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断崖絶壁の絶景を歩く。黒部峡谷下ノ廊下を歩いてきた【4】2018年開通前

前回は、鳴沢小沢~白竜峡までを共有しました。
今回は、
白竜峡→半月峡
までの区間を紹介します。

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ここからさらに緊張感のある道が増えていきます。丸太でできた桟道が崩れているところやワイヤーがない箇所がいくつか残っていて、整備をするための丸太材料や道具が置いてありました。

作業されている方がいらっしゃったので、声をかけて通ります。こんな奥地、ただ行くだけでも大変なのに、さらに危険で難しい登山道の整備をしてくれてるんです。。(しかもまた雪崩や落石でいつ崩れるかも分からない)

崖側の道の脇に草木が生えていると、崖下が見えにくくなって少し安心感がありますが、油断は禁物です。バランス崩して右のほうにコケたりしようものなら、草木には引っかからず崖下に真っ逆さまでしょう。

桟道が崩れていたところ。ワイヤーも切れて登山道の上にぶら下がっているので、足を引っ掛けないように注意して進む。

日はすっかり昇りました。

ちなみに写真を撮るときは、左手でワイヤーを掴みながら右手の片手だけでシャッター切ってます。両手離しは無理。

▼いくつもの丸太の桟道を渡っていきますが、この橋も見事な作りです。

こんなシンプルで大丈夫かな?と見えるかもしれませんが、ちゃんとトラス構造(橋とかタワーとかの建物によく使われてる建築構造)で、接点が固定されててぐらぐらしたりせずある程度の荷重にも耐えられるようになってます。

このあたりから、恐れていた崖+滝の組み合わせが出てきます。

▼2011年に崩落した急斜面の崖。ここもしっかりとした丸太橋がかかっていました。崩落した急斜面がはるか上部から崖下の黒部川まで続いてるので、高巻きも川まで下って迂回することも普通の登山者にはできそうにありません。

とうとう本日1本目の滝行です。道幅が狭く、崖下は何もなく、道に水が流れています。

濡れないように焦って通り過ぎようとしたら足を滑らせて崖下に流される」という嫌なシミュレーションが頭をよぎるので、足元が濡れてもいいから一歩一歩慎重に足を運びました。腕から靴まで濡れました。

ワイヤーや岩壁の杭がなくて安全確保しにくい場所は、姿勢を落として這うように進みました。

ひさしぶりに、広いスペースのある場所に出ます。平地ってありがたい。これが十字峡広場のようです。ここまで緊張しっぱなしで、水を取り出して飲むこともできなかったので、ここで長めの休憩を取ります。

広場をあとにして少し下ると、吊橋が見えてきます。

十字峡の吊橋です。1人ずつ渡ること、と書いてあります。

この吊橋、見た目はそうでもないのですが、いざ渡ると怖かったです。なぜかというと、渡ってみると幅が肩幅くらいしかないのと、脇から足元まで大変よく見渡せるようになってるのと、そーっと歩いても吊橋全体が上下にふわふわ揺れるからです。

怖いので前だけを見て「橋を渡るだけの簡単なお仕事です」モードになりたかったのですが、こんな360度絶景の中で視野を狭くするとはもったいないと思い、勇気を出して周りを見渡します。

足元はるか下を流れる黒部川は、2つの川が合流したところで(だから十字峡という)、川幅が狭くて激流になってます。川の流れを見ていると、自分が動いてるような吊橋が動いてるような感じで混乱してバランスを失いそうになります。轟音が峡谷に響いていて、人間のちっぽけさを思い知らされます。
相当な手汗をかきながらカメラを取り出し撮影しています。

吊橋を渡ったあとも左側が壁で、右側が崖です。(体が左のほうに傾く癖がついてきます)

マインクラフトで作ったみたいな崖です。

凹側の道も相変わらず地味に右側は崖です。ちょっとゆるめの桟道は避けて通ります。

アップダウンはそこまで激しくないです。凹凸を進みながら、少しだけ登って、長めに下っていく、というパターンです。

崖の角度は垂直の90度を超えてます。

作廊谷合流点。今日の行程の約4分の3くらいでしょうか。ちなみにここ作廊の地下は、黒四ダム開発のためトンネルのインクライン上部駅あたりで、インクライン下部駅である黒部川第四発電所につながってるそうです。

このあたりもゆるい桟道がいくつかありました。

取り付けられているワイヤーまたはロープを掴んで進みます。
このあたりで失敗して小さい浮石を1つ崖下に落としてしまったんですが、最初はほぼ無音でおそらく自由落下で落ちていき、下の岩にあたって「パーン」と音がしました。音から聞くに大破したんじゃないかと思います。
落としてから最初に岩に当たって「パーン」という音がするまで4-5秒くらいかかった感じだったので崖の高さは100m超えてるでしょうか。

▼手前に新しい丸太が置いてあります。これから整備されるんですね。こういうった道も集中力を維持してしっかりワイヤーを伝って足を運べば問題ないはずです。

こんなほぼ垂直な岩をどうやって掘って道を作ったのか?そして上の岩はいつ崩れてもおかしくないんじゃないか?もし崩れたらどこに逃げればいいのか?

半月峡谷に到着。

【5】に続く。

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