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存在しない日記 2021.4.10

これは架空の人物による、架空の出来事の日記である。空想の日記。妄想とも言う。つまりこれは存在しない日記。

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2021年4月10日

このところ休日が楽しみだ。これと言った趣味を持たないので、休日にやりたいことというものも特になかったのだが、最近は違う。

連日、仕事が終わるとウェブカメラのことを調べる日々が続いている。休日はほぼ全ての時間をそのことに費やしている。

今日はウェブカメラを調べる中で気になり始めていたことを試してみようと思っている。

ウェブカメラを調べる中で「見る」ということを考えるようになっていた。カメラは外と内に穴を穿つ装置のようでもある。見るという点では同時に日本の神様が、鏡の姿で祀られていることに関心を持っている。神社の中心に祀られているのは丸い鏡だ。鏡とは自分を映し出すもの。参拝する対象とは自分ということなのだろうか?

先日、東急ハンズに寄ったところ、ミラー調の仕上げになる塗料というものが販売されていた。プラモデルや模型用の用途のもののようだが、これを用いて丸い鏡を作れないかと考えていた。

丸く切り抜いた木板に塗装するのは簡単で良いのだが、どうせなら丸を自分で描くということを試したく、正方形の板を購入した。塗料とそれを塗るための刷毛ももちろん買ってある。

板には下書きなどせずにダイレクトに刷毛で塗料を塗る。最初に描いた円は直径5cmほどの円だ。正円には程遠いヨボヨボの円だった。さらにそこから5ミリずつくらい大きくなるように、円を描き足していく。ヨボヨボだった円がガイドになって、すこしづつ綺麗なフォルムになっていく。

無題 - 2021年4月5日 10.39 2

1時間ほど続けて、直径30cmほどの円になった頃には、全く絵心のない自分が描いたとは思えない、端正なフォルムの円が描かれていた。

ミラー仕上げの塗料とはいえ、鏡のように綺麗に反射するものではない。ぼんやりとシルエットが映る程度だ。そこに映っているシルエットは、もしかすると自分のものではないのではないか。しばらく眺めていると、そんな気がしてくる。

自作の鏡は棚の上に飾ることにした。その最中にこれは飾っているのか、それとも祀っているのか、どちらなのだろうかと、少し考えたがどちらでも良いことだ。

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