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🇺🇸CDC発表: 「旅行者ベースのゲノム監視プログラム」

以下の文章は、個人的な試訳です!

秋冬の呼吸器シーズンに向けて、旅行者ベースのゲノム監視( Traveler-based Genomic Surveillance )は、インフルエンザA/B、RSV、SARS-CoV-2、及びその他の呼吸器病原体を検査する鼻腔サンプリング多病原体パイロット試験を開始

BA.2.86のような新しく重要なSARS-CoV-2亜種の出現を追跡する為のTGSのゲノム配列決定に関する現場からのメモ↓

旅行者ベースのゲノム監視プログラム」による、SARS-CoV-2オミクロンBA.2.86変異体の早期発見 ( 2023年8月: ダレス国際空港 )

CDCのTravelers' Health Branchが主導する「旅行者ベースのゲノム監視プログラム(TGS)」は、官民パートナーシップによるもので、2つの主要目標を通じて米国の国家バイオセキュリティに重要な役割を果たしている。

1) 新しいSARS-CoV-2亜種、その他の病原体の早期発見。
2) 世界的なバイオサーベイランスのギャップを埋めること。


概要
米国の空港には毎年10億人以上の旅行者が訪問。

旅行者は、場所を素早く移動し、病原体を国境を越えて拡散させる可能性がある為、新型および新興感染症を追跡する際に考慮すべき重要な集団である。

空港における戦略的バイオサーベイランス(監視)は、SARS-CoV-2亜種や公衆衛生上重要なその他の病原体をタイムリーに検出することを可能にする。


プログラムの影響
1)
新興感染症の脅威をほぼリアルタイムで検知する早期警戒システムを提供 
TGSは、世界的に報告される最大6週間前に、以下のような数多くのオミクロンの亜種を検出

ba.2、ba.3、bq.1、bq1.1、xbb、ch.1.1、xbc.1.6、bq.1.2.2

2)
公衆衛生当局への迅速な情報提供、及び米国連邦研究所へのサンプル提供により、疾病発生が広範囲に影響を及ぼす前に制圧する事を支援

TGSは、SARS-CoV-2ゲノム配列の全米第2位の提供者である。

3)
検査やシークエンシング・データが入手不可の場合、世界的な監視(サーベイランス)のギャップを埋める。

TGSは、世界保健機関(WHO)の全地域から135カ国以上、年間約30万人の旅行者を登録している。

4)
伝染病の蔓延防止、国境介入や旅行・貿易の中断の必要性を回避するのに役立つ

2022年12月に中国で発生したCOVID-19の急増の際、TGSは追加の空港に迅速に拡大、中国からの250便以上と、周辺の交通ハブをカバーすることで、サンプルを迅速収集し、中国で循環している変異体に関する情報を提供することが出来た。


仕組み

旅行者サンプリング・プログラム
参加旅行者から採取された個々のサンプルは、SARS-CoV-2亜種やその他の病原体を検出する為の最も詳細で信頼性の高いデータとなる。

サンプルは全て任意、個人特定しない
参加者は簡単なアンケートに答えることで、これらのサンプルに付随する豊富なメタデータを提供、公衆衛生の意思決定に情報を提供する。

鼻腔サンプルはCDCの研究所に転送され、更なる検査を受けることが出来る。

2021年9月に概念実証プロジェクトが成功した後、このプログラムは拡大、現在米国の主要国際空港6カ所で実施されている。


1)
参加空港に到着した外国人旅行者は、鼻腔ぬぐい液の自己採取を志願する。

2)
サンプルは、SARS-CoV-2逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査の為に検査施設ネットワークに送られる。

3)
陽性サンプルは全ゲノム配列決定を受け、変異型が決定される。

4)
選択されたTGSサンプルは、CDCの研究室と共有、新しい変異型の感染性、病原性、現在の治療法やワクチンに対する反応性に関する情報を提供するウイルス特性解析が行われる。


実施空港↓
鼻腔ぬぐい液の自己採取」のみ
ロス・アンジェルス / ニューアーク 、シアトル、ワシントンDC (IAD)

粉砕機のみ
ボストン

鼻腔ぬぐい液の自己採取」+「粉砕機」
サンフランシスコ

鼻腔ぬぐい液の自己採取」+「航空機排水」
ニューヨーク ( JFK )


飛行機の排水サンプリング・プログラム
廃水検査は、アウトブレイクやパンデミックの検出に役立
ち、急速に台頭しつつある科学である。

地域レベルの廃水プログラムは、SARS-CoV-2やその他の病原体の検出に成功。

航空機による廃水監視は、世界的に流行している病原体を監視し、それらが地域社会に広がる前に早期に発見する為の効果的・低コストのツール。

廃水の監視には、サンプルを採取する為に旅行者が直接関与/参加する必要が無いという利点もある。


排水サンプリングの取り出し作業↓


2022年8月以来、CDCは航空機の排水サンプリングを行っている。
この航空機廃水プログラムは現在、試験段階からより広範な実施へと拡大。

廃水は、特注の収集装置を用いて収集される。
排水サンプルは、RT-PCR検査の為に研究室に送られる。
陽性サンプルは、全ゲノム配列決定を受けて、変異体を決定する。


空港トリチュレーター(粉砕機)排水サンプリング・プログラム
2023年4月以降
サンフランシスコでは空港トリチュレーターの自動サンプラー装置を使用して廃水サンプルを採取している。

粉砕機は、複数のフライトから排水サンプルを採取する集約地点であり、空港ターミナルの廃棄物は含まれない


疾病監視の未来をリードする
渡航者ベースのゲノム監視は、SARS-CoV-2以外にも多くの病原体の早期警戒システムとして使用できる病原体検出のモデル

今後の課題↓
1)
渡航者プログラムと排水プログラムの両方で、複数の病原体の検査を拡大。

2)
航空機による廃水監視の世界的ネットワーク構築の為のパートナーシップ構築。

3)
世界的な大規模集会/移住イベントに対する監視能力強化。


- INFO SOURCE -
CDC homepage  ( 27th October 2023 )
https://wwwnc.cdc.gov/travel/page/travel-genomic-surveillance#howitworks

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