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隠れ家の不良美少女 194 キナコの暴露本

「友希さん奏太くん未来ちゃん、相談があるの」
「どうしたんですか?」俺は椅子ごと友里香さんの方を向く。

「今日長谷川さんと話してきたんだけど、武道館の配信当日、会場に広めの接待席を作りたいの、キナコちゃんをCMに使ってくれそうな企業を集めて見てもらうのよ」
「えっ!そんな事できるんですか?」未来ちゃんは驚いて目を丸くした。

「コロナだから無観客だけど、広く距離をとって万全の体制を作れば関係者のみに見てもらうことができるわ、もちろん医療チームも来ていただくし、検査などもしっかりやるわ」
「なるほど………」俺は返事しかできない。
「それから同じように2階や3階に広く取材席も用意するわ、今度のライブでキナコちゃんがしっかりとした実力を持っていることを認識してもらうのよ」
「凄い計画ですね」奏太くんは呆気に取られる。

「武道館が終わったら、キナコちゃんをドームのコンサートが出来るくらいに人気を押し上げたいのよ、そしてCM出演ももっと増やすわ」

「………………………」俺はただ頷く。
「………………………」奏太くんはただ目をパチクリするだけだ。

「友里香さんなら出来そうでドキドキしますね」未来ちゃんも頷いた。

「未来ちゃんも作詞家としてもっと仕事を増やすわよ、それに未来ちゃんの歌詞を読んで思ったんだけど、小説も書けるよね?」
「えっ!はい、書けますけど…………小説も書いて良いんですか?」
「良いわよ、でもいきなり書いても出版社するのは難しいわ」
「ですよね…………」
「でも、キナコちゃんと友希くんのラブストーリーなら皆んな読みたがるんじゃない?」
「えっ!キナコと俺の暴露本ですか?」俺は眉を寄せて友里香さんをジロッと睨む。
「そうよ、白露本よ」友里香さんは含み笑いした。

「えっ!そんなの書いて良いんですか?」未来ちゃんは何度も瞬きしている。
「ええ良いわよ、でも出版はキナコちゃんが二十歳になって友希くんと結婚してからね」そう言って笑った。
「そうか、結婚した後ならハッピーエンドになって問題ないですよね」未来ちゃんは納得している。
「そうね、うまく嫌味がないように爽やかに書いてね」友里香さん含み笑いしながら俺を見た。
「ええ…………それはかなりキツイなあ」俺は渋い顔をする。

未来ちゃんはしばらく考えていたが急に立ち上がって俺を見た。
「確かにキナコちゃんと友希さんの話なら私が書いた方が良いと思うわ」力強く言宣言した。
「でしょう?」友里香さんは少し首を横にして微笑んだ。
「私今から少しづつ書き始めます」ニッコリ頷く。
「2年後は作家デビューね、安心して出版社は私が決めてくるから」
「はい、頑張ります」

「じゃあ早速CMに使ってくれそうな企業のリストアップをお願いね、そして招待状も作っておいて」
「はい了解です」未来ちゃんは嬉しそうに机に向かった。

「友希さん奏太くん、長谷川さんからロブスターズもマネージメントを依頼されたの、引き受けても良いかしら」

「はい…………良いと思いますけど…………」奏太くんは俺を見る。
「友希さん、私はココアちゃんも含めて引き受けようと思うんだけどどう?」
「そうですね、和也さんが望むのであれば…………」俺は少し考える。
「じゃあ引き受ける方向で進みますね」友里香さんは微笑んだ。

俺は友里香さんの底知れぬパワーが怖くなっている。
「なんなのそのドン引きした顔は?」友里香さんがジロっと睨む。
「いえ、決してそんなことは…………」俺は手を横にひらひらと振った。

「俺、ウイングがこんな事になるなんて思ってなかったなあ…………」奏太くんが頭を抱える。
「あら、不満かしら」友里香さんが首を傾げた。
「いえ、決してそんなことは…………」奏太くんも手を横にひらひらと振った。

未来ちゃんはそれを見て「やっぱり社長は友里香さんみたい」そう言って笑った。

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