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クルミ、二つのAOC(AOP)

食用の実としてフランスで初めてAOCに認可されたのが、グルノーブルのくるみである。1938年のことだ。主に標高150~180mのイゼール渓谷で11世紀ごろから収穫されていた。湿気と風が交互に訪れる気候が繊細でフレッシュな味わいを生み出す。収穫は9月から11月。19世紀に木は病気に侵されたが、その後新たな栽培取り組みが行われ、7000tがアメリカへ輸出されるまでに。現在ではヨーロッパ一の年間12,000tの収穫量を誇り、イタリア、ドイツ、スイスに輸出している。くるみは、フランケットFranquette、マイエットMayette、パリジエンヌParisienneの3種類があるが、このうち、フランケットは、大粒だが殻が薄く、実を取り出しやすいことで人気である。

くるみ

くるみ菓子 (1)


ミディー・ピレネー地方、ロット県とターン・エ・ガロンヌ県の北部は、かつてQuercy(ケルシー)地方と呼ばれていたが、ケルシーと言えば、フランス人はクルミを思い浮かべるほど、クルミの産地として有名だ。
その種類は、ローカルな品種も加えれば10種類以上もあり、それぞれ用途別に流通される。たとえば、くるみの実を丸ごと収穫できた場合は、製菓用に販売され、殻が硬いものはオイル用になる。最高の品種と言われているのが、Grandjean(グランジャン)という品種で、実が取り出しやすく風味がよい。10月10日から15日が食べごろだという。ケルシーで生産されるクルミオイルだが、15世紀にはすでに海外に輸出していた。しかし、20世紀、戦争が勃発すると、その生産量は減る。当時クルミの木は、銃を作るために使用されていたからだという。

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