カメラは左手で支える。右手は暇な方がいい。

2024年3月11日 05:25

　カメラは左手で支えるものだ、と何処かで聞いたことがある。なるほど確かにその方が脇をしめられて、安定が増す。
　肘を脇腹に当てて三脚よろしく自分の体幹を意識する。足は空手とか武道の構えだ。（幼少期から高校まで少林寺拳法をやっていました）呼吸を止めてそろりとシャッターを切る。
　これくらいすると、手持ちでもスローシャッターが切れる。多少のブレはまあ、気にしない。

　そんなことを思ったきっかけは、とある動画を見て、？　となったことだった。とても細かく丁寧な機材レビューをされている方の動画だが、その中で、ふと、疑問に思ったわけだ。

　それは、「カメラマンは右手の方が筋肉ついているでしょうから」というくだりだった。

　確かに今のカメラはグリップがしっかりあって、片手、つまり右手で持つ、という印象が強い。左手はレンズに添えるだけ。いや、まあ、きちんと支えましょうとは書いてあるけれど、何にしても右手の持つ役割がとても多い気がする。

　これまで使ってきたCanon機を例に挙げれば、右手でやることは次の通りだ。

・カメラを握る
・シャッターを押す
・露出を変える
・シャッタースピードを変える。
・絞りを変える
・ISOを変える
・ホワイトバランスを変える
・ピクチャースタイルもなんなら右手で変えるようにしておく

　他、とにかく右手で操作できるようになっている。

　それに比べて左手は
・レンズを支える

　基本これだけだ。
　もちろん、再生ボタンを押す、メニューに入る、そんな役割は左手に振られていることが多いのだけど。それは、撮影というよりもその前後の動きに使うわけで。

　GRみたいなカメラだと、この右手でなんでもできるというカタチはかなり便利だし、必然性もある。
　けれど基本両手で構えることが原則のような一眼カメラは、写真を撮る時にこんなに右手が忙しくていいのかな、と思うことがある。

　いや、それだけ左手の支える役割が大事だって言うことかもしれないが。そう考えると比較的自由のきく右手がなんでもかんでもやる、と言うのは道理だ、とは思う。

　でも、右手はシャッターを切る、つまりカメラの最も根幹を為す役割を持っているわけで、それ以外のことをあれこれやらせるのはちょっと大変なんじゃないかな、とも考える。
　別にそれで困ったことはないけれど。（困っていないなら書くなという話ですね）

　フジやライカと言ったカメラはその点、絞りがレンズについていることにより、左手にも写真の印象を変える重要なファクターであるボケを操作する役割を担っている。
　左手は絞り、
　右手はシャッター、
　このバランスがとてもいいように思う。

　そうすると、いや、そうしなくても、カメラをやる人は両手ともにしっかりしていないといけない。スローシャッターを切るときは、左手がブレず、右手がカメラをブラさないことが大事だ。
　左手は三脚のごとく、右手は添えるだけ、というのが正しいカメラの構え方な気がする。つまり、先の動画の話とは真逆の設定になるのだ。

　だったら、左腕だけ筋肉がついていればいいのかと言うとそうではない。手を添えるためにはやはりその腕にも相応の筋力は必要だ。

　起立、礼。とやるとき、体がだるいと、つい手を机についてしまう。体に力がなければ、その重さを何かで支えなくてはならない。右手も同じで、そっとカメラを包み込むようにするのなら、その腕にはそこそこの筋力が求められる実質的な筋力というよりは、何と言えばいいか、体幹みたいなものが必要とでも言えばいいのか。

　昨今のカメラについているグリップはそうしたことを考えなくてもいいくらい快適だ。右手でむんずっと持てばいい。左手は添えるだけでいい。右手は忙しく動き回る。それで何の問題もないけれど、手ぶれ補正なんかに頼れない機種を使っていると、左手の重要性をまざまざと知ることになったりするのだ。

　右手は暇な方がいい。
　さあっという瞬間をしっかりと待つために。

　閑話休題
　写真が好きでも、半身が不自由という方もいる。
　そう言う方には右手でなんでも操作できるというのは魅力的だ。
　これを左手仕様にできないものか、とふと思う。左利きの人にもいい。GRあたりでそんなカメラが出てきてくれると、福音となる人もけっこういるのではないか。ニッチすぎてなかなか難しいだろうけれど。