルンプール市内では公共交通機関がほとんどストップしており、車以外で移動は困難なのです。
 その車ですが、こちらも制限があり、乗れるのは1台1人のみ。複数が乗ることは禁じられています。また、ガソリンスタンドの営業時間も限られているので、こちらの点からも物理的に動けなくしてしまっています。
 店舗状況についてはスーパー以外はほとんど開いていません。24時間営業のコンビニでさえも12時間にしている状況ですが、飲食品の買い物については別段問題はありません。モノが不足している状況ではないのがありがたい限りです。卸売市場は開いていますが、人が多く来すぎてしまったためか、こちらにも制限がかかっています。一部は強制閉鎖されました。平常時よりもかなり減っていますが、レストランは一部開いています。しかし、すべて持ち帰り。その場で食べることはできません。日本では床屋は大丈夫のようですが(なぜ?)、こちらは営業禁止なので、みな髪が伸び始めて困っています。
 こういった厳しい状況なので、マレーシアでは確かに3週間経った今も感染者数は増えてはいますが、1日あたり100~200人と安定した数字になっています。欧米のような爆発的集団感染にはなっていませんが、油断はできないでしょう。マレーシアの活動制限令は来週14日で切れますが、今の状況では延長される可能性大だと思います。
 日本の場合は公共交通機関は動き、店舗がそれほど閉鎖されるわけではない。さて、そんなに人が動くようなことをさせていて果たして効果はあるのか。マレーシアでは一人が37人に感染させてしまい、うち5人が死亡してしまった例があります。2週間で感染者数を少なくすると政府は言っていますが、マレーシアのこれだけの厳しい措置を取っても3週間経っても未だに感染者数は減っていないのです。
 人の移動ができてしまうとそれだけ感染は拡大します。マレーシアでは制限令発令当初は60%ほどしか順守しておらず、このため感染が広がった経緯があります。このため、摘発を厳しくしているのです。マレーシアでここまで厳しいのは珍しいくらいで、それほど政府が感染防止に躍起になっている証左でもあります。日本も同様の措置を取らないと治まるには時間がかかるでしょう。なぜそこまでの措置を取らないのか不思議でなりません。

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