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由比ガ浜海岸(鎌倉)からの津波避難訓練(自主)

はじめに

昨年末に鎌倉市内(神奈川県)を散策してきました.観光地を楽しみながら,海辺も散歩し,津波ハザードマップに基づき,自主的な避難訓練もしてきました.この記事を書くか迷っている際に,能登半島地震・津波被害が発生しました.被害にあわれた方にお見舞い申し上げます.

鎌倉市は,武家政権の一時代を築いた地域で,その面影が残る日本有数の観光地でもあります.市内には,高齢者や外国人,また海辺にはマリンスポーツをされる方・海水浴客など,土地勘の少ない方も多くいらっしゃいます.

万が一津波が発生した際に,避難方向を知る方が周囲にいる場合には,その方々についていけばよいですが,そうでない場合,土地勘の少ない方々は,地域の看板等を見ながら,不確かな情報・不十分な情報の元,避難することとなります.そこで,ハザードマップを見ながら津波避難施設まで実際に歩いてみました.

津波ハザードマップ

鎌倉市の津波ハザードマップ

まずは,鎌倉市の津波ハザードマップ. ハザードマップには,市が想定している地震・津波の種類,想定最大浸水深,津波襲来までのじ間,過去の津波記録,避難情報等が記載されています.また,浸水深と建物の階数の関係が分かりやすく記してあります.第一波到達までは10分程度しかありません.

由比ヶ浜海岸〜長谷寺ルートで避難

由比ガ浜海岸の西側からの避難を考えてみます.海岸から直近に斉藤ビルがありますが,海岸から近いので,本当に緊急用のビルです.ここでは標高の高い長谷寺に向かおうと思います.海岸から長谷寺へのルートは大きく2つあり,ここではルート①,ルート②とします.御霊神社は、大通り沿いではないので、却下しました。土地勘のない者にとっては、大通り沿いに進めるかということも避難に際して重要な点ですね

避難ルートの一例
海岸から上がってすぐ見える建物

海岸から上がると,すぐに,このような建物があります.シャッターには鎌倉市内の観光地や避難施設等が貼られています.この建物(写真の奥)には公共トイレがありました.多くの人が普段使用する場所にこのようなマップがあるのはイイですね.

小川と避難マップ

この建物のすぐ横には小さな川が流れています.またしても防災情報の地図(看板)がありました.こちらは防災色が強いですね.この川沿いに(写真の奥側に),進むと長谷寺方面になります.それでは、let’s walk. 写真の奥の細い道を左折し,住宅街を北西に進みます.住宅街の道幅は小さく,車は入れそうにありませんでした.写真を撮り忘れましたが,いざというとき,周囲を見渡すことが難しく,方向感覚が失われそうな細い道は避難ルートとして有効ではありませんね.地元の方専用になりますでしょうか?

長谷駅(長谷寺の最寄り駅)

さらに進み突当りを右折すると,上のように踏切が見えてきます.江ノ電の長谷駅です.踏切内には線路の隙間や段差があり,走って逃げる時には注意する必要があります.また,今回は海岸からの避難を考えているので,海と逃げる方向が分かっていますが,長谷寺に向かうために電車で来られた方には,どちらに避難施設があるか分からないので注意ですね.ホーム内に看板があるか確認してくればよかったです.

長谷寺前の交差点

踏切を渡り,さらに進むと,比較的大きな交差点に出ます.写真(左).写真の左側見切れた方から進んできました.写真の右側に長谷寺、写真の手前は鎌倉大仏方面です.この交差点には、写真(中央)のようにハザードマップがあります.もう少し,観光地が記載されたり,拡大されているとハザードマップとしての視認性が向上しそうですね.ただ,観光客が普通に地図がわりにしていました. 写真(右)のように避難施設の方向性とそこまでの距離が書かれた看板がありました.しかし,信号の影に隠れており,この看板の存在に気づく人は少ないのではないかと思いました.観光地として,ハザード情報が目立つ景観が崩れることもあり,難しいですね.もう少し,地面にペイントされていると分かりやすいかと思いました.

長谷寺

さて,それでは交差点を進み,長谷寺に向かいます.もう,長谷寺が見えてますね.いくつかのお土産屋さん,スイーツ店などを通り,避難所に入ります.

ルート②

次に,長谷寺までのルート②を見ていきます.浜辺からスタートです.

由比ヶ浜海岸西端
浜辺から避難方向を望む

浜辺からすぐに道路に出ることができます.この場所は海抜3.8mでした.

浜辺前の交差点

交差点を斜めに進むと一方通行の車道に入ります.

道路を進み,最初の交差点に進むと足元に避難所の長谷寺までの案内がありますね.このような防災情報のデザイン,設置方法に関して,どのように検討されているのでしょうか?地域の日常風景や景観を損なわずに,いざという時に視認しやすいデザイン・設置方法に関しては認知科学・観光学・景観学などの分野で研究されているのでしょうか?

この交差点を右折すると,写真(右)のような道路となっています.長谷駅の方に進みます(序盤に載せた長谷駅のホームの反対側).歩道が狭くて2人並んで歩くのがやっとですね.長谷駅周辺は観光客で混んでおり,また車で避難する地元の方もいらっしゃるでしょうから,結構危険になるかもしれないですね.

この道を進むと,先ほどの長谷寺前の交差点に着きます.

まとめ

由比ヶ浜海岸西側からの津波避難を想定して避難所まで散策しました.道が狭かったり,看板の印象が少なく,土地勘の少ない人だけで非難するのは難しいかもしれません.幸い,主要観光施設である,長谷寺や鎌倉大仏が鎮座する高徳院が避難施設となっているので,「観光施設に逃げれば良い」と割り切ると,避難しやすいかもしれないですね!


参考情報
鎌倉市/防災 (city.kamakura.kanagawa.jp)


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