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夏のおいしいワークショップ(2)〜 くいしんぼうラボ 活動レポート(vol.15)

「くいしんぼう ラボ」は、2022年に東京学芸大学と辻調理師専門学校との間で締結された「食と農と環境に関する教育研究連携」に基づき、くいしんぼうの視点で、食・農・環境を考える・畑で食べる・薪でピザ、梅干し作り、ハーブで遊ぶ・畑でコーヒー焙煎、コーヒーの抽出カスで肥料作りなどなど、美味しいものを中心にして、みんなで食べること、農作物を育てること、そして環境に優しく持続可能な社会のことを楽しみながら学ぶというExplaygroundのラボです。
8月7日(月)、8月24日(木)の2回にわたり、エコール 辻 東京と東京学芸大学のラボメンバーに加えて、2024年度開校予定の「辻調理師専門学校 東京」への入学希望者など、ラボメンバー以外の方でも参加できる特別な「夏のおいしいワークショップ」を開催しました。農園を管理されているリーダーの平田さん(東京学芸大学)によるご指導のもと、総勢15名での活動の様子をお伝えします。
(1回目はこちら

8月も終盤になりましたが、まだまだ猛暑が続く毎日です。そんな暑さにも負けじと、2023年8月24日(木)、夏のおいしいワークショップ(2)が開催されました。
前回同様、エコール 辻 東京、東京学芸大学のラボメンバーとともに、2024年度開校予定の辻調理師専門学校 東京への入学希望者など、ラボメンバー以外の方も参加して、総勢15名での活動です。そして、今回も、前半は旬の野菜の収穫、後半は採りたての野菜を使っての調理、試食となります。まずは東京学芸大学環境教育研究センター多目的室にて、自己紹介からのスタート。それぞれ自分の所属や名前、普段取り組んでいることや、このラボに参加しようと思ったきっかけなどを話します。はじめて参加された方は緊張気味でしたが、ラボのメインメンバーの学生たちの和やかな雰囲気のおかげで自然と笑顔がうまれ、お互いを知ることで緊張もほぐれていきました。

自己紹介からスタートです。それぞれ所属は違いますが、今日はみんな「くいしんぼうラボ」の仲間です!

全員の自己紹介を終え、いよいよ身支度して農園へと繰り出します!

今回も平田さんから活動スケジュールを確認します。暑い中での作業となるので水分補給も忘れないように!

前回の8月7日から2週間しか経っていないにも関わらず、照り付ける太陽の日差しの下、農園の緑が一段と色濃く生い茂っていることが分かります。植物の生命力を五感で感じながら、農園の奥へと進んでいきます。

農園の奥へと進みます。農園の先が見通せないくらい緑が生い茂っていました。
青い空、葉の緑、黄色いひまわり。

農園の広場から圃場(農作物を栽培する畑や田んぼ)に向かう途中に、見上げるほどの背丈の木があります。何やら実がなっているように見えます。目を下に向けると足元の草の茂みにその実のようなものが…拾って中を割ってみると、梅干しの種を一回り大きくしたような茶色い種とピンクがかった果肉が現れました。「アーモンドの実ですね」と平田さん。「これがアーモンド!?」と皆さん興味津々です。割った果肉部分からはほんのり甘い香りもします。熟した合図なのかもしれません。この種の中の仁(じん)がアーモンドになるそうです。「アーモンドを使ったお菓子にはどんなものがあったかなぁ」。想像が翼を広げます。

背の高いアーモンドの木
ーモンドの実。中からはほんのり甘い熟れた香りが 立ち上ります

アーモンドの他にも、みかん、キウイフルーツが実り始めていました。この農園は、本当に食材の宝庫です!

まだ青々としていますが、みかんが実り始めていました
立てた支柱に枝木を伸ばし、キウイの果実がたわわに実っています

アーモンドや果物の様子を観察しながら、農園の奥へと進みます。次は、夏野菜の代表、なすの収穫です。前回も収穫したなすですが、さらに葉が生い茂り、腰の高さほどに成長していました。葉を掻き分け、実ったなすを探しながらの収穫となりました。

腰の高さほどに育ったなす。葉を掻き分けながら、収穫しました
みんなで協力しながら、白丸なすと、米なすを収穫しました

続いては、こちらも前回も収穫したバジルです。2週間前と比べ、葉はさらに成長し、花を咲かせていました。摘んでみると、変わらずバジルの爽やかな香りが、辺り一面広がります。収穫する者だけに許されたバジルの豊な香りを嗅ぎながら、おいしい料理に思いをはせると、まだお昼前なのにおなかがすいてきました。

