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意識を飛ばすと異次元へつながる

ずいぶん昔の話になるけど、ほぼ毎週クラブやレイヴに行っていた頃に体験した不思議の1つ。

いろんなモノ飲み過ぎてさらにいい音浴び過ぎると前後不覚になることも数知れず。一緒に来た友だちの車にたどり着けないくらいは当たり前だった。

その日もまだ太陽が昇っていない時間にクラブを出て1人知らない街をさまよっていた。あそこがどこだったかいまでもわからないけど、都内のオシャレな街並みはおぼえている。

その頃タクシーで帰るには料金がかかりすぎるところに住んでいたから、たぶん駅を探して歩いていたんだろうけどいま考えるとまだ電車は走っていない。

で、次の記憶がいきなりソファ。
ふかふかのソファで横になっていた。
「え、どこだここ?」と見渡すと、レストランかバーかその中間のような飲食店だった。けっこう大きくて客席は50くらいあるだろうか。

理解が及ばないのは私以外誰もいないってこと。
そう、営業していないのだ。

とりあえずテーブルに置いてあった水を飲み、お手洗いを借りた。

記憶を辿っていくと、シュッとしたお兄さんが水を持ってきてくれた映像が出てきた。おそらく店員か店長なんだろうけど顔はわからない。ほかに客はいなかったと思う。

正面入り口に行くと鍵が閉まっている。
ガラスの扉で、内側足元をひねれば解錠できるタイプだ。

しばらくソファに座って考えていたけどそれ以上なにも思い出せないし、なによりまだ酒が残っていて頭が痛い。

時計を見たら6時を過ぎたくらいだったから電車で帰ろうと思うけど大きな問題が1つ。
──外から施錠する術がない。

どうしてこうなったのか。
①営業中か閉店作業中かわからないけどここにたどり着き親切な店員から水をもらった。私が寝てしまったため店員は帰った
②店員がいたのは妄想で、たまたま鍵の開いていた営業していない店舗に忍び込んだ

どちらにしても謎は残る。

でもまあ①でも②でも私が施錠しなきゃならない理由はなさそうだなと結論付け、コップをカウンターに持っていきその下に1万円札を挟んだ。

外に出ると中二階にある店舗だということがわかり、ばっちり商店街に面しているから防犯の不安はあったけど、自分になにができるとも思えなかったのでそのまま駅に向かった。

なんとか自宅に着き、すぐに寝たんだけど、この不思議体験はまだ終わってなかった。

夕方くらいに起きて携帯を見たら知らない番号からの着信履歴があったのだ。
が、掛け直しても出ない。

それから1週間ちょっと、その番号からかかってきて出ると無音というのが5回くらいあった。

あの店での出来事と電話の件にどんなつながりがあるのか、それとも無関係なのかはさっぱりわからないけど、最終的にその電話番号にかけても「現在使われておりません」になったのを含めて、なんだか異次元での体験なように思えるのだ。

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