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隠れ家の不良美少女 124 ウエディングドレス

翌朝綾乃さんを天空カフェ近くの別荘へ迎えに行った。

「おはようございます綾乃さん」希和が玄関で挨拶する。
「おはよう希和ちゃん」 
二人は後ろの席に乗って来た。
「お疲れ様です綾乃さん」俺は会釈する。
「ありがとう友希さん」彼女も軽く会釈をした。
「じゃあ出発します」

「いいなあウエディングドレス」希和は羨ましそうだ。
「新さんがあんな調子だから随分待たされたわよ」
「私も結婚したいなあ」
「友希さんと直ぐに結婚しちゃえばいいじゃん」
「そうしたいですう」
「友希さん、聞いてる?」
「えっ?、何ですか?」聞こえないフリをした。

本庄のKKステージオフィスへ到着する。
「いらっしゃいませ」希美子さんや美奈さん、詩織さんも出迎えてくれた。
「希和がいつもお世話になってます」希美子さんは深々と頭を下げる。
「こちらこそ、いつも希和ちゃんには癒されてます」ニッコリ微笑んだ。
「ご主人にはまた改めてご挨拶させていただきますね」
「すみません、まだ退院できなくて」眉を寄せた。
「中へどうぞ」皆んなオフィスへと入る。

「へ〜……凄い!こんな風になってるんだ」綾乃さんは縫製作業場や試着室などを見て驚いている。
「まだブランドと言っても始めたばかりなので…………」
「希和ちゃんの衣装で凄いのは解ってますから安心してますよ」
「ありがとうございます」
デザインルームの大きなデスクで打ち合わせを始めた。
デスクの上には何枚ものデザイン画が置かれている、美奈さんと希美子さんで考えたウエディングドレスだ。
「うわ〜とっても綺麗!」綾乃さんは満面の笑みでデザイン画を見入った。
ステージ衣装とウエディングドレスの融合したドレスはとても煌びやかだ。
「これもいい、いやこれも素敵!」
「綺麗だ〜!綾乃さんならどれも似合いそう」希和も少女のような顔をして見ている。

散々迷った挙句4枚のデザイン画を選んだ。
「この4枚の中から二つをお願いしようと思うのですが、このデザイン画を預かって病院の新さんに確認しても良いですか?」
「勿論そのつもりです」希美子さんは頷いた。

「それからもう一着特別な衣装を作って頂きたいんです」綾乃さんは改まった。
「はい喜んで」希美子さんはニッコリした。
「他のドレスはお腹が目立たないようにお願いしたんですけど、もう一着は柔らかい生地でお腹の様子が分かるようにしたいんです、生まれて来る子に一緒に結婚式を迎えたんだよって、写真を撮って後で見せたいんです」
「素敵〜、綾乃さんかっこいいですう」希和が感激している。
「良いですねえ」俺もウルっとしてしまった。

希美子さんは入念に綾乃さんの体を採寸した。
「これでデザインが決まれば直ぐに作り始めますね」希美子さんが確認する。
「よろしくお願いします」綾乃さんはニッコリ頷いた。

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