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日大の補助金不交付は歓迎されるべきことなのか?

日本大学は一連の問題を受け、私立大学等経常費補助金の不交付が決定してしまいました。これについて、各種コメントやSNSでは「当然だ」「不交付でよかった」的な歓迎ムードでしたが、果たしてそうでしょうか。

そもそも私立大学等経常費補助金とはどのような経緯で導入されたのでしょうか。時は1970年代、現在とは逆で大学の定員が大学進学希望者数に全く見合っていない状況で、各大学は1.6倍から1.8倍もの学生を受け入れていました。教室の席数より多い履修者数なんてことは当たり前で、実際大学生の側も2回目からは大学に来ないなんてことが常態化、現在の高校4年生みたいな大学ではなかったのです。
状況を改善するために、旧・文部省の側が「経常費の半分を国が支給するので適正化に努めてくれないか」と持ち掛けたのが事の始まりです。決して大学側が熱望して支給を求めたものではない、というのがミソです。

結果は上図の通りで、ただの一度も50%に達しなかったばかりか、一桁パーセントというのが実情です。しかし、定員は守れ、各種ルールは守れと縛り付けだけが残るというありさま。個人的には詐欺行為に近いのでは?とも感じています。
これに対し、ありがちな意見としては「だったら経常費補助金を申請しなければいい」と素人見解を述べられる方もおり、さらに訳知り顔の人が「たしか第一グループではもらっていなかったはずだ。だからそうすればいい」みたいなことを主張してくることも稀にあります。ただ、敵(文科省)もさるもの、その手はしっかりと大学認証評価という形で塞いできます。

第一工業大学の認証評価の結果

要するに「補助金を申請しない(=国の傘に入らない)と大学の運営を認めないよ」ということです。

つまり、今回の日大への裁定は、国の傘に入らなくなるとまでは言いませんが、かなり蚊帳の外に置かれる形になります。各種ルールの適用から外れても縛り付けるものがなくなることになります。
具体的には、定員を守らないで学生を取るなどとということがありえます。その場合、被害を受けるのは当の日大ではなく、他大学です。その意味でも、減額で済ませておく方が実際は被害が小さかったのでは?などとも考えてしまいます。

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