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ちょっと今ここだけの、風邪ひいたときの話

気難しい人間には、風邪をひくにしたって簡単にはやらせてくれないらしい。そこらの草ちぎって食べれる割に、些細なことで身体を崩す。読みたい宮崎駿の回想録を我慢して、二週間ゼミの発表レジュメのためだけに没頭した。遊びも飲みもほどほどに、ガールフレンドとはデートも行かず、むしろ畠仕事を任せきっりで、篭ってレジュメを書いた。

あぁ、ろくでもない人間か、風邪拗らせるのも当然か。結局発表前日から熱、熱はその後にぐんぐん上がり。お陰でふらふらの頭でオンライン発表。ここは意地でもやり切った。この一週間、五分以上座っていられたのはそれっきり。よく耐えたよなぁ、と自分でも思う。誰も褒めやしないから自分で褒めておく。

病院は基本的に嫌いだ。健康診断はもっと嫌いで、ずっと大学の案内を無視していたら、奨学金を止めますよと脅されたので渋々行った。ただ唯一、適度な愛想の町医者は気に入ってて、だから熱が上がったのでそこに診察へ行った。一応やった検査は陰性。コロナでもインフルでもないってさ。2回行って2回そうだったんだから、違うんだろう。けど、夏風邪にしちゃあ39.4度は可笑しいだろ。

まぁここまでは前置きで。弱音吐くタイプじゃないし。

この高熱と頭痛が厄介で。熱があるうちは当然だけど何もできない。立てないんだから。でも寝ると悪夢見て起きると汗で全身びとびと。だから周りには寝ろ寝ろ言われるんだけど、寝たくない。だからベッドの上でTVerでバラエティを見てた。これは堕落じゃない、唯一の救いなんだ。こっちが受け身になって笑わせてくれるのが一番楽でいられる。千鳥の大吾がボケている瞬間だけ、身体が楽になった。僕の世話に疲れた彼女に「僕は頑張って千鳥を見るよ、君は課題頑張ってね」と言ったらキレられた。冗談のつもりではなかった。

何か考え事をすると、頭の痛みが強くなった。何も考えるなということらしい。お笑いを見るフリをしてドキュメンタリーを見たが、身体を騙すことはできず頭痛がした。少し楽になった頃、また宮崎駿を開いたが頭痛がして諦めた。

もう騙すふりするのも諦めて、熱が出ることを承知で映画「キネマの神様」を見た、ジュリーが渋くて格好いい。そして宮崎駿も読んだ。絵も描いた。文も書いた。それで良いと思った。熱は上がった。

結局、身体が不調な時にできることというのは「甘えてできること」だった。熱が上がる要素の、本読んで熟考するとか文化を楽しむことは、エネルギーが必要なもので、だからこそ生きる価値はそこにあるのだと思う。逆にエネルギー不要なものたちとは、縁を切るとまでは言わなくても距離を取るべきだと思った。

とか思いつつ、身体の調子が治ってニ週間弱、結局今日だって今朝一番に千鳥を見た。そして飲み会4連勤。痛い目に遭ったってわからないものはわからない。成長なんかしない。けれど文化は愛していたい。人に褒められたくもない。分かり易い人間ではいたくない。それが僕の意地。意味のない意地っ張り。書きたいことは書いたので、終わり。いつだって最後は投げやり、今日も天気は曇り。

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