指導理念と2024シーズン指針

3月より常磐大学野球部監督としての2期目(2年目)の活動となります。

この1年間、多くの指導者や学生たち、そして書籍・動画等に触れることで、野球人としての価値観や指導法というものの幅を少しばかり広げることができたかと思います。

高校・大学の指導者の方とお話する機会があると予想以上に私のSNSでの発信をご覧になってくれており、これまた予想以上にポジティブなお声もいただくことも多く、一層有効に自分の考えを発信していけたらなと考えているところです。

ちょうどnoteのハッシュタグ企画が「#仕事について話そう」というテーマだったこともあり、
今回は1年間の学びを通しての、2季目の指導指針・活動理念などを自らへの備忘録もかねて書いてみようと思います。

どんな部でありたいか=理念

まずは指導者をやるにあたっての根幹ともいえる「理念」について。

なぜ自分はここで指導をしているのか、学生たちにどう成長してほしいのか、どんな部にしたいのか、、といった根っこの部分は極めて重要であり、だからこそ簡単に定められるものでもないので、そこを探し続けた1年間だったと思います。

そうした中で今時点で描いている指導理念としては、
「4年間での成功体験を通して、将来の選択肢を広げる」
そんな部でありたいと思っています。

私見になりますが、将来に対して漠然とした不安ややりたいことが見つからない、という悩みの大きな要因は「自信不足」「情報不足」だと考えています。

コロナもあり、何かを達成した経験(いわゆる成功体験)が乏しく、自己肯定感が低い学生が非常に増えている、というお話は高校の教員の皆さんからも良くお聞きする話です。

成功体験が少ないことで自分の可能性に蓋をしてしまい、やる前から諦めてしまう。そしてますます成功体験に恵まれず自信を失っていく。
そしてその先にあるのは将来へ希望を持てずにやりたいことに出会えないという悩みです。

また、もう一つの「情報不足」について。
今はスマホがあれば何でも情報が取れるため情報過多とも言われますが、そこにあふれている情報は極めて表層的で刹那的で、さらには正解かそうでないかという二元論的なものばかりです。
言葉を選ばずに言えば「薄っぺらい情報」であり、対照的に「濃い一次情報」を得る経験は、自ら人に会いに行き、時間や対価を払わないと困難になっている時代とも言えます。

だからこそ学業に部活にアルバイトに(デートに?)忙しい学生はなかなか一次情報にはたどり着けない。
部活に打ち込んでいるとどうしても社会人との接点も少なく、狭いコミュニティの中で生活が完結してしまいがちです。

そうなると、将来やりたいことは?と言われても「何となく楽して稼ぎたい」といった目の前にある即時的な果実にしか視点が向かなくなります。
結果として「情報不足」によって本質的な将来やりたいことを見つける壁になっているのだと思います。

以上長くなりましたが、
現状として(本学に限らず学生たちは)、「自信」と「情報」が不足していることで「将来の選択肢」が乏しい状況だと考えています。
そうした課題を打ち破る部でありたいし、そうした4年間を過ごしてほしいと心から思っています。

野球というスポーツや部活動という組織を通して、日々悩みながらも課題を解決して仲間と成功体験や達成感を味わい、その数々の経験を通して自信をつけ、野球をやめた後も将来に希望をもって、たくさんの選択肢からたくさんの濃い経験を積んでほしい。
それが今わたしがここで指導者をしているモチベーションです。

より広義のモチベーションとしては、そうした本学の取り組みが世に広がり、考え方が横展開され、自信や希望に溢れた学生たちが日本中に増えていく世界線です。その使命感を勝手に抱いてやらせていただいています。

ここからはどんな活動・行動・考え方をして2年目をしていくかの具体を書いてみます。
下記の取り組みたちも行きつくところは、上に述べた理念の実現に向けたものとなります。

①勝利の追求

部活動における最大かつ明快な成功体験は「勝利」です。もちろん勝利以外に経験させてあげられる形の成功体験も探していきますが、まずは勝つこと。勝ちを全力で追い求めるプロセスを学生と共に経験したいと思います。

大学生になって今一度、高校のときのような、むしろ高校のとき以上に本気になって努力ができるか、勝利に貪欲になれるか。
そこを刺激するための声かけや仕組み作りこそが指導者の仕事なので、まずは1か月後のリーグ戦で良い戦績を残せるようやり切ります。

②「カッコいい大人」「ロールモデル」と出会える仕掛け

大半の学生が卒業後に野球を続けません。社会人やプロで続けるとしても10年後には引退をしている可能性が非常に高いです。
だからこそ「野球」以外の生きがいや将来やってみたい仕事を見つけてほしい。

そのためにも「世の中にはこんなに面白い仕事がある、こんなにカッコいい社会人がいる、こんな大人になりたい」といった「ロールモデルとの出会いの量」を増やせる部でありたいです。上述した「濃い一次情報」には待っていてもたどり着けないからこそ、こちらからその場を用意するという流れから起案しました。

すでにその第1回が行われ、初回の講師は茨城ロボッツ社長であり、元京都大学アメフト部の監督も務めていた西村大介氏でした。
そして近く第2回も企画中。私の北大時代の大先輩である元NPB審判員の山崎夏生氏をお招きして、学生にキャリアについて熱く語ってもらう予定です。
(第3回以降のゲストも探し中です!)

③差別化を図るための採用強化

現部員たちとともに成果を最大化させる取り組みにはもちろん力を注ぎながらも、部を継続させる・発展させていくための活動にも注力しなければ、部の伝統は受け継がれません。

つまりはスカウティング活動の強化です。
ここについては1年目も時間を使い、多くの高校さんとのつながりを構築することができました。2年目はさらなる付加価値を出していきます。

高校生が行きたいと思える大学、指導者や親御さんが安心して送り出せる大学とはどういったものか、を熟考し続けた結果、設備面・金銭面・実績面で差別化が難しい中で他大学と本学を分けるポイントは先に述べた「理念」や「一貫した育成方針・チームカラー」という結論に至りました。

育成方針については、自身の独立リーグ経験も活用しながら投手・野手ともに明確な軸・基準を持って採用にあたりたいと考えております。
今はまだオープンな場での具体的な育成方針や採用基準の明言は避けますが、お会いした高校の指導者さんや親御さん・高校生本人には伝えさせていただきますので、少しでも興味のある方はご連絡いただければと存じます。

④指導者自身のアップデート

最後に私個人の話とはなりますが、
学生を”指し導く”役割である”指導者”は、学生以上に学び続けアップデートを続ける必要があると考えています。
また、②に述べた点についても、学生にとって身近な大人の一人は指導者です。だからこそ指導者自身が学生にとって「カッコいい大人」になれているのか、「ロールモデル」になれているのか、を問い続けたいです。

となると、誰よりも貪欲に勉強や挑戦を続けていく所存です。

具体的には(もちろん本業に支障が出ない程度の活動にはなりますが、、)
とある地方都市の「野球×まちづくり」のプロジェクトにも参画するご縁をいただきました。ここで生まれたご縁や得た知見を指導や②の活動に繋げていければと考えています。

まだまだ未熟な指導者2年目ではありますが、これからも自分の足を使って様々な人・場所に会いに伺えればと思います。
今季も本学野球部への温かいご支援ご声援のほど、よろしくお願いいたします。

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