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カヌー大好きおじさん的意識

今日は友人に連れられて、国立近代美術館の「ピーター・ドイグ展」にお邪魔して来ました。

いやー、やられましたね。
「ピーター」と聞いて池畑慎之介を思い浮かべてた自分を殴りたい。
感受性のスイッチこれだけ乱打されたら誰だって一発KOですよ。

絵画に圧倒された経験は過去何度かありましたが、絵画に呑み込まれたのはこれが初めてでしょう。
一目見た瞬間は何ともないんですよ、「上手いなぁ」くらいのもんで。なんなら少し平べったいなぁ、なんて思いながら"境界"に目を見やった瞬間、

スンッ!サーッ!

突如として浮かび上がる奥行き。
目を付け替えられたかと思うほどの立体感。
本当にドキッとさせられました。

もっと目が良ければ最初からそう見えるのかもしれません。ただ、出会い頭に平面的な情景を意識させられると、構造に気づいた瞬間の衝撃がより増大しますね。

仄かに近現代社会への反発が見えたり、不安定性を見事に描写したりと、題意が明確に存在していそうな作品もありましたが、やはり最大の魅力は構図でしょう。
作家で言えばプロットで勝負するタイプ。

活動歴の長さゆえ作風が二度ほど変化しており、個人的には後期作品はそこまでだったのですが、それでもなお大満足です。
特にライオンとスタジオの絵は最高。
画像なしてベラベラと語ってもあまり伝わらないとは思いますが、本当にオススメなので是非足を運んでみてください。

しかし、絵画そのもの以上に僕が感化されたのは「創作に対する姿勢」ですね。と言ってもド素人が作品から勝手に感じ取っただけなんですが。

特に2000年代の一部作品がそうだったと記憶しているのですが、明らかに図形的要素ありきで描かれた絵が散見されるんですよね。
つまり、「題意」や「題材」より先に「構造」が来ている状態。何が魅力的な絵画かを図形的に理解した上で、情景やテーマを味付けとして乗せていく創作法。

情念とリズムが文章に先行しがちな僕にとって、何が最も足りないかを明確に突き付けられた思いです。
考えてみれば、「まず展開ありき」の商業作家は割と見かけるように感じます。面白さを得られる文章展開の習得こそ、安定感と統一感のある創作物を生み出す最善の方法なんでしょう。

精進しかありますまいて。

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