クラブの存在意義

先日、5/5に開催された優勝パレードをもって長崎ヴェルカの2021-22シーズンが(一旦は)落ち着きましたので事業スタッフとして過ごさせていただいた1年間を振り返ります。

昨年3月に入社したときはまだ選手もほとんどいない、クラブハウスも未完成、スタッフも事業・強化ともに超少数、そんな状況でした。

特に事業面は自分も含めて「バスケットボールチームの運営」に関する知識・ノウハウを持っている人などほとんどおらずにとにかく手探りな日々でした。

県内の各体育館に視察へ行き、フロアの寸法を図りながら座席数を考え、席種を考え、チケット価格を考え、、、今となっては良い思い出でしたが、これといった正解がない中で、そして時間がない中で難しい決断の連続でした。

まだ街にのぼりやポスターはほとんどなく、グッズを身に着けている人も見つけることができず、地域にとって長崎ヴェルカというものが本当に歓迎されているのか、も自信を持って胸を張れない。

そんな1年前でした。


10月の開幕が近づいてきた8~9月頃は、試合という「エンターテイメント」をどう作り上げるか、どんな演出にするか、どんなタイムスケジュールでホームゲームを完結させるかを考える日々。

朝から夜までいくら考えても次から次へと新たな課題や抜け漏れが出てきて、このときは特に周囲に大迷惑をかけまくりでした。

最終的にはたくさんの方に助けてもらってなんとか形にすることができましたが、逆に言えば自分の責務をやりきることができずに非常に悔しい思いをしたのも事実でした。

とはいえ、

開幕戦の会場を作り上げてお客様の開場を待っているとき、タクマさんが先駆けてアリーナへ入ってきて「すごいね、よくここまでやってくれたよ…!」とあたりを見渡しながら声を掛けてくれたときは感慨深く、たくさんの来場者の皆様と、クラブの始まりをともに見届けられたことは本当に嬉しかったです。

シーズン開幕後も自分の描いたアイデアを実際に形にしてアウトプットすることができずに悩むことばかりでしたし、集客に苦しむ試合、コロナで振り回されるイベントなど不安は尽きませんでした。

ですが、日を重ねるごとにファンの方々が増え、一人一人のクラブへの熱量が高まり、そしてそんな人たちの熱量が周囲・地域へと伝わっていく様子も最前線で感じることができました。

ホームゲーム会場での熱狂はもちろん大きなやりがいになりますが、個人的にはそれ以上にパブリックビューイングや優勝パレードといった試合会場の外でのイベントでいかにクラブが存在感を示せるか、

そしてそこに地域の方々の興味関心がいかに集まるか、そして支援・声援の輪が広がり行動変容を巻き起こせるか、がクラブの中で働くことの醍醐味だと思っています。


だからこそこれからの試合がない5ヶ月間こそ、さらなるクラブの躍進に向けてとてもとても大切な時期であり、自分たちの腕の見せどころでもあります。

すでに応援してくれている方にはいかに熱量をキープできるような交流ができるか、

未認知・無関心の方とどのような場所でどのような接点を作れるか、この2軸で試行錯誤していきます。


最後になりますが、

今季、優勝・昇格という最高の結果を残していただいたトップチームの選手・スタッフの皆様に最大限の敬意と感謝を申し上げます。

ヴェルカスタイルを体現した、ワクワクするバスケットボールを展開することで、たくさんの方を魅了していただきました。

魅了という点では、チアの皆様にも感謝です。非日常のエンターテイメントを長崎に届けてくれました。

そうした土台作りをする上で、パートナー企業・自治体の方々の支援なくしてクラブ運営はできません。また、試合興行を実現するためにはアルバイトスタッフ含めてたくさんの方の協力で成り立っています。感謝です。


そして何より、プロスポーツクラブは応援してくださるファンの方々があってこそです。

皆様一人一人の熱量が、さらなる熱を生み出し、伝播し、地域全体が元気になる。

皆様の力は本当に偉大です。

応援いただいていることにただただ感謝するとともに、加えて皆様が、

・日々の職場や学校や家族との会話の中でクラブのことを話題にしてくれること

・試合以外のちょっとしたお出かけでグッズを身に着けてくれること

・SNSでのクラブの投稿の拡散、応援コメント

そうした取り組みの一つ一つがファンを広げていく上で、大きなうねりを生み出すパワーになっています。


これからも地域に愛されるクラブ、地域の課題にともに寄り添えるクラブ、子どもたちの希望となるクラブであり続けられるように、その一端として誇りを持ちながら働きたいと思います。


冒頭に述べた「地域にとって長崎ヴェルカというものが本当に歓迎されているのか」という1年前の不安、

優勝パレードの熱狂を経験した今では自信を持ってYesと言えますし、もっともっと皆様の生活に彩りを与えられるようなエンターテイメントを追求してまいります。

・ヴェルカが長崎にできて良かった。

・毎週の試合が待ち遠しい。

・試合を見てバスケを始めた、バスケ選手になりたいと思った。

・ヴェルカがあるから長崎に住みたい(長崎を離れたくない)

・ヴェルカのおかげで長崎が元気になった

こんなことを思ってくれる人を一人でも多く増やせるようにオフシーズンもワクワクしながら仕事をさせていただきます!

「長崎に新たな文化を作る」

これが私の考えるクラブの存在意義です。



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