バジル収穫の様子とバジルの花(下の写真)。葉の先に縦に伸びるようにして花が付いていました。2 週間前には無かったので驚きです。
バジルの花

そして、バジルの横には、似たような葉の植物があります。「平田さん、これはバジルではないですか?」「それは藍(あい)の葉です」と平田さん。「あい?」すぐにはピンとこない人もいます。「はい。藍染めに用いる、藍の葉です。たんぱく質によく染まる性質があり、木綿よりも絹の方がよく染まると言われています。そのため、葉をよく揉み、酸素に触れさせると、人間の手指も青く染まります。たんぱく質によく染まることの証です(笑)!」これを聞くとすぐに葉を摘んで指先で揉みはじめる者がおり、確かに青く染まってきました。しかも、時間が経つほどにその青さが濃くなります。藍染職人が減り、藍の栽培も減ったということですが、この農園ではずっと栽培され続けています。

藍(あい)の葉
緑色の葉が酸素に触れると青くなるということ。たんぱく質によく染まるということ。こんな知識も今日農園で体験とともに得ることができました!

なす、バジルと共に、ピーマン、ひもとうがらし(細長い、ししとうのようなとうがらし)も収穫しました。また、前回はたくさん採れたトマトですが、収穫期を過ぎている今回はほとんど採れませんでした。定期的な収穫作業は、農園の季節ごとの植物の生育状況を知るための貴重な観察機会でもあります。

収穫できた夏野菜たち。今回もおいしく調理しましょう!

収穫した夏野菜たちは、前回同様、農園に隣接する辻調理師専門学校 東京へ運び、おいしく調理します。その前に、やはり前回に続き、イネを観察することになりました。こちらも2週間前から明らかに成長していることがわかりました。

前回、2023 年 8 月 7 日の田んぼの様子 稲の高さは膝丈ほどです。
今回、2023 年 8 月 24 日の田んぼの様子。 稲が腰丈まで成長し、穂先がやや黄色く色づいてきているのが分かります。
イネに同化するかようなイナゴの姿です!
赤米(左奥)と黒米(右手前)も栽培されていました。

農園を後にする前に、今回も収穫物と共にみんなで記念写真を今回もパチリ。さぁ、次は、辻調理師専門学校 東京の校舎へ移動し、白衣に着替えて調理です!

収穫物と一緒に記念撮影です。みなさん、今日も暑い中、おつかれさまでした!

白衣に着替え、手洗いを済ませ、早速調理開始です。本日のメニューはこちら!

~ 夏のおいしいワークショップ(2) 本日のメニュー ~
ガスパチョ(トマトの冷製スープ)
パンサラダ
夏野菜のパスタ バジルソース
梅ゼリー

今回の参加メンバー全員が白衣に着替えて準備 OK です。みんな、きまっています!
さっきまで農園に実っていたなすはとてもジューシーです。肉厚に切ってオリーブオイルでおいしくソテーします!
香り高いバジルのパスタもみんなそれぞれ仕上げていきます!
右上:パンサラダ。今回も辻調で焼いたパン(バケット)を使いました。
下:バジルたっぷりのパスタ。写真を見るだけであの時の爽やかな香りの記憶がよみがえります!
製菓の学生、町田さんの、前回からさらに進化した梅ゼリー
パスタがあたたかいうちに試食です!
農園管理の平田さんがすいかを差し入れしてくれました。真っ赤で甘くておいしかったです!

参加者からの試食について多かったコメントは、もちろんまずは「おいしかった」ですが、その理由として「食材の味」についてのコメントが数多くありました。これは前回も同様でした。私も同じことを感じています。前回、今回と、調理、試食して、改めて感じたのは食材の力です。その背景には、種や苗の段階から育て、生育環境を知り、収穫し、そして調理し、味わうという、この一連の流れが体験できるくいしんぼうラボの活動があります。食・農・環境の関係性に対する認識を深め、その価値を共有し、高めるための土台となるものだと思います。2年目を迎えたラボの活動、これからもとても楽しみです!次回のレポートもどうぞお楽しみに。本日は皆さん、本当におつかれさまでした!

辻調理師専門学校 迫井千晶

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