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土地を耕す

藪を借りて二週間が経った。
週に三日ある僕の休日は、ほとんど毎回畑に通うことになり、それはそれは耕した。

表面の草を刈り、土を起こし、地中深くの根っこを掘り起こす。

相変わらず、変わった生き物と出会ったりしながら。

そしてついに、ついに畑になった。

…草のない藪になっただけなのだから、空き地というべきか。

ホームセンターへ行き、苗を買う。あれがいいか、これがいいか。悩みながら。

いずれは地野菜もしたいし、種からこだわりたい。
けれど(幼少期の記憶を除けば)はじめての畑なのだから、そしてむつかしさを知っているから、まずは苗を買う。

買った苗を畑に植えた。
トマト、きゅうり、ピーマン、じゃがいも

種もいくつか蒔いた、オクラ、枝豆、にんじん、ラディッシュ、レタス

殺風景になるから、と彼女がひまわりを買った。ビッグひまわり、だそうだ。夏になったらきっと咲く。アブラムシがくるかもしれないから、苗からは離れたところに植えることにした。

畝を作り、苗を植えたらとつぜん美しい畑に見える。
なんとなく、誇らしくなった。

畑、という字はなぜ火へんなのか。
それは柳田国男が100年以上前に出会った疑問でもある。

彼は山奥のとある農村に行き、地図を開いて、畑と畠の違いに気づいた。

畑とは、焼畑のことだったのだ。

火を使うはたけ、それが畑だった。

火を使わないはたけは畠の字を当てられていたが、時代と共に混同して使用されるようになり、気づけば畑の字の方が使われている。

参考資料(筆者撮影)

僕は大学で焼畑の研究をしており、発表資料では「畑(焼畑)」と「畠(常畑)」を意識的に使い分けている。誰にも指摘されたことのない、自分だけのこだわりなのだけど。

けれどすっかりそんなことは気にせず、これまでnoteを書いていた。恥ずかしいことだ。

ということで、畑改め、畠を耕す日々はつづく。

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