福(FUKU)

いち大学生。 料理、絵、自然、旅

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マガジン

  • 散文的日記

    界隈で一大ブーム?を起こしてる五感復活運動 飽きるまではやってみる、飽きたらやめる

最近の記事

〈せつなさ〉と〈しょうもなさ〉

鳥の鳴き声で目を覚まし、朝露に濡れた草を踏みわけ、トマトをもいで食べ、いつも聴くアルバムのピアノ7音に心を沈ませ、そして師に挨拶する。空を見ては天気を憂慮し、烏(カラス)の群れ鳴けば不幸に心が痛み、大酒を交わしながら縁を紡ぐ。一日酷使された腕は痺れながら、冷える夜に歓喜する。乾いた身体に「のどごし生」が染み渡り、机に置いたコップを見れば金の泡が一列になって浮遊する。夢を見ているようだけど、叱咤激励を受けるたびに目が覚めて、気を引き締める。そうして虫の音を聞きながら夜は更け。街

    • ちょっと今ここだけの、風邪ひいたときの話

      気難しい人間には、風邪をひくにしたって簡単にはやらせてくれないらしい。そこらの草ちぎって食べれる割に、些細なことで身体を崩す。読みたい宮崎駿の回想録を我慢して、二週間ゼミの発表レジュメのためだけに没頭した。遊びも飲みもほどほどに、ガールフレンドとはデートも行かず、むしろ畠仕事を任せきっりで、篭ってレジュメを書いた。 あぁ、ろくでもない人間か、風邪拗らせるのも当然か。結局発表前日から熱、熱はその後にぐんぐん上がり。お陰でふらふらの頭でオンライン発表。ここは意地でもやり切った。

      • 原因不明の高熱、5日目。検査したけど、陰性。夏風邪にしちゃキツすぎる。 解熱剤飲みすぎて耐性がつく。医学の敗北、ざまあない。最近頑張りすぎてたんやな、そう思うことに。頭痛にも慣れてきたし、そろそろビールぐらいいいんじゃないかな。だめかな。

        • 表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

          日本には芸人と呼ばれる仕事がある。言葉の力で戦う仕事。僕はけっこうお笑いが好きだ。お笑い好きと言われる人ほど好きではないけれど、人並みに好きだ。それは大衆娯楽であり、憧れでもある。高校のころに本当に面白くないトリオ漫才をやったこともあるし、政治の授業では教壇に出ていって安倍晋三のモノマネをしたり(そっちは結構ウケた)それくらいにお笑いは好き。 時は流れる。僕は人前でふざけることはなくなり、トリオのメンバーと連絡することも減った。政治への関心は以前ほどなく、安倍晋三は撃たれて

        〈せつなさ〉と〈しょうもなさ〉

        • ちょっと今ここだけの、風邪ひいたときの話

        • 原因不明の高熱、5日目。検査したけど、陰性。夏風邪にしちゃキツすぎる。 解熱剤飲みすぎて耐性がつく。医学の敗北、ざまあない。最近頑張りすぎてたんやな、そう思うことに。頭痛にも慣れてきたし、そろそろビールぐらいいいんじゃないかな。だめかな。

        • 表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

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          13本

        記事

          土地を耕す

          藪を借りて二週間が経った。 週に三日ある僕の休日は、ほとんど毎回畑に通うことになり、それはそれは耕した。 表面の草を刈り、土を起こし、地中深くの根っこを掘り起こす。 相変わらず、変わった生き物と出会ったりしながら。 そしてついに、ついに畑になった。 …草のない藪になっただけなのだから、空き地というべきか。 ホームセンターへ行き、苗を買う。あれがいいか、これがいいか。悩みながら。 いずれは地野菜もしたいし、種からこだわりたい。 けれど(幼少期の記憶を除けば)はじめて

          土地を耕す

          「畑、はじめました。」

          (畑の日記vol.1) 畑、はじめました。 それは突然に、春の訪れとともに。寒い冬、こたつの中でいつか畑を耕す日々が過ごせることを夢見てはいたが、やろうとおもえばいつからでもはじめられるものだ。 市役所と手続きをして、山の中の一区画を借りた。手続きはまだ済ましていないが、担当からは「今から使って構いません」とのことだった。 はじめ見に行って驚いたのは、用意された畑は、畑ではなく、なんの手入れもされていない藪だったことだ。 けれど目線を下げると、さまざまな出会いがある

          「畑、はじめました。」

          或る朝、アレクサ

          痛い。頭がきりきりする。こんなことなら呑まなければ良かった。いや呑まれなければ良かったのだ、けれどそれは常のことだから僕はもうとっくに自分のことは諦めている。 アレクサ、おはよう 僕は暇になると時々こうして機械に話しかける。 おはようございます、と機械は返事をした。 アレクサ、頭が痛いよ 頭が痛いのですか、それは心配です、ひどい場合は早めに病院を受診してください アレクサ、僕の痛みは病院に行っても治らないんだよ すみません、よくわかりません アレクサ、お酒をた

          或る朝、アレクサ

          シードル街道を歩けばりんごに当たる

          僕とりんごとの出会いは、幼少期に遡る。いつから好きだったのかはよくわからない。意識して好きになったのはいつからだろう。ほとんど初恋と同じだ。 小さい頃の思い出ボックスに、りんご狩りに行く予定が書かれた手紙があった。それが今のところ見つけた、いちばん古い記録。中学ではライスクッキングコンテストなる、米料理の校内コンテストがあったのだが、そこで僕はりんご果肉を混ぜこみ、りんごジュースで米を炊くという、狂気の料理・りんごはんを作った(しばらくイジられたなぁ)。で、なぜかこれが食堂

