フィンランド2日目

今日はヘルシンキ観光とアイノラとラハティに向かう日。昨日HSL(ヘルシンキ市交通局)の1日券11€を買ったのに全然使わず全部歩いてしまったので今日はチケット買わなくていいやと思い徒歩で出かける。しかもAirbnbの部屋は今日でチェックアウトなのでスーツケースをガラガラしながら。これが後で疲労として返ってきてしまう。最初に向かったのはフィンランドの国会議事堂。環境問題を訴える人が階段にいた。これは外だけ見て次に。

その後ヘルシンキ中央駅のロッカーにスーツケースを預けて(3時間3.9€たけえ)昨日も見たヘルシンキ大聖堂に向かう。GoogleMapでそこらへんになんかないかと見てみるとフィンランド国立図書館が大聖堂の真隣にあるじゃないか。早速入ってみる。結局図書館が好きなのかもしれん。

入ったところはこれぞ西洋といった古めかしい図書館の雰囲気。日本では見たこともない風景に心が躍る。見た目だけではおしゃれにしか見えないが、その本一冊一冊にはきちんと文字が書いてあって誰かがそれを何かを伝えようとして書いたのだ。そう思うと感極まるものがある。この建物だけでも本を取り出したりしてかなりの時間うろうろしていたが、奥の方には近代的な図書館の建物が繋がっていた。こっちが本体か。近代的と言っても6階建ての面白い構造をしているのでさらに徘徊する時間が増える。なんといってもフィンランドで出版された本が全部所蔵されているらしい?

国立図書館にシベリウスのスコアがないはずないと思ってさがしてみるも見つからない。諦めて最後にトイレに行こうと思って1階に降りるとなんと地下があるじゃないか。迷わず地下に降りてみるが人はいない。ものものしい階段を降りて曲がって登っていくとそこにはmusikなんちゃらと書いてあるドアが。フィンランド語はわからんけどこれは音楽に関係するに違いない! 入るとそこはなんと音楽の蔵書が集められた専用の部屋だった。音楽が特別扱いされてるのがすごい。もちろんシベリウスのスコアもあった。

これでやっと目的を果たしたので次に向かう。港の方に歩いて行ってまたバルト海を見る。

さすがにここはにぎやかで人通りが多い。日本人観光客とも何回かすれちがった。海岸の沿いには市場がズラーッとならんでいておひるどきだったのでみんなごはんをたべている。朝から治安の悪いぽてちしか食べてなかったのでせっかくならまともな食事をとろうと思って屋台での昼食を決心するが一体何をたべよう。店員さんに英語で話しかけるのやだな。なんか人多いし並ぶのやだな。サーモンもいいけど肉でもいいな。つーか値段高すぎじゃね? せっかくならフィンランドでしか食べられないもんたべたいな。とぐだぐだしてその辺を文字通り右往左往して時間が過ぎていく。

最終的には覚悟を決めて肉屋の前に並び、トナカイ肉のプレートを注文。コミュ障がんばった。そしてなんと屋台でもクレカのタッチ決済が使えてしまう。日本でもそうしてくれ。トナカイ肉はごわごわしてて正直めちゃめちゃうまいわけではなかったが食事自体はおいしかった。お値段18€。カード爆発。

お昼を食べた後はエスプラナーディ公園を通ってアイノラに向かうためにヘルシンキ中央駅へ。エスプラナーディ公園は観光スポットらしいが全然大したことない。ふつうの市民の憩いの場だ。

ヘルシンキ市内にはいたるところに電動キックボードが置いてある。そして使ってる人がそこらにいる。私は見た目がはずかしくてレンタルする気にならなかったが今思うとこれで移動したほうがよかったか?

スーツケースを回収して電車に乗り込む。これもチケットをスマホで買って改札無しで勝手に乗るスタイル。結局チケットを確認されることは一週間の旅で一回もなかった。せっかく買ったなら車掌にチケットを見せてドヤりたい。乗ったのは13:10発Tampere行きのCommuter Train R。

