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月と雨と。⑵ 〜私のわがまま〜

昔読んだ本を思い出した。

切ない心理描写が美しくて、片想いの君にも読んでほしくて仲間内の会話の中でさりげなく薦めてみた。

「普段本あまり読まないんだけど」

一週間後、そう言った君の感想は、感傷に浸るどころか酷評だったけど、真っ直ぐな意見が眩しかった。

この人となら、きっとこの先ずっと一緒にいられると思った。



一緒が長くなるほど、君はどんどん素っ気なくなって。

「寂しい」はプライドが邪魔してうまく言えなくて。


静かな雨の夜、積もった思いをぶつけてしまった。

返す君の言葉に耐えられず、一方的に別れを告げ君の家を出た。



あれから数週間。久しぶりの雨。

ふと見上げた雨上がりの空、雲の隙間から月がのぞいていた。


もし、素直に思いを伝えていたら。

そんなこと言ってももう遅い。

君の元から去ったのは私の方だ。


愛されることを望み過ぎて信じることを忘れていた、なんて

今更気づいても遅いか…。



ポケットのスマホが震えた。君からのLINE。

「今日も変わらず、月が綺麗ですね。」


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