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おすすめ本紹介:旅と人生のたのしみ方


旅行が好きな人は多いけれど、旅行に求めるものは人によって大きく違ったりする。


東浩紀さんの『弱いつながり 検索ワードを探す旅』を読んだ。
高校生の頃、現代文の評論を読むのが大好きで、その時におもしろいと思った文章。「村人」「観光客」「コミュニティ」なんて、思い出せる限りのワードで検索したら東浩紀さんの作品がヒットした。Googleってすごい。


書かれていたのは、旅行の楽しみ方であり、人生へのコミットの仕方だった。ろくに東京へ行ったこともない地方の女子高生が机に向かって読んでもおもしろかったこの本は、当然、旅行好きなOLがアメリカ旅行中のフライトで読んでもとてもおもしろかったし、深く納得できるものだった。


偶然に身を曝せ

必然というのは、最適なパッケージを吟味したうえで選ぶ人生。それはこの本によると、書店のおすすめやレビューを見て本を買う行為であり、また綿密な計画を立てた上で、それにしたがい旅をすること。

一方偶然というのは、言うなれば行き当たりばったりな人生。その場で目についた本を買い、気になった路地へ入り、見つけた店に入る。そんな偶然の帰結を楽しんだほうが、「旅=人生は楽しくなる」と東氏は述べている。


観光客であれ

会社や町内会、学校のクラス、サークル。さまざまなコミュニティで、多少の息苦しさを感じながら生きる日本人は多い。さらにそれぞれのコミュニティで、その場に適した自分のキャラを使い分けたりなんかもする。器用で、ちょっぴり窮屈だ。

そんなわたしたちに東氏が推奨しているのが、「観光客でいること」だ。


所属するコミュニティがたくさんあるのはいいことです。ただ、そのすべてにきちんと人格を合わせる必要はない。話も全部は理解する必要はない。一種の観光客、「お客さん」になって、複数のコミュニティを適度な距離を保ちつつ渡り歩いていくのが、もっとも賢い生きかただと思います。


相手に自分を合わせる必要も、話を全て理解する必要もない。旅も、人生も。
これはほんとうにその通りだと思ったし、人生よりもむしろ旅の楽しみ方に多少考えるところのあった自分にはストンと落ち着く答えだった。


紹介したい文を挙げるとキリがないので、気になった人はぜひこの本を読んでみてほしい。連載のエッセイを文庫化したものなので、一章ずつが短くてすぐ読めるし、わかりやすい言葉で書かれているので読みやすい。そして何より、内容がおもしろい。正直、「はじめに」の内容からおもしろかった。「東京大学に行くためにもっとも重要なことはなにか」という問い。詳しくは書かないので、ぜひ読んでみてください。


東浩紀『弱いつながり 検索ワードを探す旅』幻冬舎文庫


読書感想文なんて書いたの学生の頃以来だけど、決められた本について原稿用紙に形式張って書くよりも、自分でおもしろいと思った本を紹介する方がおもしろい。

みなさんのおすすめ本も、よかったら教えてください。


#日記 #読書感想文 #旅 #旅行 #人生

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