40分ちょっとでアイノラに着くはずだったが、調べるとアイノラ駅は駅舎工事中で現在営業していない。隣のJärvenpää駅から連絡バスが出てるらしいがどうやって乗るのかどこから乗るのかもわからない。心配になってきた。そして今日はアイノラだけではなくラハティに行ってコンサートを聞かなきゃならんのだ。時間にも追われている。でもまあとりあえず行くしかない。
Järvenpääの手前で速度を落としたかと思うと工事中の駅舎が。プラットフォームにはシベリウスの顔。ここがアイノラ駅か。でも電車はJärvenpääまで向かってしまう。しかもこの時点で数分電車が遅延していてバスの発車時刻を過ぎてるなじゃないか。さすがに連絡バスだから待ってくれるとは思うが。たぶん外国では交通機関の時間はあんま気にしてなくて来たのに乗るっていう感覚なんだろう。山手線を見習え。
Järvenpääで降りて必死に看板のバスのマークをたどる。今夜はラハティに泊まるのでスーツケースをガラガラしながら。もう右足が痛い。バスターミナルらしきところにつくとそこにはAinolaと書かれた青いバスが。今にも発車しそうである。そのバスに乗りたいです!!という必死の走りを見せ、私を乗せた直後にバスは出発。ここでもチケットは確認されない。

バスは何回か止まり、どこで降りればいいかもわからないので日本人的考え方に従って一番降りる人が多いところで降りた。バス停を降りるとそこはすでにフィンランドの田舎ぽいところ。みどりみどりみどり!

ここからスーツケースとともにアイノラに向かわないといけない。途中までガラガラしていたが、さすがに体が限界に。

そこらへんの草むらにスーツケースを隠すことにした。裏紙に"Please leave this. I will collect it later."と書いてスーツケースの上に置き、それをコートで覆って草むらに放置。どこにあるかわかるかな?

体が軽くなったのであるきはじめる。いたるところ景色が良すぎる。つくばのきたないぐにゃぐにゃした木は一本もない。気温も長袖一枚でちょうどよく最高である。家もおしゃれだ。

そして道端にはふつうにきのこが生えている。かわいい。

そしてとうとうアイノラに到着。ここがシベリウスのいたところか!!

一見ただの林に見える。本当に自然豊かだ。そよ風が吹くと葉の音がきこえる。私もこんなところに住んでみたいものだ。

何があるかも分からずとりあえず進んでいくと墓こっちらしき標識がある。歩いていくとそこにはあった! 緑色のほぼ正方形の物体が見えてくる。シベリウスだ。

思わず数分間その場で立ち尽くした。ここにシベリウスがいる。1万kmはなれた場所からシベリウスに会えた。日々格闘をしているあの曲を書いた人が「ここに」いる。ものすごい感情を沸き立たせてくれるあの曲を書いた人が「ここに」いる。言語化すると安く聞こえてしまうが確かにフィンランドまで来た意味を感じた。
やっとなにか行動を開始することができるようになってやっと写真をとった。もちろんヘキサゴンとも。

何か変わるかと思い持ってきたスコアをめくる。なんだかよくわからない。とりあえず記念撮影をした。

ここにずっといたかった。シベリウスと離れたくなかった。なにか心を支えられているような感覚があった。しかし他の観光客も見に来るので好き勝手感情に浸っているわけにもいかない。他の観光客はほんのお墓を見てすぐ立ち去ってしまう。やはりここに居座ってスコアとぬいぐるみを出してわけもわからぬ感情に浸っている異常者は私だけか。後でまた来ると自分に言い聞かせてシベリウスの家に行こうと思った。お墓の周りも自然ゆたかである。いいなあ。

家に行こうと思ったが先にあったのはシベリウスのサウナだった。

設備は古い。ここにシベリウスがいたのか。

シベリウスがサウナに入って涼んでいたであろうデッキからの景色も見た。これがシベリウスの見た景色か。

そして次は家に向かう。シベリウスとその奥さんのアイノの家だ。ここに住んでいたのか。

シベリウスの仕事場らしい。机の上には万年筆と五線譜が見えた。

シベリウスの蔵書たち。古めかしい本がたくさんある。

窓の外からはみどりが見える。

ダイニングかな。ピアノも見える。

しべ8が燃やされたと噂される暖炉。この緑色はシベリウスにヘ長調を思い起こさせたらしい。

次はシベリウスがよく物思いにふけっていたという場所に行ってみた。

その後またシベリウスの家に戻ったりまたお墓に行ったりしてほっつき歩いていたが、実はこの間ずっと私は時間に追われていた。19時までにラハティのシベリウスホールにいなければならないのだ! アイノラからラハティまで電車で90分くらいなのでできれば16時くらいまでにはアイノラを出たい。でもアイノラについたのは14:20だから2時間くらいは滞在したいといろいろ考え16:30には出ようと決心した。
アイノラを去る前最後にまたシベリウスに会いに行った。もう一生会えないかもしれない。しかしシベリウスとの付き合いは一生続くだろう。電車の時刻も迫っている。もう行こうと決心した。去り際何度も何度もシベリウスの方を振り返った。ありがとうシベリウス。一生忘れない。

