北窓火船

大学生三年目。日記や随筆やレポートを書いて掲載します。要するに備忘録。よけりゃ読んで行…

北窓火船

大学生三年目。日記や随筆やレポートを書いて掲載します。要するに備忘録。よけりゃ読んで行ってください。感想、連絡等はTwitterを参照願います。 twitter account @splat_surrender

最近の記事

ガール・ミーツ・ガールのジュブナイル小説としての『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』読解

 はじめに、本記事は『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』読書会に使用するレジュメとして書かれたものであり、内容としてはまだ詰めきれていない部分が多く散見されることを述べさせていただく。また、角川文庫版『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』から多くの引用を行なっているほか、先行研究との参照などはしていない、非常に出来の甘いものであることは認めざるを得ない。 1. 登場人物/キャラクター整理舞台:鳥取県境港市 a. 山田なぎさ 中学2年生  漁師であった父親を「十年前の

    • n-bunaの詩、lyricに包括的に見られる寓意「深海棲」とその特性「夜行性」音楽についての独り善がりな小論

       n-bunaの歌詞は、恐らく、特に夜のぬばたまの何物をも引き付けぬ闇は象徴的に深海に寓意されている。この書き出しだけでもボーカロイド期の代表曲『ウミユリ海底譚』のミュージック・ビデオを想起する読者は少なくないだろうから、是非mvを見返すなり聞き返しながら読んで頂ければ幸いである。(一々、どの曲のどの歌詞が、と引用する気もないからだ)  そもそも、ここ数日に個人的にノートに独白として書き留めた内容を書き写す、というような形態で書くために、読みにくい箇所や論理の飛躍が見受けら

      • 『クヌルプ』と『知と愛』比較から考察するヘッセ作品の前期後期の相違点

         新宮(2009)[i]によれば、ヘッセ作品とは自己告白の文学であるという。また、高橋健二著『ヘッセ研究』[ii]では、彼の持つ作品の文学性、特徴について触れる際、『仕事の一夜』(1928)において彼自ら「自分の散文作品は根本において「独白」であり、「魂の伝記」である」と述べている部分の引用が行われている。ヘッセ作品を読んでいく中で、種々の作品で主人公の遭遇する苦難はヘッセ自身と重なるところが多いようであり、彼の作品の持つテーマの一貫性は感じるところであったし、同じテーマのた

        • Weird woman

          This is a story from when I was in the second grade. I was studying in my room. When I finished my homework and lay down on the floor, I saw something strange. There was a closet in my room that was integrated into the wall, and it was clos

        ガール・ミーツ・ガールのジュブナイル小説としての『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』読解

          ナボコフ著『ニコライ・ゴーゴリ』を読んでの『外套』レジュメ(再提示)(pdfより抜粋の為に断片化している)

          1 アカーキー ・ アカーキエヴィチ の 不条理さについて 抜粋 ゴーゴリが その登場人物たちを 不条理な状況に置いたという 言い方は 正しくなか ろう 。 ある人物の生きている世界全体が 不条理であるとき 、 人は今更 この人物を不条理 な状 況に立たせることはできない 。 『 ニコライ ・ ゴーゴリ 』 ウラジーミル ・ ナボコフ 著 青島太 郎訳 平凡社ライブラリ ー 1996 p212 より 『 外套 』 の主人公 アカーキー ・ アカーキエヴィチ が 不条理なのは

          ナボコフ著『ニコライ・ゴーゴリ』を読んでの『外套』レジュメ(再提示)(pdfより抜粋の為に断片化している)

          「西部戦線異状なし」を例にとっての文学と映画の距離に関しての翻訳可能性とアダプテーションの問題の考察

           “All Quiet on the Western Front”(邦題『西部戦線異状なし』)はエーリヒ・マリア・レマルクの“Im Western nichts Neues”を原案とし、アメリカのハリウッドで制作され、第三回アカデミー優秀作品賞、最優秀監督賞を得た戦争映画である。小説の出版が1929年で映画は1931に公開されており、小説自体の出版から日が離れていない。1920年代から1930年代にかけての、ワイマール時代のドイツ映画といえば名作は数多いが、本作の制作がアメリ

          「西部戦線異状なし」を例にとっての文学と映画の距離に関しての翻訳可能性とアダプテーションの問題の考察

          ファウスト

           ドイツの文学において語ることを欠くことのできない存在、それがゲーテであり、ここ日本でもゲーテの代表作として、また、“ファウスト“と聞けば、多くの人は無条件に彼の書いたFaustを想起する。もしくは、ゲーテの書いたもののほかにファウストを題材にとった劇や小説が数多くあることや、そもそも、15世紀ごろに存在したとされるファウストなる人物の遍歴や民間でまことしやかにささやかれた伝説があることを知らない。かくいう私も、ファウストを読み、その作品のありよう、成立背景、伝説と比し、ゲー

          ファウスト

          2022/05/14 書を捨ててストリップに行こう

           以上のように、ストリップとは紛う方なき風俗である。ここで、性風俗の是非や法に関する論議をするつもりはないが、ストリップについて語る際には欠くべからざる前提であると思うので、ここに共有させていただいた。私は、ストリップは風俗に属するという前提に立った上で、少しでも興味があるのならば是非一度見ていただきたいと、月並みな感想を述べさせていただくつもりである。それに加えて、一度目のストリップ体験の感想の備忘録という役目も期待しているので、とっ散らかった文となると思うが、どうかお目溢

          2022/05/14 書を捨ててストリップに行こう

          2021/05/20 深夜徘徊記録・近所

           課題をやりもせずオンデマンド講義の進捗も芳しくないままに夜が明けようとしていた。ただでさえ詰まった状況であるのに部屋までしけていちゃどうにもならないので、南の空を望む掃き出し窓を開け、水のように流れ込んでくる外気をせめてもの清涼剤にしていた。真夜中が好きな人ならわかるであろう、ひっそりとした、煙のような、かぐわしい夜の匂い。それも、五月半ばを過ぎた、若々しく陽光を吸い込む新緑さえも寝静まった、初夏の夜がどんなに濃密かは想像に難くないと思われる。  眠れる気はしない。という

          2021/05/20 深夜徘徊記録・近所