          シードル街道を歩けばりんごに当たる

          りんご愛日記

          林檎の国へ とうとうフランスまで来てしまった。 社会学や民俗学の成り立ちを、或いは世界史を学んできた僕にとって西欧、ましてやフランスなんて好きになれるはずがなかった、のだけれど、この国には何と言ってもりんごがある。りんごが。僕の愛してやまない禁断の果実。 小さなスーパーでも4種類ほどのりんごがカゴいっぱいに並べられている。日本のスーパーなんて、ほとんど「ふじ」だけ、ときどき青リンゴもあるけれど、その程度。こちらでは王道品種ピンクレディをはじめゴロゴロ量り売りで売られてい

          りんご愛日記

          INORI

          傷をえぐる 膿が出るように 生ぬるい痛みを鮮やかに汚らしく残すために だから あの景色を思い出して そして鞘のないこの右手を見る 祈る なんて無責任なことば 空以外 すべてとぎれている
 川を駆けて 石を拾って 山を拝んで そんな記憶を押しやって ぼくは 祈る 貴方がいつか街の色に染まっても その美しい感性が 失われないことを ぼくは 祈る

          老犬

          老犬は目を覚ますと大きな欠伸をしてそれから伸びをした。 主が近づいてくるのを目で捉えると尾を立てて高くひと吠えした。 老犬は自らの尾が、古びた喫茶店の隅にある置き時計の振り子のように、ゆっさゆさと揺れていることを、温かな尻で感じた。 主に目線を注ぐ。はぁはぁと舌を出しながら息を吐く。促すのだ、散歩へと連れて行けと。 首にかかる鎖を主が持つと、蒙古の草原を駆ける馬の足並みのごとく、軽やかな足取りで走り出す。 急発進に遅れをとった合金の鎖は波打ち、主と老犬の繋がりを象徴

          バス停に座って

          やっぱり 街での過ごし方がわからない 友人からいくつかカフェを紹介されていたが、学生街に並ぶ古本屋を巡った。地下鉄やバスに乗る、なんて発想がしばらく思いつかず、というのも故郷にはなかったから、歩いて歩いて足がつった ずっと本選んでた、1ヶ月分の自炊代くらい買った、読みたい本が多すぎて時間と頭が足りないや さすがにこれ以上本は買えないので バス停に座ってみることにした いろんな人が乗ったり降りたり パトカーが通ったり 雨が降ったりやんだり 僕はカフェよりこっちのが落ち

          バス停に座って

          きみの本棚を見せて

          ぼくの本棚 週に2冊本を読むとしても 一年で100冊しか読めない。 ゆっくり本を読める日々が あとどれくらい続くのか、 なんて考えてみる 老眼になったら本を読むのも億劫になるだろうし。 ぼくらが生涯にどれだけ読めるかは もうあらかじめ定まってる。 だから本当に大切にしたいのは 読書する時間もなんだけど、 どんな本を読むか、を選ぶ時間だなぁなんて。 例えば僕はビジネス書は読まない。理由は鼻につくから。 小説は太宰をときどき。 現代小説はあまり読まない けど思い返

          きみの本棚を見せて

          ケセラセラ、ということで

          好きだったドラマの最終回は、気が向くまで見れなかった。終わってしまう淋しさもあったけれど、きっと美しいラストを見れないと思ったから。どんなに酷い終わり方だったらば僕の心を掬ってくれるだろうと何度も妄想した、けれど案外見てしまえばそれはそれはいい終わり方で、生まれ変わるならこういう恋愛をしてみたかったな、なんて。アップルパイを頬張り、乾いた口にホットワインを流し込んだ。 ドラマはおろか、恋愛ものに一切の関心を持ってこなかった人間がここまでハマるとはね。余韻を噛み締める。ふっと

          ケセラセラ、ということで

          夜街のメロンジン

          この街には昼がない。一日中夜のようで、みんなそれぞれの気分の時間に酒を飲み始めるそうな。だから赤提灯もずーっとついたままなんだとか。住民たちは毎日同じ話を交わしては、初めて聞くかのような反応を取り合っていた。あまりに黒すぎる空の下、二人の男が並んで歩いてきた。年の差から見て師匠と弟子、というような関係かな。60過ぎに見えるおっちゃんは常に酔っている。陽気でふざけたことばかり騒ぎ立てながら、いつもこの狭い街の向こう側から歩いてくる。「まず声がやってきて、次におっちゃんがやってく

          夜街のメロンジン

          うずらを轢いたことはあるか

          こんにちは。FUKUです。 もう秋ですね、今日は少し変わった話を。 寝れない夜をさらに惑わせるかも 苦手な方は気をつけてください 過ぎた台風 少し前、大きな台風が日本列島を直撃した 「伊勢湾台風なみだ」と言われていたが、実際にはそれほどではなく、けれど物凄い力を持ってやってきた。 研究の調査でお世話になっている村も、台風がかすっていった。 街では「あれは大きかったね」と台風一過の挨拶を交わす程度で、すぐに日常のレールに乗っていく。 けれど村は土砂崩れに、道路寸断に、

          うずらを轢いたことはあるか