そこからが大変である。調べたところ、ねらっている電車に乗れなければコンサートには間に合わないのだ。割りと焦っていた。放置したスーツケースは何事もなくそこにあった。よかった。そしてJärvenpää行きのバスに乗らなければならないのだが、どこから出るのかわからない。必死で調べる。一瞬Järvenpääまで歩くことも考えたが足はすでに痛い。調べたところ行きでバスを降りたところに来るらしいのでそこに向かった。よかった。バスが待っていた。JärvenpääからCommuter Trainに乗って南に少し戻りKeravaで乗り換えた。KeravaでCommuter Train Zに乗り、Lahtiへ。予定では17:51ラハティ着だったが当然のように遅延。
ラハティ駅に到着。景色や町並みを楽しむ暇もなかった。ラハティ駅からシベリウスホールまでも時間がかかるのでさらに焦る。歩いていくこともまた脳裏によぎったが、さすがにバスを使うことに。でもバスもどれにのればシベリウスホールに行けるかわからない。バスも時刻通りには来ないからGoogleMapの時刻もあてにならない。
そしてチケットの買い方もわからない。調べるとラハティ市交通局のアプリで買えるらしい。でも今度はなぜかクレカが登録できない。詰んだかと思われたが通信状況が改善すると購入できた。そしてさらに困ったのは私がバス停にいるのにバスはどんどん素通りする。フィンランドでは日本と違ってバスの運ちゃんに手で合図しないと止まってくれないのだ。そんなことこのときは知る由もなかった。
他にもバス停で待っている人がいたのでその人と一緒に乗り込むと私は運ちゃんにこのバスはシベリウスホールに行くかとたずねた。どうやら行くらしい。コミュ障がんばった。

20分ほどして湖が見えたかと思うとそこにはシベリウスホールがあった。バスを降りてあたりをながめる。ストリートビューで見たあの場所になんと自分がいるではないか。

ガラスにはSibelius Fesitvalの文字が。これが発端で私はフィンランド行きを計画したのだった。とうとう来てしまった。何やってんだか。

ホールの建物内に入ったのは開演20分前。ふつうもっと余裕を持つものだろうがしょうがない。ロビーではみんなワインを飲んでいて楽しそうだ。酒を飲んで音楽を聞くとはおしゃれだな。しかし私はお金がないのでそのままホール内へ。

シベリウスホールはサントリーホールやNHKホールと比べると小さい。今日はスウェーデン放送交響楽団のコンサートだ。前がシベ7、中がシベコン、メインがシベ1という怪物プログラム。たのしみだ。

大枚をはたいて買った日本で言うS席。64€ぐらい。銀行口座は爆発。

シベ7。曲が始まったと思ったら終わっていた。あまり間の記憶がない。意識が飛んでいたのかもしれない。
シベコン。最初の1st2ndヴァイオリンの入りがこの世のものとは思えない音だった。こんな音が存在するのか。ソリストの音は私の好みではなかったがいい演奏だった。1楽章の終わりで拍手が起きたのは面白かった。
シベ1。アツかった。音楽がうねっていた。1stヴァイオリンの一番後ろのプルトの人まで本気で音楽をしていた。コンバスは全員kmr先生だった。日本のオケは悪い言い方をするとおりこうさんすぎるように感じた。やはり音楽はこうでなくちゃあ。

終演。明日も聴けるなんて贅沢すぎる。もう21時を過ぎていた。日本だったら朝の3時だ。さすがに疲労がたまっていた。シベリウスホールからホテルまでスーツケースと共に移動しなければならない。だがいい演奏の後で不思議と足は軽かった。ホテルはScandic Lahti City。まともなホテルだった。

Airbnbの部屋のほうがグレードは高く感じたがふつうのホテルはこんなもんか。

昨日のめなかった酒と治安の悪いぽてちを頂いて2日目は終了。

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